イラストレーター・開田裕治さんが20日、東京・MYS銀座で『開田裕治 原画展 「ART of ゴジラ」』トークショーを開いた。
1954年に産声を上げ多くのファンを魅了しているゴジラ生誕60周年を記念したもの。数多くの怪獣を描き“伝説の怪獣絵師”と呼ばれる人気特撮作品の原画やビジュアルアートを手掛ける開田さんのゴジラを中心にした原画展となり、1980年代から展示。大人のファンをうならせるものから、最近のファンをうならせるものまで、さまざまな原画が楽しめる。
開田さんは、本展覧会の開催に、「この展覧会の企画の話を頂いた時に、非常に喜びました。1954年の公開から60年。ゴジラ音楽を作られた伊福部昭さんの生誕100周年と非常にゴジラと縁が深い。銀座という、また、1954年のゴジラで一番最初に大暴れして、向こうの松坂屋さんはまだ復旧工事をやっているようですけど（笑）。記念すべき場所でやれてありがたいと思っています」と、ウィットに富んだあいさつ。
展覧会に飾られているもので、自身の思い入れとして、「どれも思い入れがありますけど、ゴジラの顔をアップだけで描いたのがありまして、これは『ゴジラ伝説』というシリーズの3枚目のイラストなんですけど、ゴジラらしいポーズというのはあるんですけど、僕がゴジラで一番好きなのは顔だなと思って、顔だけを描いたらどうだろうと思って、描いてみたらインパクトがあった。出来の善し悪しというよりも、ですね」と、熱く語っていた。
トークでは、ゴジラ好きになったきっかけ、父親に連れられて映画館に行き怪獣映画を観たことだったそうで「身近にあるなか、そのまま大人になってしまった感じですね」としみじみ。好きな怪獣については、「怪獣は全部好きで、映画自体が魅力的で、怪獣が生き生き暴れていたら、それでいいんです。でも、強いて言うなら最初に観たモスラです。モスラの豪華絢爛たるきらびやかな、昭和のパノラマ絵巻のようなのが好きで、縁が深くてモスラのおかげでいまの女房と知り合って結婚できたんです」と、自身の人生にもつながっているそうだ。
怪獣をこれまで何体描いたかを問われ「1000体以上はくらいはあるんじゃないかな。モノクロのやつから、大型のイラストまで。最初の頃は子供向け雑誌にも描きましたので」と、回想。最近はデジタルで描いたものも多いそだが、「デジタルと言っても、描くという作業に違いはないので、ツールが変わっただけと思っています。仕事の打ち合わせとかでも、色のことや、文字の入れる場所などの話をするときはデジタルの方がやりやすい。でも、絵の具の色彩を重ねる情報量というのは、まだまだ、デジタルは追いついていないので、アナログで絵を描くというのも忘れないようにしたい。将来余裕ができたら、油絵でも描いてみたい」と、思いを語っていた。
ほかにも、俳優・渡辺謙らが出演しているアメリカの映画『GODZILLA』（監督：ギャレス・エドワーズ／日本配給：東宝）が今年7月に公開となるが、開田さんは「なかなかゴジラ見せてくれないんでイライラしているんです（苦笑）。おもちゃが出回っているので、どんな感じかは分かってきたんですが、どんなふうに動いているかは、なかなか見れないんでちょっと歯がゆいですよね。監督の前作の『MONSTE』も観たんですけど、怪獣映画の面白さを理解しているなというのが分かったし、オリジナルのゴジラをリスペクトしているというので楽しみですね」と、期待を寄せていた。
■開田裕治原画展「ART of ゴジラ」
開催期間：3月21日（金）から5月6日（火）
会場：MYS銀座3階チーパズギャラリー（中央区銀座7-12-15MYS銀座3F）
OPEN時間：午前10時～午後7時（無休）
入場料：無料
