元NHKアナウンサーで現在はフリーアナとして活躍する堀潤(36)が28日、都内で行われた『第2回 報道品質セミナー』で講演を行った。日本報道検証機構の報道検証サイト『GoHoo』(http://gohoo.org/)主催。
テーマは『今こそ求められるオープンジャーナリズム』。オープンジャーナリズムとは英国ガーディアン紙や米CNN放送が取り組んでいるメディアと市民の新しい関わり方を示す言葉。どのニュースを扱うのかという編集過程の公開や、コメントや意見のやりとりを公開し読者の参加と共同作業を呼びかける試み。
今年3月にNHKを退職した堀だが、元々は「テレビメディアを変えたい」とNHKに応募したという。「僕が学生のころは松本サリン事件や坂本一家殺害事件でメディア不信が問題となっていた時期。不況で父がリストラされそうで『大学を諦めなきゃいけないのかな…』という状況でした」と振り返った。
現在、市民ニュースメディア『8bitNews』(現在サイトリニューアル中)を運営する堀だが、誰でもがニュースを投稿できるという仕組みについて心配する声が会場からあがると、英BBC放送の例を挙げ「一時期、BBCでも特定の意見ばかりの偏ったニュースばかりが投稿される時期があった。けれどもワークショップを積み重ねて、投稿者のリテラシーを底上げすることで解消した」と語り「『8bitNews』でもメディアとしてというよりも、教育ワークショップとしての役割を通じて意識を底上げしていきた」と呼びかけた。
講演を終えた堀は「人々の意識に変化が起きている。より開かれた場で“作り上げていく”ジャーナリズムを、ぜひ日本でも行っていきたい」と意気込みを語った。最近ではフリーアナウンサーとして民放にも出演しているが「民放ではCM開けにすぐ喋らないといけない。僕はクセで2秒間を取っちゃうんですよ。スタッフには『堀さん、その2秒がNHKですね』と言われました」と苦笑した。
堀は「自由にジャーナリズムを実践できる放送局であってほしい」と“古巣”NHKにエール。「10年後ぐらいに呼び戻されていたいですね」と冗談めかして話しながら「僕は辞めても公共放送人でありたいと思っているので」と決意を語っていた。