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【総選挙直前】ニコニコ討論会を元に政党間の主張を再録!~TPPについて

 いよいよ明日12月16日に投開票が行われる衆議院議員選挙。各世論調査では、「自民党有利、民主党惨敗、第三極は伸び悩み」と、報じられている。とはいえ、「どの政党に入れるか決めかねている」人が半数近くいるのも事実で、まだまだ予断を許さない。

 そこで、株式会社ドワンゴと株式会社ニワンゴがniconicoの主催する「ニコニコ動画」で、11月29日東京・六本木のニコファーレで10党首が一堂に会して、政策を訴える「ネット党首討論会」が行われた。

 <TPPについて>

 ■民主党・野田佳彦 代表
 民主党・野田:日本はAPEC(アジア太平洋経済協力)の加盟国です。APECは21の国と地域が入っています。このAPECの共通目標は、アジア太平洋地域に自由貿易圏を作るという、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を作るということなんです。

 アジア太平洋地域は間違いなくこれからの世界の成長エンジンになりますので、日本もその貿易、投資のルール作りに主体的に参加するべきだと私は思います。そのFTAAP実現の道筋が、1つは今11カ国が交渉参加しているTPP。それからこの間交渉開始を決めた日中韓FTA、さらにはASEAN(東南アジア諸国連合)も含んだRCEP。この3つの同時並行の動きがあります。我々は同時並行で進めていきたいと考えています。

 オバマ大統領とは、TPPについては交渉参加に向けての協議を加速するということで、合意を致しました。その際、国益を守り、守るべきは守る。それは農業、食の安全、国民皆保険です。こういうものを守りながら、最終的には協議を行った結果は政府が判断するということでございます。

 交渉に向けての協議は今やっています。その協議が大統領選挙などがあって、少し止まっておりました。改めてあちらも体制整備ができましたので、交渉に向けての協議を加速をするということで合意をしましたし、そうした課題を乗り越えることができるならば、それは交渉参加の道が開けると思います。

 ■日本共産党・志位和夫 幹部会委員長
 今、総理がですね、守るべきものは守るとおっしゃいました。しかし、TPPというのは、2国間のFTAなどと違って「守るべきものは守れない」という仕掛けになっている。これは例外なき関税ゼロというのが大原則です。そしてこの原則はですね、去年11月の9カ国の参加国の会議で、TPPの対応が決まって、その中でも確認されております。

 最近、メキシコやカナダがTPP(交渉)に参加をしておりますけども、その時にはこの原則を丸呑みするのが条件になっているんです。ですから、TPPに参加しましたら、例外なき関税撤廃です。農業は壊滅します。非関税障壁も撤廃され、医療、雇用、そして食の安全も危険にさらされます。「守るべきものは守る」ということは、TPPではありえないと、私達はこれは絶対に許してはならない。絶対反対です。食料主権、経済主権を守ることが大切だと考えております。

 ■みんなの党・渡辺喜美 代表
 みんなの党はTPP交渉参加賛成であります。民主党も自民党も腰が引けたような言い方をしておりますが、特に自民党は安倍政権になったら、TPP交渉参加するに決まってるんですね、それをなぜまやかしを言うのか。聖域なき関税撤廃には反対というのは(当たり前で)、どこの国だって自分のところの例外項目を潜り込ませるのが交渉なのであってですね、ぜひ安倍さんには真正面からこの問題、発言をしてほしいなと思うんですね。

 我々は農村の雇用を確保するためにも、国を開かなければいけないと思います。やはり日本が(他国との交渉で)負け続けているわけですね。ですからFTA戦略で遅れをとった。これをTPPで挽回をすべきだと考えます。

 ■自民党・安倍晋三 総裁
 今のは、私に発言の機会を与えて頂いたようなもんなんですが、我々はですね、「聖域なき関税撤廃」を前提条件とする限り、参加には反対しております。経済交渉には経済交渉自体が良いか悪いかはありません。結果です。国益を守ることができたかどうか。得るものがあったかどうかなんですね。今年の初め、野田総理は「情報全て開示をします」と、おっしゃったけれども、なかなか情報が出てきていません。

