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元宝塚宙組トップスターの大空祐飛、初のストーレートな女役!蜷川「人間になりつつある」

元宝塚宙組トップスターの大空祐飛、初のストーレートな女役!蜷川「人間になりつつある」
宝塚対談後、初の舞台出演となる大空祐飛

 元宝塚歌劇団・宙組トップスターの大空祐飛が9日、東京・渋谷Bunkamuraオーチャードホールで行われた唐十郎作、蜷川幸雄演出の舞台『唐版 滝の白糸』『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』合同製作発表会見に、演出家・蜷川幸雄(77)、俳優・窪田正孝(24)、平幹二朗(79)、女優・宮沢りえ(40)、俳優・古田新太(47)、小出恵介(29)らと出席した。また、フォトセッションのみ唐十郎(73)が参加した。

 大空が出演するのは舞台『唐版 滝の白糸』は、初演が1975年。実現不可能といわれた大掛かりかつ緻密な舞台装置を、映画撮影所を劇場に選ぶことで実現。まさに、時の一大事件となった作品。2000年に、蜷川がシアターコクーン芸術監督就任2年目の1本目として3度目の上演。それ以来、13年振りに4度目となる<戯曲への求愛>。

 忘れ去られた町で、お甲と孤独な少年・アリダの魂が邂逅するその時、流し台が宙を舞い、水芸の水は赤く染まるという舞台『唐版 滝の白糸』について蜷川は、「(『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』に比べて、過去の上演は)割とうまくいってるんですが、大空さんも退団後、僕らの作品を選んでくれた。新しい久保田くんも含め、新しい『唐版 滝の白糸』を作ることが出来るんじゃないか」と、期待をよせた。

元宝塚宙組トップスターの大空祐飛、初のストーレートな女役!蜷川「人間になりつつある」

 妖艶でありながら、性悪さと優しさを併せ持つ水芸人・お甲役の大空は、「昨年、宝塚を退団しまして、初の作品。初めてにこんな挑戦を与えてくださったことに感謝しております。初めてというのは一回しかないので、この機会に初めての興奮や緊張がいい意味で出るように全力で挑みたい」と意気込みを。

元宝塚宙組トップスターの大空祐飛、初のストーレートな女役!蜷川「人間になりつつある」
「最後に恐ろしい世界に飛び込んだ」と平

 禁断の恋に翻弄される青年・アリダ役の窪田は、「初めてお仕事させて頂きます。ここにいる誰よりも舞台の経験は少ないんですけど、蜷川さんに、『この作品は、今の時代だからこそ作りたくなる作品だから、思い切り楽しんでやってくれ』と、温かい言葉をいただきました。精一杯、力強くアリダを演じ、アリダを通して蜷川さんにバンバンぶつかっていきたい」と、瞳を輝かせた。

 過去を追い求めるかに見える謎の男・銀メガネ役の平は、「僕がまだ若い頃、唐十郎さんの芝居の世界は、眩しくてキラキラしていて、どこか恐ろしくて、あまり近づくことができませんでした。新劇育ちだった僕は、(唐十郎さんの)作品に接すると、戯曲を読み解く力がない、表現する感覚が乏しいことがバレてしまいそうで、アナザーカントリーでした」と、振り返る。

 そして、「でも、この秋で80歳になって、演出家(の蜷川さん)、作家(の唐さん)に負けないぐらい死が近くなっております。最後に恐ろしい世界に飛び込んで、若い空想力やピチピチした筋力はないですが、唐さんの言葉の魔力を頼りに、唐戯曲の世界を飛んでみたいと思っております」と、ウィットにとんだコメントで笑わせた。

 演出とキャスティングのポイントについて蜷川は、「大空さんが『演りたいよ』と言っているのを聞いて、何がいいか。僕は宝塚に詳しくないので、家族が宝塚ファンなので、聞いたらDVDを貸してくれました。映像を見たら、行けそうだなと。ただ、いい宝塚と悪い宝塚がいる。性格の悪い宝塚がいっぱいいるんですが、お会いしたら、真しな女優さんだったので、一緒に仕事が出来ることを喜んでいます。平さんは尻込みしていたのに、ようやく出て頂きました。窪田くんは、一緒に仕事しようと思って、前回、オーディションの時に、セリフ満足に覚えていなかったので止めました。でも、いい俳優だったので、今回声をかけました」と、蜷川節も“舌好調”だ。

