映画監督の手塚昌明(59)が9日、都内のシネマート新宿で映画『絆 再びの空へ Blue Impulse』(監督:手塚昌明)の首都圏公開初日舞台挨拶を行った。
2011年3月11日に東北地方を襲った東日本大震災。航空自衛隊のアクロバット飛行チーム『ブルーインパルス』の所属する宮城県松島基地は津波によって航空機は全て流され、壊滅的な被害を受けた。残ったのは、たまたま九州で行われるイベントのために移動していた『ブルーインパルス』の航空機T―4だけだった……この作品は2年にわたるチームの再生の物語である。
被災地の石巻では2月から上映が行われていることに、手塚監督は「映画の中にあったように、去年の東松島<元気祭り>では(天候のため)空に桜を描くことはできませんでした。石巻で最初に公開が決まった時、去年描けなかった桜をスクリーンの中で石巻のみなさんに見てもらおうと思いました」と語った。
震災から2週間後に被災地に入り、「唖然とし」ながらも撮影を開始した手塚監督。わずか4人で製作した作品。通常、映画の最後には「終」とクレジットされることが多いが、同作では「始」の文字が打たれている。
「被災地に行くとわかるんですけど、(震災前の)風景が戻ってこないと実感できます。田んぼの塩抜きをしても10年、20年のレベルじゃない」と唇を結び「こっから始まるんだ、これから復興していくんだという想いで『始』の文字をつけました」と想いを込めた。
また、撮影した山崎隆一カメラマンは「ブルーのメンバー全員おっしゃってたんです『俺たち飛んでいいのかな』。ずっとそういうふうにおっしゃってたんですね。みんな地元に対して何かできないかという想いを持っていた。それでこういうひとつ作品にできて良かった」と感慨深く語った。
最後に手塚監督は「本当に細々と全国各地で観てもらいたい。この映画を観て『ブルーインパルス』になりたいという子がたくさん出てきて、航空自衛隊の方が困っちゃうということになったらいいな」と呼びかけた。
『絆 再びの空へ Blue Impulse』は全国順次公開中。詳細は公式サイトhttp://livespire.jp/movie/kizuna.htmlにて。