女優・仲間由紀恵（34）と俳優・市村正親（65）が22日、都内で行われたアニメ映画『ジョバンニの島』（監督：西久保瑞穂／配給：ワーナー・ブラザース映画）の初日舞台あいさつに、俳優・横山幸汰（13）、谷合純矢（7）、原作者で脚本を担当した杉田成道氏、西久保監督とともに登壇した。
一般社団法人 日本音楽事業者協会 創立50周年を記念して作られた同作品は、宮澤賢治の小説『銀河鉄道の夜』をモチーフに、1945年に北方4島の色丹島で実際に起こった旧ソ連の占領下で起こった実話を基にしている。戦争の悲惨さ、小さな兄弟の絆、親子の愛、ロシア人との交流、島民たちの過酷な状況の中でも生き抜く強さをある家族の視点で描いた感動の物語。
2月22日の映画公開を前に、試写を観た芸能人・著名人たちが感想を語る動画が、映画『ジョバンニの島』公式サイト(http://wwws.warnerbros.co.jp/giovanni/messages/index.html )にアップされているが、その数が合計183名という人数も話題になった。
島の防衛隊長で、シベリアの強制収容所に送られてしまう純平・寛太の父・瀬能辰夫の声を担当した市村正親は、「後半は僕も2人の父親なので、どうしようもないぐらい目が真っ赤になっちゃって、翌日の（舞台の）けいこでも大変だった。本当にいい作品」と、アピール。
純平の担任の教師・佐和子の声を担当した仲間由紀恵は、「今回は声のお芝居と言うことでとても緊張して臨ませていただきましたが、杉田さんの熱い演出を受けてなんとか無事に乗り切ることが出来ました」と、アニメ映画『機動戦艦ナデシコ －The prince of darkness－』（98年公開）以来の声優挑戦を振り返った。「たくさんのひとに伝えたい、残していきたい素晴らしい作品になっていると思います」と、アピール。
続いて、子役の2人があいさつするのを仲間は、後ろから、劇中の“佐和子先生”のように、ちょっと心配そうに見つめ、あいさつが上手にできると、優しい微笑みを浮かべて見守った。
主人公の瀬能純平の声を担当した横山幸汰くんは、「今日は、こんな大勢の方に映画を観てもらえてとてもうれしいです」と、やや緊張気味に語り、純平の弟・瀬能寛太の声を担当した谷合純矢くんも、「今日はありがとうございました。たくさんの人に観ていただいてうれしいです」と話す。
好きなシーンとして、市村は、「子供たちが父親に会いに来てくれるところはジーンと来て、好きですね。初っぱなに2人がたまごを取に行って、鳥にオシッコ引っかけられるところは、うちの長男が好きですね。辰夫の役は、厳格な感じ。僕は厳格じゃないので、そこは演技力でカバーしました」と、ユーモアを交えながら語った。
仲間は、「学校で子供たちに教えているシーンですね。ロシアの子供たちも学校に入ってきて、日本の子供たちと歌合戦になっていくシーンは微笑ましくて、時代が苦しい戦争になっても、子供たちは純粋な気持ちと好奇心だけで、手を取り合って仲良くなれるんだなぁと、私にとって感動シーンでした」と、
横山くんは、「寛太が病気で倒れてしまって、寛太とトラックの中で話しているシーンが好きです。妹がいるので、妹と寛太を置き換えて、演技しました。妹には、『幸汰じゃないみたい』といわれました」と、微笑ましいエピソードで笑わせた。谷合くんは、「僕はお父さんに会えたところです。悲しい思いでやりました」と、語った。
演歌歌手の北島三郎（77）が兄弟の祖父の瀬能源三役として初声優にチャレンジしたが、北島の印象を聞かれた子供たちは、「とても優しくて、カッコ良かったです。緊張せずに頑張ってくださいといわれました」（横山くん）。「優しくてカッコいいと思いました」（谷合くん）と、感想を。
映画について仲間は、「今回の作品の脚本を読ませていただくまで、恥ずかしながら、こんな事実すら知りませんでした。こんな知らないところで、戦争の傷跡というか、苦労された方がいらっしゃったという事実を知っていただき、残していただきたい」と訴えた。
さらに、今、くしくもロシアでソチオリンピックが行われているが、「ソチオリンピックでも日本の選手があきらめずにずっと頑張った姿は、私たちに勇気を与えてくれた。それと、この2人のあきらめない姿がかぶると思う。私も2人を見習っていろんなことをあきらめずに頑張ってきたい」と、力強く語った。
市村は、「教室の中で日本の子供たちがロシアの歌をうたって、逆にロシアの子供たちが日本の歌をうたってという場面があったときに、ステキな場面だなぁと。ソチオリンピックに引っかけて言うなら、いろんな国の人々が集まって、開会式も見事だった。子供たちはいつも仲良くなれるのにも、なんで大人は仲良くなれないのかなぁ。大人に見てもらって、子供の気持ちを忘れないでほしい」と、訴えた。
また、杉田氏は、「ごらんになった。根室に行きまして、元島民の方20～30人と市民の方が集まっていただきました。佐和子先生のモデルとなった先生（鈴木としさん）がご存命で92歳。純平くんのモデルとなった得能宏さんが81歳。92歳の先生が、『冥途の土産になりました。ソ連兵が教室に来るところは、あのままでした。膝が震えて。胸がジーンときました』と言われました」と、15日、根室市内の道立北方四島交流センターで開かれた試写会の様子を語った。
同作品は、2月22日より全国ロードショー
