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岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと

岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと
岡田武史氏、今治モデルで日本サッカーに変革を!

 マルチスポーツブランド『adidas(アディダス)』は、6月30日東京・両国国技館で、最新フットボールスパイクのお披露目となる「adidas X/ACE Japan Launch Event」を開催した。

 7月1日より発売される最新フットボールスパイクは、フットボールにおいて、試合を支配するような圧倒的な個の力を持つプレイヤーの必要性を見出し、そのような選手たちを支援、創出していくという“THE NEW FOOTBALL”のコンセプトのもとに開発された。プレイメーカーに向けたスパイク「ACE(エース)」と膠着状態を一瞬で破壊するゲームチェンジャーに向けたスパイク「X(エックス)」だ。

 本イベントの第1部は、これまで日本のフットボールを牽引してきた・知り尽くした有識者をゲストに招き、日本のフットボールを本気で強くするための討論会「ADIDAS NEW FOOTBALL SUMMIT」を実施。

 出席したのは、元日本代表監督でFC今治オーナーの岡田武史氏(58)、元日本代表・中田浩二氏(35)、元ヴァンフォーレ甲府監督・城福浩氏(54)、スポーツジャーナリストの二宮清純氏(55)、サッカー審判員・西村雄一氏(43)の5名。

岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと

 MC 現代フットボールのトレンドと方向性を探っていきたいと思います。昨年のW杯ブラジル大会を制したドイツや圧倒的な強さでイングランド・プレミアリーグを制したチェルシーなど、いま、世界の強いチームにおける共通点とは?

岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと
岡田武史氏

 岡田氏 強いチームには、選手全員の意識統一。なおかつそこに強い個がいる。チャンピオンズもW杯も両方が融合しているチームが上位に行った。どちらかひとつに偏っているチームは、途中で落ちていった気がします。

 MC 意思統一は、チームのアイデンティティーと置き換えられますが、ドイツ代表はプレッシングを。チェルシーは堅守速攻を実行できる強力な個が存在している。チームの持つ理想のアイデンティティーと個は別物?

 城福氏 意思統一と個の力は、相反するとまでは言わないけど、選手は各々のストロングポイントを見せたい。それ以外のエネルギーは割きたくないという意志も働く。監督の立場からすると、彼らの良さを最大限に生かしながら、いかにチームの共通意識を持たせるためにエネルギーを効率良く出させるか。それがチーム戦術マネージメントである。

 岡田氏 個の良さを生かすためのチーム戦術になってくるハズです。理想は、全ての個のいいところを集めたのがひとつのチームになるのがベスト。でもそう簡単には行かない。選手の側からも合わせてもらわなければいけない。それとともに選手に合わせて作っていかなければいけない。両方からの歩み寄りによって融合するのがチーム。個を活かしながらも当然チームに合わせてもらわなければいけない。どっちかと割り切れるものではない。それがフットボールだと思う。(日本代表監督の)ハリルホジッチさんが堅守速攻といった。いいことだと思うけど、相手が下がったら。ハリルホジッチさんだってパスをつなぐ。バルサはポゼッションだといわれているけど、速攻もする。

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二宮清純氏

 二宮氏 (個とチーム戦術は)矛盾しないものだろうと思う。ことわざで使うんですけど、イタリア最高のシェフは何か?最高のシェフの条件は、いま目の前にある食材で最高の料理を作れるのが№1シェフ。その次が、最高の料理を作るために最高の食材を集めることのできるシェフ。ただ、最高の食材を集めるのは容易じゃない。最高の肉が欲しい、あの野菜が欲しいといってもなければ仕方ない。食材を選手に置き換え、料理を組織に置き換えても全く同じことが言えます。いま目の前にある人材で最高の組織を作っていく。これが名監督の条件ではないかと思っています。

 MC アディダスでは、圧倒的な個の力を持つプレイヤーをフットボールクリエイターと呼び、プレイメーカーを「ACE(エース)」。膠着状態を一瞬で破壊するゲームチェンジャーを「X(エックス)」と呼びます。ハメス・ロドリゲス選手やエジル選手といった「ACE」は、どの様な役割を果たすべきなのか。

 岡田氏 サッカーはトータルフットボールといっても長所短所がある。いいところを生かし、役割分担が出てくる。ゴールを獲る目的のために、決める人、作る人、運ぶ人と役割が出てくる。「ACE」は創る人。相手の意表を突くような組み立てをして仕留める人。ゴールする人がゴールしやすい状況を作れる人が「ACE」。

西村氏 その選手がゲームにおいてチームを一瞬にして変えられるような選手が多いので、その選手が気持ちよくプレイできるようにレフェリングしていますね。

 MC ベイル選手やスアレス選手といった相手のゲームプランを破壊する。ゴールを決めるゲームチェンジャーとなる「X」が、果たす役割や重要性について。

岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと
城福浩氏

 城福氏 パスを何度もつないで、ポゼッション率を高くしてもゴールは得られない。フィニッシャーの役割大きい。消えている時間が多くても、最後の一振りで現れる。消えてる時間が少ないほうがいいんですけど、ゴールが決められなければ勝ちにつなげられない、最後のゴール前で際立つ選手は貴重です。

