NO IMAGE

羽生結弦のオーサーコーチ、“ユヅ”語る「彼はとてもプライベート」

羽生結弦のオーサーコーチ、“ユヅ”語る「彼はとてもプライベート」
コーチ体験をつづった『チーム・ブライアン』を発売

 羽生結弦のコーチを務めるブライアン・オーサー(52)が12月1日、都内のカナダ大使館で『チーム・ブライアン』(講談社)発売を記念した記者会見を行った。

 同書は現役時代に2度の銀メダルを獲得し、コーチとしてバンクーバー五輪でキム・ヨナを金メダル、ソチ五輪で羽生を金メダルに導いたオーサーコーチが自身の経験をつづった1冊。羽生との対談や、キム・ヨナとの知られざるエピソードなど、華やかな氷上に隠されたストーリーに別の角度から迫り、すでに5万部のヒット作となっている。

羽生結弦のオーサーコーチ、“ユヅ”語る「彼はとてもプライベート」
『チーム・ブライアン』発売記念記者会見

 羽生を「ユヅと呼んだりしますが」と話すオーサーコーチは、巻頭に収められた対談に「ソチが終わってからふたりで振り返ったのはこの対談が初めて。セラピーのセッションのようでした。ユヅルが将来どういった形で次のオリンピックへのモチベーションを作っていけばいいかなどを話しました」と語った。

 現役引退後はプロスケーターの傍ら、母国カナダの『クリケット・クラブ』でコーチをしていた。転機となったのはキム・ヨナの専任コーチを引き受けたことだった。ヨナに『腰を抜かしました』というほど才能を感じなががら『笑顔がなく、とても辛そうにスケートをして』いた彼女に「チームの環境を整え、毎日少しずつ彼女の殻をけずりとり、幸せな美しい姿が現れるまで3年という月日がかかりました。コーチとして大きく成長できました。よい思い出しかありません」と目を細めた。

 現在は羽生とスペインのハビエル・フェルナンデスというふたりのトップ男子スケーターを教えている。同書の中では『ユヅルはひとりで大丈夫そうなくせにクマのプーさんのテッシュケースがないと寂しそうだったり、試合をこなしながら学んでいったのです』と具体的に書いているが「ふたりは人としてもスポーツ選手としても正反対。ユヅはとってもプライベート(内気)な人です。彼は母親と住んでいて、学業にも勤しんでいる。リンクの時間も大切にしていて、それ以外の付き合いというものをあまりしていません。ハビエルは自活していて、社交的なタイプ。このふたりはすごくうまくいっているんです」と明かした。

羽生結弦のオーサーコーチ、“ユヅ”語る「彼はとてもプライベート」
『チーム・ブライアン』表紙ビジュアル

 羽生金メダル、フェルナンデス4位という素晴らしい結果に終わったソチ五輪については「(羽生)本人はあまり大喜びをしていなかったですけど『本当に誇りに思っていいんだよ、誰にも奪われることはないんだから』と話しました」。名コーチの秘訣を「フィジカルな面とメンタルな面でいかにしてチャンピオンに育てていくのか。その全てが信頼という基板の上におかれています」と説き、「彼らがアスリートとして成長することは望んでいますが、人として人生にとってよく生きていくためのツールを提供したい。まずは人としてより善い人に成長して欲しいと思っています」と呼びかけた。

 質疑応答では、先日中国で行われた大会で負傷したことに質問が集中。オーサーコーチは「事故の後、すぐに東京に戻ってくまなく調べてもらってます。その後、9日間にわたり休み、毎日メールで連絡をとっていました。スケートをするまで時間がかかっていたのは足の部分、足首の怪我が原因。その時の衝突が原因でした」と説明。再開した練習は「彼にとってスケートリンクは一番安心できる場所、好きな場所なんでしょう。早くスケートできる場所に戻りたいという感じでした。大阪で見た時はやっと氷の上に上がれることを彼自身も安心していたような気がしました」と話した。

羽生結弦のオーサーコーチ、“ユヅ”語る「彼はとてもプライベート」
『チーム・ブライアン』発売記念記者会見

 出場か欠場かという判断をめぐり「プランAとプランBを話したんです。プランAとは、出ない(欠場)ということになっても全然構わないんだよというもの。それでも出たいならプランB。状態に合わせてジャンプの順番を変えるなど、少しプログラムをシンプルなものにしよう」という率直な話し合いが持たれた。報道陣から「彼は出場したがっていた?」と聞かれると。「イエス。強く主張してました。それについて反論するつもりはありませんでした」と舞台裏を話した。

 12月11日~13日にスペイン・バルセロナで行われるグランプリ・ファイナルまでの羽生のスケジュールは「ユヅルは日本に残ります。私はカナダ選手権に出る選手のために、カナダに帰らなくてはなりませんが、ユヅルには毎日どういった練習をすべきなのか細かく書いて渡してあります。練習内容を見たら本人はたぶん嫌がるだろうな、と思いますけど(笑)。間違いなくこなしてくれるはずです」と信頼を寄せた。

 『チーム・ブライアン』は大ヒット発売中。

羽生結弦のオーサーコーチ、“ユヅ”語る「彼はとてもプライベート」
ブライアン・オーサー
広告