元宝塚宙組トップスターの大空祐飛、初のストーレートな女役!蜷川「人間になりつつある」
「(大空は)宝塚から、人間になりつつある」と蜷川氏

 それを受けて、大空は、「いい宝塚か悪い宝塚かは自分ではわからないのですが、ストレートプレイで女を演じるのも初めて、外の舞台も初めて。こんなとんでもなく未知数な私に、チャレンジをくださった。素晴らしく幸せなことだと思って、蜷川さんの舞台にかけてらっしゃる情熱について行って、体当たりで、脚本の向こう側に飛び込んでいけるように早くなりたい。今からお稽古楽しみにしています」と、胸踊らせた。

 蜷川は、「大空さんは、初めての仕事ということで楽しみですけれども、だんだん何度かお会いするうちに、始めの宝塚から変わってきて、変貌しはじめて人間になりつつあるので、楽しみにしています」と、笑わせた。

 唐作品について大空は、「台本を頂いて、食べ物のように思う。今まで食べてきた私の台本たちは、食べやすくて、消化しやすい食べ物だった。今回の台本頂いた時に、大人の味で、今までほど消化は良くない。消化した時にとてつもない熱量になる予感がした。一度食べたらやめられない麻薬的な味。唐さんの魅力のある脚本に出会えたことは幸せなこと」と、わかりやすい例えで、気持ちを説明した。

元宝塚宙組トップスターの大空祐飛、初のストーレートな女役!蜷川「人間になりつつある」
蜷川氏からの言葉に大笑いする大空

 窪田は、「初めて台本読んだ。頭がポカーンとしたのが最初の印象。蜷川さん=灰皿、スリッパが飛んでくるという怖い方。ジャケットの撮影の時に、怒られる覚悟で、『僕にはわかりません』と聞いたら、『僕もわからないから』と、言って下さった。『唐さんのは言葉の遊びだから、台本のセリフは全部、詩だと思って楽しんで。頭で考えず、身体で反応すれば、自然に流れに乗れるから』という言葉を頂いたので、頭で考えるのはやめて、唐さんの言葉の遊びに乗っかって、蜷川さんの稽古をしたい一心でいます」と、気合十分。

 平は、「蜷川さんとは、ずっと長い間、演ってきました。蜷川さんから『唐の芝居に出てみないか』と、何度かお声をかけて頂きました。そのたびに(台本を)読んでみると、はてなマークがいっぱいあって、勇気が出なかった。そんな中、『滝の白糸』は、他の作品よりはてなマークが少なかった。芝居を背負っている2人のセリフよりも、僕は狂言回し的な役なので、少し楽かな。淀んだものはそこにありますけど、軽いタッチで演じれば、流れに乗っていけるかなと。唐さんの芝居のセリフを喋ってみたいなと思ったので、参加させて頂きました。楽しみにしています」と、今回の要請を快諾した理由を語った。

 舞台『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』は7月6日~28日、『唐版 滝の白糸』は10月8日~29日まで渋谷のBunkamura シアターコクーンにて上演予定。

 大阪公演は、『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』が8月3日~11日、『唐版 滝の白糸』が11月にシアターBRAVA!にて上演予定。

 

宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」


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演出家の蜷川幸雄氏
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元気な姿を見せた唐十郎


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「ストレートプレイで女を演じるのも、外の舞台も初めて」と大空
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「唐版 滝の白糸」


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禁断の恋に翻弄される青年・アリダ役の窪田正孝
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「アリダを通して蜷川さんにぶつかっていきたい」と窪田


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謎の男・銀メガネ役の平幹二朗
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『盲導犬』と『唐版 滝の白糸』合同製作発表会見


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「唐版 滝の白糸」について語る蜷川氏
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登壇したキャスト陣と演出家の蜷川氏
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