 中田氏 僕はどちらかというと「ACE」のほうだったと思います。ベイルのような選手がチームにいれば、決定的な選手がいれば、チームにとってどれだけ心強いか、選手の時にはずっと感じていました。チームにXが1人いるかいないか。そういう決定的な仕事ができる選手がいるチームは、苦しい時でも点が取れるし、より上にあがっていけるのかな。

 MC 「ACE」と「X」が共存しているからこそチームとして成り立つ。そこで、今後のトレンドがどう変わっていくのか。

 中田氏 そんなに大きく変わっていくことはない。「X」のような選手よりは、「ACE」のような選手がより出てくるのかなと。それだけ「X」のような選手はなかなかでてこない。特殊な選手なのかなぁと。ゲームを決められる選手なので。「ACE」はどのチームにもいて。ただ、「ACE」ばかりいても「X」がいないとね。

 二宮氏 亡くなった中村勘三郎さんの口癖で、「型を付けてこそ型破りだ。基本できていないのはただの型がないだと。俺は型破りだと。型なしじゃないんだ」と。これは大事な言葉で、自由にやればクリエイターなのか?そんな単純なものではない。日本の武道とか、茶道に「守破離(しゅはり)」という言葉があります。守って破って離れる。「守る」は基礎を身につける。ある程度型にはめる。これだけでは成長しない。「破」はイノベーションを起こす。「離」は独立する。これこそクリエイターですよ。最初から与えられる自由はありがたみがない。何かに縛られるから、そこから解き放たれる自由だからこそ、イノベーションが起きる。最後は「離」で自分の型を作り上げる。この繰り返しが成長・進化の歴史なんじゃないか。岡田さんが今治でやっていらっしゃることだと思うんですけど。

 岡田氏 おっしゃるとおりで、“自由”なものから“自由なもの”は出ない。驚く発想は、型を破って驚く発想が出るというのが僕らの仮説。フットボールの型=共通認識を作っていこう。誰がやっても、どのコーチがやっても、どの選手が出てもこのときはこうするという意思統一。ただ、それだけでは試合に勝てない。破って離れるようにしていかなければならない。でも、16歳までに守を終わらなければならない。16歳以降、破って発想していく。これが日本に一番かけているんじゃないか。大人になってからでは遅いと思ってやってます。そういう意味では、「X」は違いを出せる選手。戦術では、どうしてもいき着かないところが出てくる。「X」は戦術でどうしようもないところを1人交わしてくれたり、とんでもないシュートを決めてくれたりする。
 コパ・アメリカを観ていてもどの国も守備が組織化してくる。昔は、アジアの弱い国の守備はいいかげんだったけど、今はどこの国でもしっかり組織してくる。メッシのような戦術を超える「X」が重要になってくる。今治モデルが全てを解決できるとは全く思ってないですけど、そういう基本的なものを作ろうと思ってやっています。

岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと
西村雄一氏

 西村氏 レフェリーからすれば、日々新しいサッカーに出会える感じ。レフェリーは一番のサッカーのサポーターで大好きな人の集まり。新しいサッカーを目の前で見せてくれること。それが、一番の醍醐味なので、次のサッカーが楽しみです。「X」タイプ、「ACE」タイプが気持ちよくブレイできるようにするのがレフェリーの役割。

 城福氏 トレンドという意味では、昨日のコパ・アメリカの準々決勝。コロムビアとアルゼンチンの試合のとき。得点にはならなかったんですけど、パストーレが右サイドをトップスピードであがってきて、最後、股抜きのクロスをした。アグエロが一瞬のフェイクで合わせたんですが、キーパーにふさがれた。それをさらにメッシがヘディングしたけど、また、キーパーにふさがれた。それに象徴するように、エースであるパストーレがトップスピードながらアグエロの一瞬のフェイクを見逃さず、股抜きのクロスを入れた。アグエロもトップスピードでフェイクを入れて相手を振り切りシュート。これは「ACE」と「X」が組み合わさったシーンだと思う。「ACE」と「X」というより、プレイ判断のスピーディー化。まばたきしたら、両方の駆け引きが両方分からない。というような世界にはいってきているのかなぁと。ただあわただしいのではなく、判断のスピーテイー化が求められてくる。

 岡田氏 戦術が浸透して組織化されてアベレージが上がってくる。それを破るには「X」のような違いを出せる選手が必要になってくる。そしたら、「X」を抑えようと世界のサッカーはマンマーク気味になってくる。マンマークの守備を破るため、「X」以外の選手の動きが重要になっていく。そういうことを繰り返していくのではないか。そういうトレンドを我々も先づかみしていきたい。より速く、より強く、より正確に。いままで、劇的な変化があったのは中に入っていくと思っていたけど、新たな変化も起こるんじゃないか。イノベーションを起こさないともたなくなってくるのではないかと感じています。

 

岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと
中田浩二氏
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中田浩二氏
岡田武史、日本に一番欠けていることは、「16歳までに基礎を終わらせ、それを破って自由に発想していく」こと
岡田武史氏
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西村雄一氏


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二宮清純氏
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城福浩氏


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