作家・志茂田景樹(73)が24日、都内で行われた映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(監督:リチャード・プレス/配給:スターサンズ)大ヒット御礼トークショーに、独特の奇抜なファッションで登場した。
ビル・カニンガムは84歳の現役ファッションフォトグラファー。青いジャケットとカメラ片手に自転車にまたがり、50年以上にもわたりニューヨークの街角で毎日ファッショントレンドを撮影。ニューヨーク・タイムズ紙の人気ファッション・コラム『ON THE STREET』と社交コラム『EVENING HOURS』を担当する、名物カメラマンだ。8年がかりで交渉し、撮影と編集に2年を費や、親しい業界人ですら知らない、彼のプライベートを含め、仕事ぶりに追った密着ドキュメンタリー。
志茂田は、カニンガムを真似て、首からカメラを下げ、ブルーのジャケットを羽織り、赤い自転車に乗って登場。志茂田も独特の“カゲキ”なファッションで知られるが、「ビル・カニンガムが、たぶん撮るであろうファストファッションにしました。(彼は)黄色と緑が好きなんですよ。ニューヨークの5番街を歩くとわかるんですが、黄色とか映えるんです」と、その理由を説明した。
カニンガムも多くの名言を残しているが、志茂田が好きな言葉として、「誰でもセンスはある。ただ勇気がないんだ」と、「大女優を撮らない大バカと言われようが、獲るかどうかはファッション次第だ」の2つを挙げた。
「誰でも~」は、志茂田曰く、「ブランドファッションを着てマネしていたらダメ。周りがやっていないことをやる。そういうセンスはみんなが持っている。ただ、勇気がないんだ。一歩踏み出す勇気だけで、障害や障壁はないはず。勝手に、ここにラインを引いちゃって、無難なファッションにしている。権威だとか、ブランドで誇っているファッション。自分のファッション。ラインだけなので跨げばいい」と、解釈しているという。
「大女優~」の方は、「大女優は権威。着ているのは、もっとも著名なデザイナーがデザインしたもの。称賛されている権威を身に着けている。ファッション次第で撮るよと。そこがすばらしい。それはストリート、道で見つけるよ」と、説明した。
また、志茂田のファッションに関する考え方は、「こういうファッションしていても、事務所から目的地まで車で来れば意味ない。僕は、麻布十番の事務所から、南北線に乗り、丸の内線を乗り継いで来ました。C4番出口を上がれば、この映画館まですぐなんですよ」というと、会場から、驚きと何とも言えない笑いが漏れる。
続けて、「街を歩くのがファッション。コレクション、パーティーで着るのがファッションじゃない。肌を着ているように着れるか。気分が心からよくなるか。ちゃんと、個を通しているか」と、持論を展開した。
会場からの質問で、映画にちなみ、50年間続けているものは何ですか?と問われると、「ウォーキングですね。天候の悪い時はともかく、5キロ前後は歩いています。朝歩けなかったら、夜に歩いたりして」いるそうで、その時のファッションも「汗かくから」といつつ、グリーンのタンクトップに、エンジの短パンに、二―ハイソックスと、やはりハデ。
さらに、「あとは、食事ですね。玄米採食80%。動物性たんぱく質は20%にしています。ただ最近、福島の事故以来、玄米は一番上なので、放射能が付着するんじゃないかと思うので、5分づきにしています。黒い土鍋で炊いてます」と、食事も気を付けているという。
志茂田のTwitterは25万人のフォロワーがおり、人生相談も行っているが、「今、深刻に悩んでいることが多いですね。恋愛問題も多いんですよ。片思いが多いです。告白しても断られるのが怖いから告白できないという人が多い。グループでいると、気分いい感じの雰囲気を出している。嫌に思うことは言うまいと。恋愛にも、そういう意識が働いているけど、恋愛は別物。まったく、正直でピユアでやった方がいい。フラれたらフラれたでしょうがない。1年も2年もそういう人がいるんだったら、まどろっこしくなって。正直に出すと恋愛はうまくいく」と、アドバイス。
成し遂げたいこととして、「読み聞かせ活動をライフワークでやっています。95歳まではバリバリやって、その先は、のんびり暮らそうかなと思ってます。オシャレはずっと変わらない。貫いていくと思います」と、キッパリ。
最後に、「コーヒーは3ドル。安いほどいい」というカニンガムの言葉を引用し、「モノよりも心を大切にしてください」と、訴えた。
同映画は、新宿バルト9、横浜ブルク13、梅田ブルク7、T・ジョイ京都、T・ジョイ博多で絶賛上映中