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小津安二郎監督、生誕110年・没後50年プロジェクト発表!3大映画祭出品&5作品カラー化で復元

小津安二郎監督、生誕110年・没後50年プロジェクト発表!3大映画祭出品&5作品カラー化で復元
小津安二郎監督「生誕110年・没後50年プロジェクト発表会」

 映画『東京物語』(53年)、『秋刀魚の味』(62)など、日本の人と心を独自の作風の中に捉え続けた映画監督の小津安二郎(満60歳没)さんの「生誕110年・没後50年プロジェクト発表会」が10日、東京・東銀座「東劇」内にある「(株)松竹」本社会議室で行われた。

 2月に行われたベルリン国際映画祭での上映についで、5月のカンヌ国際映画祭、8月末のヴェネチア国際映画祭と、3大映画祭でのワールドプレミア上映。『彼岸花』『お早よう』『秋日和』『秋刀魚の味』のカラー4作品を東京国立近代美術館フィルムセンターと松竹株式会社が共同でデジタル修復される。さらに、現存する小津作品37本がすべて上映されるなど、この1年間、イベントや上映が目白押しだ。

 小津監督の作品は、「小津組」と呼ばれる固定されたスタッフやキャストで、「小津調」と称される独特の映像世界で無声映画からトーキー、白黒からカラー映画と世代を超えて優れた作品を次々に生み出し、世界的にも高い評価を得ている。

 2012年『東京物語』が、「その技術を完璧の域に高め、家族と時間と喪失に関する非常に普遍的な映画を作り上げた」との評価が高まり、イギリス映画協会の機関誌『サイト・アンド・サウンド』の10年に1度行う「映画史上ベスト作品」において、著名な映画監督358人が選んだ世界第1位の映画となった。

小津安二郎監督、生誕110年・没後50年プロジェクト発表!3大映画祭出品&5作品カラー化で復元

 「松竹株式会社」の迫本淳一代表取締役社長は、「独特のユッタリとしたテンポで、低いアングルからの映像。きちんとした親と子、夫と妻の間に展開するヒューマンなストーリーで独自の世界を築いておられる。小津監督は、『永遠に通じるものこそ常に新しい』と言われましたが、いま観ても新鮮です。小津監督の映画を見つめ直し、偉大な足跡を多くの人々に発信していくことが使命。小津作品の世界を未来の方々につないでいけるような形になれば」と、今回のプロジェクトの意義を説明した。

小津安二郎監督、生誕110年・没後50年プロジェクト発表!3大映画祭出品&5作品カラー化で復元
「小津組」プロデューサー・山内静夫さん

 「小津組」プロデューサー・山内静夫さんは、「当時の“小津組”の人はもう2、3人しか残っていない。没後50年でこういう催しをされるのは稀有なことです」と、思いを語った。そして、自信も発起人代表として尽力した『蓼科日記 抄』の出版に、「蓼科にいる間の日常を記した日記のようにもの。小津に関する最後の、非常に大きな資料として意義深い。『蓼科日記』は、野田高梧の山荘に小津が泊まり、住んで、脚本を書いていた。脚本を書くという仕事と、生活しているのが一体。日常生活の中に作品があり、脚本が生まれてくる。そういう意味で“小津調”の原点。興味深いものです」と、意義を語った。

 『蓼科日記 抄』は、すでに評判となっており、英語圏、ヨーロッパ、中国などから、「ぜひ、翻訳して欲しい」と、依頼が舞い込んでいるほどだ。

 「松竹株式会社」取締役の大角正映像副本部長は、「我々にとって小津監督の作品は、大切な大切な文化遺産。世界文化遺産ぐらいに思っていますし、世界の映画関係者からもそう言われている。アン・リー監督は、『東洋的な人間模様とセリフ回しに心を鷲づかみにされた』と、ブログなどで語っています。生誕110年・没後50年というメモリアルな年ということで、この1年、いろいろ紹介していって、10年先、20年、30年先にもやっていきたい」と、思いを語った。

 また、小津さんは、12月12日に生まれ、60歳の誕生日の日にお亡くなりになった。その「特別な日」に何か考えていますかと問われると、大角氏は、「何かやれたらいいなぁと思って、検討しています」と、企画中であると語った。

 今回の「小津安二郎生誕110年・没後50年プロジェクト」の3大目玉企画が、「海外の3大映画祭での上映」「4作品のデジタルリマスター版での復元」「フィルムが現存している小津作品の全37本を上映」である。

 「海外の3大映画祭での上映」は、2月の『第63回ベルリン国際映画祭』での映画『東京物語』デジタルリマスター版海外初上映についで、5月の『第66回カンヌ映画祭』で、映画『秋刀魚の味』デジタルリマスター版ワールドプレミアム上映。上映前に是枝裕和監督がメッセージ出す予定という。さらに、8月末から行われる『ヴェネチア国際映画祭』で、映画『彼岸花』デジタルリマスター版ワールドプレミアム上映も決定。

 「4作品のデジタルリマスター版での復元」は、松竹と東京国立近代美術館フィルムセンターの共同作業により、小津安二郎監督の『彼岸花』(58年)、『お早よう』(59年)、『秋日和』(60年)、『秋刀魚の味』(62年)の4作品がデジタル修復され、カラーで鮮やかによみがえる。

 「フィルムが現存している小津作品の全37本を上映」は、6月22日~7月19日 大阪『シネ・ヌ―ヴォ』にて、「生誕110年・没後50年 小津安二郎の世界」と題して、主要な小津作品を一挙上映

 さらに、11月23日~1月13日(12月30日~1月13日まで休館) 東京『神保町シアター』にて、「現存する全作品37本を特集上映」する。

 今後も、続々と企画され、発表されていくという。

 「小津安二郎 生誕 110年」(www.shochiku.co.jp/ozu/)‎

 

小津安二郎監督、生誕110年・没後50年プロジェクト発表!3大映画祭出品&5作品カラー化で復元
「松竹株式会社」代表取締役社長 迫本淳一
小津安二郎監督、生誕110年・没後50年プロジェクト発表!3大映画祭出品&5作品カラー化で復元
「松竹株式会社」取締役 映像副本部長 大角正


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「東京国立近代美術館フィルムセンター」主幹 岡島尚志
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『第63回ベルリン国際映画祭』用ポスター


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『第66回カンヌ映画祭』用ポスター
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