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中村福助&梅雀コンビで70年前の名作蘇る!「生か演技かわからないときが…」

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中村福助(右)と中村梅雀が熱演

 歌舞伎俳優・中村福助(51)が11日、都内・ル テアトル銀座 by PARCOで行われた舞台『男の花道』囲み取材及び公開リハーサルに歌舞伎俳優・中村梅雀(56)、尾上松也(27)、俳優・風間俊介(29)、演出を務めたマキノ雅彦(72)とともに出席した。

 これまで講談や映画、舞台の題材として何度も取り上げられてきた『男の花道』。1941年、マキノ雅弘監督が映画版の監督を務めたが、叔父の後を継いでマキノ雅彦(津川雅彦)が、今回の舞台を手掛けた。

 失明の危機を隠しながら舞台に立ち続けた加賀屋歌右衛門と、その眼病を困難な手術で治した名医・土生玄碩(はぶげんせき)の友情を描いた感動傑作。これに齋藤雅文の脚本と、宇崎竜童(66)の音楽が加わり、新たなエンターテインメントとして、現代に蘇った。

 明日12日の東京公演を前に、主人公・歌右衛門役の福助は「もうドキドキワクワクです。マキノ監督の演出のおかげで、笑いあり、涙ありのきっと笑顔でお帰りになっていただける楽しい舞台になっていると思うので、ぜひ観にきていただきたい」とアピール。玄碩役の梅雀も、「日々日々変化し、発展し、凄く一座の結束が固まって盛り上がってる。東京公演は毎日僕らも楽しみ。ぜひ楽しんでいただきたい」と、自信満々に語る。

 玄碩の弟子・藤堂嘉助を演じた風間は、「大阪、岐阜と公演してきたんですけど、お客さんの拍手が物凄く温かかった。それだけこの作品が温かい作品なんだなということを改めて感じましたね」と、観客の好感触を肌で感じたよう。中村勘三郎役の松也も、「大阪公演から始まって、出演者はもちろん、お客さんも熱い心で観てくださってるので、東京ではどうなるか楽しみです」と続けた。

 今回は演出を手掛けており、俳優の津川雅彦ではなく、マキノ雅彦と名乗っているマキノは、「福助さんをはじめ梅雀さんと名優が揃って、120分の力を出していただいてる。風間君、松也さんもキャストがそれぞれ皆さんいい場所で働いて、いいキャスティングになっている。本当にキャストにどこにも穴がない。ザ・エンターテインメントとしては、本当に一流の作品に仕上がった」と、同作品を大絶賛。
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 さらに「これまでもなかったし、今後もないんじゃないかというぐらいいい取り合わせ。映画の長谷川さん・古川さんを抜く絶妙のコンビ」と、福助・梅雀コンビをベタ褒めした。

 一番の見どころについては、福助が「玄碩先生が切腹しそうになっちゃうところがあるんですけど、そこの梅雀さんのお芝居が物凄く楽しくて、毎日ゲラゲラ笑ってた」とこぼし、報道陣も爆笑! これには梅雀も「なかなか切腹のシーンってやったことないけど、1回だけありますね。お腹開くのは初めてです。生のお腹を見せているな~という感じ」と悪ノリした。

 福助は奇しくも自分の先祖を演じており、「三代目歌右衛門の話なんですけど、兄さん(梅雀)にとっても一門ですから、すごく縁のあるお芝居。自分にとっても先祖の引き合わせであったり、楽しいことがいっぱいでございます」と感慨深げ。梅雀も「土生玄碩も父の猿之助が演じてますし、今は玄碩さんの生誕250年。いろんな縁が重なってますよ」と同調した。

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終始明るい雰囲気

 また、宇崎の音楽を「素晴らしい」(福助)、「幕開きとラストでかかるんですけど、ラストはグーッと入ってくるから全然違う」(梅雀)と、それぞれその魅力について語ると、マキノも「浄瑠璃の太棹とエレキギターが混入した、エキゾチックないい音楽になってます。主題歌も歌っていただいて、100枚限定で劇場で売るらしい」と、宇崎ファンにとってはたまらない情報を公開。すかさず梅雀と松也が「僕も欲しいな」と声を揃えていた。

