パリ五輪2024ブレイキン男子4位入賞のShigekix「俳優・市原隼人さんが、床にしゃがみ込んで、悔しがってくださった」

パリ五輪2024ブレイキン男子4位入賞のShigekix「俳優・市原隼人さんが、床にしゃがみ込んで、悔しがってくださった」

パリ五輪2024ブレイキン男子4位入賞のShigekix「俳優・市原隼人さんが、床にしゃがみ込んで、悔しがってくださった」

 川崎市在住で「パリオリンピック2024」のブレイキン男子で4位に入賞したダンサーShigekix(本名・半井重幸)選手が10月22日に川崎市役所に福田紀彦川崎市長を表敬訪問し、その後、報道陣のインタビューに答え、「俳優・市原隼人さんが、床にしゃがみ込んで、悔しがってくださった」と明かした。

 (取材・撮影:伊藤直樹©ニュースラウンジ)

 ――今回、開会式でも閉会式でも大役を担われて、プレッシャーもあったと思うんですど、それぞれから見た景色とか、どういう思いであの場に臨んでいたのか、あらためてお伺いできますか。
 開会式と閉会式の両方で旗手を務めさせていただけるということは本当に光栄なことでした。そんな貴重な経験をさせていただけて、もちろん注目度が上がることに対してのプレッシャーは、思い返すと存在していたのかなとは思いつつも、当時は全くそういう風にネガティブに受け止める感覚はなかったです。もう常によし、旗手を務めさせていただいて、こんななかなかないチャンスいただけたからこそ、注目してもらった皆さんにいい踊りを見せたいと、その先の成果と結果を持って皆さんを喜ばせたい。そんなモチベーションに繋がっていたので、特に開会式、セーヌ川での旗手を務めさせてもらえる経験っていうのは、本当に一生忘れることのない景色と経験、時間だったなという風に思っています。

 ――オリンピック前とオリンピック後で感じた変化はございますか? 先ほどAMIさんは、道での声かけていただける方の内容が少し変わったと。おっしゃっていたんですけど。
 とにかくブレイキンであったり、僕自身であったり、オリンピックでの1戦を当たり前のように知っていただいているっていうのは、僕たちにとっては本当に嬉しいことです。これまで、1人でも多くの人に知ってもらいたい、ちょっとでも目についたらいいな、耳に入ったらいいな、そういう思いでずっと活動してきたものが、ある意味、当たり前に知っているよっていう世界、そんな現状になっているっていうことは、すごく僕としては嬉しいことです。5年、10年前から考えると、本当に夢のような時代になっているんじゃないかなと感じます。また、テレビ局に収録や生放送でお伺いした時に、タレントさんや皆さんが、「あの判定は」とか、「あの一戦」はとか、「踊り感動した」とか、本当に見てくださったんだなと。そういう思いっていうのは、すごく帰国してからたくさん感じました。

 ――もし差し支えなければ、このタレントさんから言われたのが嬉しかったのとありますか。
 もう本当にお会いする皆さんが対戦相手の名前だったり、判定だったり、そういう細かいところまで言ってくださったので、誰っていうのは非常に難しいところではあるんですけど、川崎市でずっと僕が親交のある俳優・市原隼人さんは、大事な撮影の前日に夜更かしして、めちゃくちゃ自宅で応援してくださっていたみたいなんで、僕が負けた時は僕よりも悔しいなと言っていました。床に這いつくばってというか、しゃがみ込んで、僕の気持ちを受け取って悔しがってくださったっていうのは、直後に帰国してから、ご自宅の方に招いていただいてお食事させてもらったんですけど、その時にすごくその話もしてくださいました。ずっと繋がりがあって、ずっと応援してくださっていて。僕自身のドキュメンタリー映像番組のナレーションを務めてくださっていたので、本当に僕は元々好きで応援している俳優さんっていうところから始まって親交ができてっていうところなんで、あらためて嬉しいなと思います。