 そしてもう1点は「聖域なき関税撤廃」。これを突破する外交力を持っているかどうかなんだろうと思います。そもそも民主党は菅さんがダボス会議で「開国をする」と言って、この交渉をスタートしてしまった。開国をしていなくても開国をしていると言ってのけるくらいの交渉力がなければいけない。しかし、日本は実際は開国をしています。関税率3.3%は最低水準ですね。その中で交渉力をもう一度、これは構築をしていく、取り戻してからもう一度見直しをしていくということが大切だろうと思います。

 ■社会民主党・福島瑞穂 党首
 総理は日本の国益を守るとおっしゃいましたけど、TPPで例外なき関税ゼロになって国益が守れるわけはありません。「瑞穂の国」(みずみずしい稲穂の国、日本国の美称)は壊れますよ。なぜなら外国から安い米や食料品が入ってくる。そしてもう一つ、ISD条項(投資家対国家の紛争解決の条項)で、外国の大企業が日本国を訴えて、日本のさまざまな障壁に損害賠償を請求されれば、多くの場合、日本は負けてしまう。ほとんど負けてしまうと思います。

(民主党の)あの時の政権交代は、新自由主義からの脱却、小泉構造改革を転換するということだったじゃないですか。でも、民主党政権はだんだん新自由主義、その輸出大企業のために、生産者じゃなくて、農業者じゃなくて、それをやっているところが問題です。ISD条項で勝てるんですか?

 ■民主党・野田佳彦
 ご質問いただいている以上は、答えなきゃいけませんが、ISD条項っていうのは、今までも日本が行ってきたFTAやEPA(経済連携協定)に入っているんです。日本がISD条項認めたから、日本だけ一方的に不利になることはありません。協定を違反した場合には、日本の企業とか投資家が訴えてもいいんです。アメリカだって勝ったり負けたりしています。ISD条項ってのは相互主義ですから。それを日本だけマイナスと言うのは、これは私は暴論だと思います。

 ■新党日本・田中康夫 代表
 ISD条項を1年かけて、間違ってお勉強された首相に敬意を表しますが、TPPはフィリピンもインドネシアも、インドも、あるいは日本も台湾も、そしてネットの皆さんが大好きな中国も韓国も加盟しないんです。それでどうやってアジアの成長を取り込めるんですか?私は、TPPは日本の国民の生活と仕事を奪うものだと思います。私は自由主義経済論者です。自由経済論者の同じく野口悠紀雄さんや、中谷巌さんや、浜矩子や、あるいは、榊原英資さんが危惧をしているということは、これは日本の伝統の国民皆保険が崩壊するだけでなく、日本のモノづくり産業が、中国の包囲網でなく、中国がEUと関税率を下げれば、日本の車はドイツの車に中国市場で負けてしまうということです。日本のモノづくり産業を壊滅させる、日本を壊す国のTPPだと私は考えております。

 ■新党大地・鈴木宗男 代表
 総理、日本はTPPに入って、何のメリットがあるんでしょうか。先程、総理ですね、中国、韓国とはFTAやると言いました。じゃあアメリカとFTAでいんじゃないですか?韓国もアメリカとFTAやっても、サムスンでもヒュンダイでも、ちゃんと技術で勝って売れてますよ。私は日本の匠の技、技術力を結集すれば、応用技術世界一の力をもってすれば、FTAで十分やっていけますよ。同時にTPP加盟国で、アメリカとニュージーランドだけですよ、EPAの交渉を日本としてないのは。他は全部終わってますよ。なぜFTAやEPAで十分なのに、多国間協定に入るんですか。多国間協定に入ったら、一国のワガママは許されないんです。これが今までの外交交渉です。農産物の自由化等で私は初めて交渉に参加したこともありますけどもね、日本の声だけは通らないんです。これは覚えておいてください。