 福助と梅雀は意外にも初共演だが、梅雀が「箱入り娘というか、全然歌舞伎の世界から出てこない人ですからね」と、福助と接点がなかった理由を語ると、福助が「歌舞伎以外は初めての公演です。いろいろ先輩方に教えていただいて」と頭を下げる。これには年下の風間と松也も「いえいえ、とんでもないです」と恐縮。だが、福助には「演劇はすべて同じだと思います。私も野田秀樹さんやクドカン(宮藤官九郎)さんとかお仕事させていただいているので、あまり違和感はなかったです」とボーダーはないようで、梅雀も「要は人間を演じるわけですから。同じですよね。私は(現代劇でも)なんでもござれですから」と同じ考えのようだ。

 なかでも演じていて、梅雀は福助を「全然違和感ないです。凄く対応能力が高い」と称賛し、「ああ、ピッタリきたー!って生で感動しちゃって。舞台上で、生なんだか演技なんだかわかんないときが出てくるんですよ。本当に友情というか、ガシッときて、嬉しいですね」と、興奮気味に語った。

 タイトルにちなんだ「“男の花道”とは?」という問いかけに、福助は「今回つくづく感じたのは、絆を結んで歩んでいく、一人ではないという男の花道を感じました。自分が突き進んで、芸の道を歩んでいきたい」と答えた。

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山田五十鈴さんを偲ぶマキノ

 9日に死去した女優・山田五十鈴さん(享年95)について質問が飛び、マキノは「山田先生には本当にかわいがっていただいた。(NHK大河ドラマ『葵徳川三代』で)徳川家康をやったときは母親をやっていただいたんですけど、恋人役もやりましたからね。日本で最初の映画女優さんで、最後の映画女優さんじゃないかな。ああいう大物というか、色気があって、あれだけの芸があり、ゆったりした雰囲気をお持ちの俳優さんは出て来ないと思う」と、おくやみを。

 梅雀が「共演はないですけど、『葵徳川三代』のときにご挨拶はしました。私が赤ん坊だったとき、私を守っていた犬がいて、五十鈴さんが私の祖父の翫右衛門にプレゼントしたスピッツなんです」と、不思議な縁を語ると、福助も「山田さんが主催されていた東宝の浴衣会に呼んでいただいて、前の東宝劇場で大階段を一緒に降りたとき、凄くウキウキされていた。出てらっしゃるだけで華があり、優しい中にも厳しさがある方でした」と、山田さんを偲んだ。

 また、義理の兄にあたる中村勘三郎(57)が、食道がんで療養生活を送っていることについて聞かれた福助は、「おかげさまで順調で、本当に早期発見だったので。あの人のことだから、すぐに舞台復帰して、また元気な勘三郎をすぐにお目にかかれると思います。みんなで応援してあげてください」とエールを送った。

 その後の公開リハーサルでは、周囲がまったく気づかなかったのに、歌右衛門が目が不自由なことを見破った玄碩を、梅雀が熱演。そんな玄碩に対し、「そう見られるようでは、歌右衛門の踊りもまだまだでございますな~」とうまくかわす歌右衛門を、福助が妖しく演じる。

 だが、やがて歌右衛門の目の病状が明らかとなり、お金で解決しようとする側近を怒鳴り散らす玄碩の姿は、まさにド迫力! 怒り心頭の玄碩をうまくなだめ、なんとか歌右衛門を治療するようにコントロールしていく弟子の嘉助を、風間が表現力豊かに演じる姿も印象的だった。

 12日~26日、東京・ル テアトル銀座 by PARCOで上演。
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中村福助
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中村梅雀
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尾上松也
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マキノ雅彦
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「どこにも穴がないキャスト」
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妖しく女形を演じる福助
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玄碩役の梅雀
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公開リハーサル
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公開リハーサル
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