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 ――石川(勝之コーチ)さんたちから、どんどん溝の口を中心にカルチャーが広がっていって、溝の口を中心に築いてきたものをShigekixさんたちが受け継いで、次世代へという話を、Shigekixさんは、どういう風に受け止めいてますか。
 次世代であったり、今後のブレイキンの未来を僕たちはどういう風に舵を切っていくのかというところは、まさに僕自身まだまだ22歳で、キャリアもまだまだこれからというところで、大変おこがましい立場ではあるんですけど、でも自分にできることはあるんじゃないかなとすごく強く思う部分から、オリンピック帰国してすぐアンダー15(15歳以下)の『BREAKIN’ SUMMIT』(ブレイキンサミット)という全国大会、チーム戦を日本で開催させていただいて、そちらの大会のアンバサダーを務めさせていただきました。
 それが今後、来年も再来年もという形で、次世代の子たちにとって、同世代の仲間と一緒に切磋琢磨して高みを目指せる、その大会があるからこそ今年1年頑張れる。そんなモチベーション作りを、僕はプレイヤーとして背中を見せつつもこの業界を作っていく。僕1人ではもちろん何もできないんですけど、皆さんと一緒に、いま当事者として作っていく身として、そういった活動も含めてやっていけたら嬉しいし、その活動の中で、また川崎市の皆さんであったり、神奈川県の皆さんであったりにご協力いただけたら嬉しいなと、そんな気持ちです。

 ――さっきAMIさんから、川崎市はやっぱ市全体としてバックアップしてくれる環境がすごくやりやすいっていうお話があったんですけど、どの辺がすごくバックアップされて、やりやすいと感じる部分ですか。
 1つは受け入れ体制というか、このブレイキンであったり、ストリートカルチャー、アーバンスポーツが川崎市の皆さんにとって、やっている人、見ている人、特別そこに関わる人でなくても、日常にそこに自然と存在する、その環境になっているというのは僕たちとしてはすごくありがたくて、もちろん、そこにプラス何か協力できたらと、何か応援できたら、そういう風に寄り添ってくださる方々ももちろん僕たちはすごく嬉しいですけど、そこまでしなくとも、ブレイキンというものをやっているんだな、なんか日本を代表して頑張ってくれてるんだな、明るくしてくれているんだなと、そういう見守ってもらえる感覚を皆さんに持ってもらえること自体が僕たちにとって大きなサポートになっています。
 本当に10年、20年前だと僕たちにとっては考えられない世の中でした。なかなか僕たちの良さっていうのを知ってもらう前に、触りでちょっと毛嫌いされてしまったり、なかなか受け入れてもらえなかったりっていう、そんな時代から、今後の多様性であったり、個性を尊重していく教育も含め、今後の社会としてのあるべき姿を1つブレイキンが一部見せれているんじゃないか、影響を与えているんじゃないかっていう意見をもらえるほどにまで変化しているこの世の中っていうのはすごく嬉しいなと僕も思っています。

パリ五輪2024ブレイキン男子4位入賞のShigekix「俳優・市原隼人さんが、床にしゃがみ込んで、悔しがってくださった」

 ――ご自身ブレイキンの顔だと思うんですけれども、今後どういう風なものになっていってほしいと。
 まずは、ずっと僕が大事にしていることは2つあって、1つは やっぱり本質。自分のプレイヤーとしてのいい姿を見せ続ける。日本を代表して世界で戦って、応援してもらえる、日本を元気にできる、そんなプレイヤーとしての背中を見せ続けたい。そこで、これまで誰も成し遂げてないような成功というものをしっかり形にしていきたい。これはブレイキンに出始めた当時から変わらないことですし、オリンピックがあったり、自分の生活、見えている景色がどれだけ変化しようとも変わらない。本質的なところがまず1つ。
 もう1つは、ブレイキンとしてだけでとどめたくない。僕自身で言うと、僕がいちダンサーというところだけである意味とどまるべきではない。自分で自分を奮い立たせて、この時代にこれだけありがたい応援であったり、環境があるからこそ、今後の社会にとって、ブレイキンが持っている魅力がこの世の中に広がったら、少しなんか世の中は良くなるんじゃないか。何かしら踊っているというだけでとどまるわけではない魅力であったり影響力を持っていけたら。そのために可能性を広げている。
 これまでブレイキンではなかなかこうイメージがつかなかった、成し遂げられなかった、活動の範囲の広さ、メディアであったりいろんなところで話すことによっていろんなメッセージを伝えたり、僕たちが踊る時に表現しているようなものを言葉でも伝えていけたり、存在として伝えていけたり、生き様で伝えていけたり、いろんな多分伝え方はあると思うので、いい意味で、このShigekixという存在が、B-Boy (男性のダンサー)って僕たち呼ぶんですけど、やっぱB-Boyっていう存在よりも先にShigekixっていう存在を知ってて、この人って何の人なんだ。B-Boyなんだ、ダンサーなんだ、ブレイキンなんだってなるぐらいの世の中に、いい意味でですけど、もちろん本質は大事にしつつなっていけたら。きっと結果的に最後はブレイキンであったり、僕たちが愛している、このコミュニティ、カルチャー、文化というものがまた1つ大きくなり、いろんな人にとっての心の拠り所だったり、魅力的なものになるんじゃないかなと、そう信じています。

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