 ■公明党・山口那津男 代表
 今、TPPに参加を決定するのは拙速だと思います。交渉力なき参加は危険であり、国民の理解なき参加は無理だと、このように思います。総理自身が昨年の12月に、「情報を提供し、国民的議論をし、国益が何かを求めると、こういう議論が大事だ」とおっしゃいました。しかし、情報の提供も十分でなく、国民的議論にもなっておらず、そして国益が何かについては、政府の中でさえ、経産省と農水省と内閣府の数字がバラバラと、政府自身が国益が何かを確定できていない状況です。こういう中で私はTPPが、貿易や農業のみならず、医療や保険や食品の安全といった国民生活に深く関わる包括的な経済連携協定の要素があるというところから、もっと国会に特別委員会をつくって、情報提供をし、国民的議論をして、国益が何か、これをしっかり確定する。これが大事だと思っています。

 ■国民新党・自見庄三郎 代表
 私はこの問題ね、「日本よもう少し自信を持て」と、言いたいんですよ。たとえば郵政民営化。これはもうご存じのような郵便、貯金、それから保険がありましてね。保険の分野があるんですよ。(これに対して)非常に強い懸念が、実際アメリカから表されましたよ。しかしね、私は直接、アメリカの財務省の次官のブレイナードと1時間以上サシの話をして、あくまでこれはちゃんと、日本は戦後一番、自由主義貿易、自由主義世界で利益を得たのは日本ですから。「WTO(世界貿易機関)の精神は、三重(さんじゅう)に法律できちっとチェックかかってます」と、強く申し上げましたよ。

 確かにアメリカは懸念を今でも持ってますよ。その分野の一番強い企業がアメリカですから、第三分野の保険の分野はね。だけどこれをきちっとどうするか。95%の国会議員は賛成してくれて、郵政民営化だってできたじゃないですか。私はね、そういった意味で何か一方的に開いてなくて、日本が自信を持ってやるべきだと、そう思いますよ。

 ■日本未来の党・嘉田由紀子 代表
 日本未来の党は、現状におけるTPP参加は反対でございます。ひとつは情報がまだ不十分であるということ、国民的議論が十分なされていないということです。もちろん、自由貿易、FTA、EPAによる、それぞれの製造物、あるいは農産物の行ったり来たりによって、私たちの暮らしは豊かになる面があります。しかし、今皆さんからのご意見がございますように、TPPは単なる自由貿易協定ではありません。既にご指摘のように、食料の安全基準、あるいは医療、保険など、すべての分野における生活の仕組みを押し付けられる、という協定でございます。そういうところにおいて、自分たちの未来への安心を埋め込むためにも、今ここでTPP交渉に参加するのに、わたくしたちは反対という立場をとらせていただきます。

 ■民主党・野田
 まず大地の鈴木代表にお答えしなければいけないんですけれども。日米でFTA結べばいいんじゃないかというご提起です。ただ、アメリカはこの間の韓国で最後であって、2国間のFTAはもう最後でやらないんですね。という意味からも、TPPというのは、アメリカを巻き込んだ交渉をするには、これはやっぱり唯一のチャンネルだと思うんです。TPPは閉ざされているわけじゃありません。中国や韓国だってもちろん、ASEANだって入れるわけですから。それがFTAAPのひとつの道筋だということです。

 もちろんそのときには、国益を損ねるような判断をしてはいけないことは、我々も十分承知しておりますが、枠組みとしてはそうであるということは、ご理解いただきたいと思いますし、少なくとも日本は、GDPの中で貿易の占める割合が10数%も落ちてるんです。貿易立国、投資立国だった国が、中国や韓国に比べて非常に見劣りしています。だとすると、チャンスがあるかどうか、成長を取り込もうとする、そういう意欲を持って協議をするという姿勢は、是非これはご理解をいただかなければならないと思いますし、よく分からない議論は「交渉力がないからダメだ」とか「拙速だ」とかってお話があります。じゃあ持ったら進めるんですか。アクセルを踏むのかブレーキを踏むのか、ちょっとよく分からない議論が多いですね。

 新党大地・鈴木:メリットはどこにあります。TPPに入ったらメリットは何がありますか?

 民主党・野田:輸入が増えるかもしれません。輸出も増えます。貿易が拡大するということと、知財であるとか、投資の問題の環境整備が相当進むんじゃないでしょうか。

 新党大地・鈴木:裏付けのない話じゃないですか?

 民主党・野田:いやこれは交渉ですから。

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