シンガーソングライター・岡崎律子さんと“meg rock”こと日向めぐみのツインボーカルユニット『メロキュア』初のライブ『メロキュア ライブ 2015 melodic hard tour[crescent picnic]』が21日、東京・渋谷のWWWで開かれアンコール含め全17曲で集まった450人の観客を魅了した。
『メロディック・ハードコア』の造語でメロディアスな荒療治を意味する『メロディック・ハード・キュア』を短縮した『メロキュア』として誕生。2002年テレビアニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』OP『愛しいかけら』でデビュー後、卓越したコーラスワークで人気に。岡崎さんが04年5月に亡くなった後も、いまだ愛され続けているユニットとして知られ今年8月にはアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』をリリースした。今回、結成13年目にして念願の初ワンマンライブとなった。
開場直後は会場のある渋谷のスペイン坂に行列ができるなど、道行く人も振り返るほど。場内も満員で、熱気であふれる。
開演前のステージは大きな白い布で覆われていたが、スタートすると、2つのシルエットが投影され、『メロキュア』の2人がそこにいると感じさせる演出から『Pop Step Jump!』でスタート!日向は赤いドレス姿での歌唱を見せ、ピンスポットも下手の日向と上手の岡崎さんの場所に当たるなど、雰囲気満点で、ロックチューンされた楽曲に2人のハーモニーが響いた。
続く『Sunday Sundae』の歌唱の後のMCで日向は、「メロキュアの岡崎律子と日向めぐみです」と自己紹介。日向は「本当にすごく楽しみで2日前からドキドキしてて、夢を見ているんじゃないかという気持ちです」と言いつつ、後ろにあるケーキや水筒などへは、「ピクニック日和なので、おなかが空いたら食べるということで」と、水のお湯割りをティーカップに注いで飲んだり、サンドイッチやいちごショートケーキを食べたりとマイペースさを見せた。
5曲目の『向日葵』に入った直後に、日向はステージ上で早着替えを見せ、白を基調としたミニドレス風ライブ衣装へ。中盤は『my favoritz』、『愛しいかけら』、『ふたりのせかい』、『1st Priority』、『ホーム&アウェイ』と怒涛の流れで一気に駆け抜けた。
『Agapē』からはメロキュア楽曲などを数多く手がけた西脇辰弥氏もピアノなどでゲスト参加することに。西脇氏は「メロキュアっていいよね。ロックだよ!あとめぐっちの歌うめぇ!『メロキュア』はどんな手段を使っても存続させていくよ!今後ともメロキュアをよろしく!」と、テンションも高く、『ALL IN ALL』のラストまで。
アンコールでは、全員ライブTシャツ姿で登場し、バンドメンバーに日向が好きなサンドイッチの具やおにぎりの具を聞きつつ盛り上げる。ベース担当で『メロキュア』ファンの『クラムボン』ミトへは「思いの丈などを話してください」というと、いきなり日向へ「握手してください!」と手を差し出したり、「2曲に1回は泣いてる。ここにいてライブができて嬉しい!ありがとうございます!」と、ファン目線でコメントを。
ここで、10月2日よりアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』のハイレゾ配信が決定したことがアナウンスもされることとなったが、日向は「メロキュア用語では“耳で聴く”というんですが、私が『じゃあ耳で聴いてください』と言うと、『今まで何で聴いていたの?』ってりっちゃんが必ず言うんです(笑)。ヘッドホンのことをついつい耳って言っちゃうんです。いろんなスピーカーで聴いた後に、『次に“耳”で』って言ったらツッコまれたっていう」と、エピソードも披露していた。
そして、アンコール1曲目は「りっちゃんの提供曲」の『笑顔の連鎖』から。『So far, so near』では、日向が岡崎さんと声を重ねるかのように、上手側に体と目線とマイクを向ける姿も。そのままラストの『めぐり逢い』で最高潮に沸かせたまま終演を迎えた……。
……かのように見えたが、13年目にして初というライブをファンは心待ちにしていただけに、誰ともなく「もう一回!」コールをしだし、これに、『メロキュア』も応え、再びステージへ。
この展開へ、日向は「ありがとうございます!本当に予想してなかった」と、声を震わせつつ、「いやー本当に、あっという間でしたね。セットリストを考えているときすごくいろいろ迷ったんですが、大切な曲なので、すごく…1曲1曲噛みしめるようにできたらなと思いながら、かつちょっと欲張りながらのセットリストを作ってみました」と、振り返った。
そして、選ばれたWアンコールは『ホーム&アウェイ』。場内一体となったパフォーマンスで、心温まるような雰囲気のなか、日向は「また『メロキュア』としてライブができたら。メロティック・ハード・ツアー一生続けられたらと思います。メロキュアを引き続きよろしくお願いします!」と、宣言すると拍手が沸き起こりつつ、最後はマイクを通さない地声で、「『メロキュア』の岡崎律子と日向めぐみでした!ありがとうございました!」と、日向は投げキッスを飛ばしその場を後にした。
■セットリスト
M1:Pop Step Jump!
M2:Sunday Sundae
M3:「虹を見た」
M4:木枯らしの舗道を 花の咲く春を
M5:向日葵
M6:my favoritz
M7:愛しいかけら
M8:ふたりのせかい[メロキュア meets 川口圭太]
M9:1st Priority
M10:ホーム&アウェイ
M11:しあわせ
M12:Agapē
M13:ALL IN ALL
EN1:笑顔の連鎖
EN2:So far, so near
EN3:めぐり逢い
WEN:ホーム&アウェイ
■バンドメンバー
メロキュア(岡崎律子&日向めぐみ)
Bs/ミト
Gt/山本陽介
Gt/川口圭太
Dr/山内康雄
Mnp/菅原拓
Guest Pf&Hm/西脇辰弥