人気声優・井上喜久子と田中敦子が5日、都内で『第5回オーディオブックアワード』授賞式に出席した。
『オーディオブックアワード』は、2010年より開催されているもの。音楽を聴くように、いつでもどこでも読書が楽しめる、約10万人の会員を擁するオーディオブックポータルサイト『Febe(フィービー)』のユーザー投票で、2013年2月から14年1月という年間でもっとも支持された作品を表彰するという式典となる。
井上と田中は『文芸あねもねR』を企画したことから『企画賞』を受賞。『文芸あねもね』とは、新潮文庫より出版されたチャリティー書籍で10名の女性作家らがチャリティーのために作品を書き上げ、印税は東日本大震災の復興支援のために寄付されている。そこから、『文芸あねもねR』として趣旨に賛同した井上と田中が企画し、彼女たちが声をかけた小野大輔や釘宮理恵といった人気声優が朗読、オーディオブック化したチャリティー企画となる。全10作品を予定し、現在6作品が配信されている。
本作のPRのために、井上と田中がミニドラマ『文芸あねもねR劇場♡』を出席者を前に生朗読。保健室のクールでちょっぴりプライドの高いアツコ先生役を田中が、アツコ先生に相談しに行く女子高生・キクコ役を井上を演じることに。途中、『文芸あねもねR』のアピールを織り込みつつ、井上が「アツコ先生なんかぼーっとするんです。胸の辺りもキューっとするような気がします」というセリフや、田中が「パーフェクトな保健の先生アツコに分からないことはないわ!」など、なかなか見ることのできない2人の軽妙なやりとりで場内を魅了していた。
今回の受賞に井上は、「このように素晴らしい賞の受賞、ありがとうございます。思い起こせば、約2年前ですね本屋さんで、私が、『文芸あねもね』という1冊の素晴らしいチャリティー書籍に出会って、それから約1年後、私と田中敦子さんで声優仲間に声をかけて、朗読させていただきました。女性作家さんたちが、みなさん作家として何ができるかという思いで書かれたチャリティー書籍を、じゃあ私達声優は何ができるかなという気持ちで録音させていただきました」と、企画への熱い思いを。
さらに、井上は「この場を借りまして、企画に賛同してくれた声優仲間にもお礼を言いたいと思います。それと、一緒に作り上げくださったスタッフのみなさん。なによりも、朗読を聴いてくださっているお客様のみなさまにもお礼を申し上げたいと思います」と、スピーチし感謝を捧げた。
一方の田中は、「素晴らしい賞を頂戴することができて、心から光栄に思い、感謝しております」と、万感。本企画に参加するに当たって田中を動かしたという3つの言葉があったといい、「1つ目は発起人であり、私の友人でもある井上喜久子さんが私にかけてくれた言葉。『書ける人が書き、読める人が読み、歌える人が歌い、演じられる人が演じる。そうやって自分が持てる力を使って、長く被災地を支援していきたい』という言葉です」と、友情のエピソードを。
続けて、「2つ目は『文芸あねもね』のトビラの言葉です。『この本の1編1編が回り回って遠く被災地で、誰かを温める毛布になり、川にかかる橋の手すりとなるよう心から祈って』という言葉でした。そして3つ目は直木賞作家の山本文緒さんがあとがきで書いているもので、『何事も始めることは簡単ですが、それをやり遂げることは困難である』と、この3つの言葉を原動力として、私は支えてもらいながら、『文芸あねもねR』の活動を続けてきました」と、朗々と語る。
さらに、田中は「私達はこれからも、言葉の力、日本語の素晴らしさ、文章の力、文字の力を信じて、支えにしながら、長く長く被災地を応援していきたいと思っていますので、よろしくお願い致します」と、胸の内を語っていた。
※第5回オーディオブック・オブ・ザ・イヤーの記事はコチラ!
■受賞作一覧
○優秀作品賞(文芸・ビジネスを問わず5作品)
・『統計学が最強の学問である』(著:西内啓)
・『世界の経営学者はいま何言を考えているのか』(著:入山章栄)
・『7つの習慣‐成功には原則があった!』(著:スティーブン・R・コヴィー)
・『雨と夢のあとに』(演劇集団キャラメルボックスの舞台をオーディオブック化)
・『桐島、部活やめるってよ』(著:朝井リョウ)
○企画賞(今年から創設された企画が面白いもの、理念が素晴らしいもの)
『文芸あねもねR』(企画・出演:井上喜久子、田中敦子ほか)
○ビジネス部門大賞
『スタンフォードの自分を変える教室』(著:ケリー・マクゴニガル/訳:神崎朗子)
○文芸部門大賞
『ロスジェネの逆襲』(著:池井戸潤)
○第5回オーディオブック・オブ・ザ・イヤー
『海賊とよばれた男』(著:百田尚樹)