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宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」

宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
天海祐希の代役については一言も語らなかった宮沢りえ

 女優・宮沢りえ(40)が9日、東京・渋谷Bunkamuraオーチャードホールで行われた唐十郎作、蜷川幸雄演出の舞台『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』『唐版 滝の白糸』合同製作発表会見に、演出家・蜷川幸雄(77)、俳優・古田新太(47)、小出恵介(29)、元宝塚歌劇団・宙組トップスターの大空祐飛、俳優・窪田正孝(24)、平幹二朗(79)らと出席した。また、フォトセッションのみ唐十郎(73)が参加した。

 心筋梗塞で入院中のため、上演中の舞台を途中降板した女優・天海祐希(45)の代役として、急きょ出演することが決定した宮沢が出席。当初、9日午後1時から予定されていたが、宮沢が午後から稽古に入るため、前日に、会見時間が2時間繰り上がった。同日午前11時に変更されたにもかかわらず、大勢のマスコミが詰めかけた。

 記者会見の前に、主催者側から、「宮沢りえさんに関する報道がございましたが、本公演に関するご質問のみとさせていただきます」と、注意喚起があったが、報道陣から、「宮沢さんは、また、違う世界にも急きょ入るという思いも」との質問が。すると、蜷川は、「来たよ、来たよ」と、苦笑い。

 すかさず、主催者側から、「その質問は、この公演と関係ありませんので、割愛させていただいて」と、ストップ。さらに、降壇する際にも、「天海祐希さんに一言」などと、宮沢に声がけがなされたが、コメントは一切なかった。

宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」

 宮沢が出演するのは舞台『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』。蜷川が主宰していた劇団『櫻社』のために唐十郎が書き下ろし、蜷川が初めて手掛けた「唐戯曲」。73年の初演時には、当時の社会情勢が色濃く反映されたアジテーション演劇とも評された衝撃作。89年に再演され、今回が3度目の上演となる。

宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
思い出をコインロッカーに封印された女・奥尻銀杏役の宮沢りえ

 唐&蜷川コンビの作品は、昨年の舞台『下谷万年町物語』に次いで2度目となる宮沢は、「前回、出演して、それで虜になりました。今回も、お2人に囲まれながら、どんな化学反応が起こって、台本では見えていなかった発見が、舞台の上にどれだけ散りばめられているかを想像すると、ワクワクしてしょうがないです。楽しみながらやりたいと思います」と心待ちにしている様子。

 蜷川は、宮沢の魅力について、「宮沢さんはかっこいいですよ。美しいだけでなく、戯曲を理解する力がある。役に乗り移るときに、独特のスピード感と色気とエネルギーがある。今、最も輝いている女優さんと思っています。それが宮沢さんと仕事をする最大の理由ですね。時々、夜明けの電話というのもあるんですけど」と、絶賛。

 運命の女は四つん這いで吠え、盲人のガスバーナーは青い炎を吐き出す!灰色に輝くあかずのコインロッカーが開くとき、“不服従”の犬ファキイルが劇場を駆け抜けるという。『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』。

 同作への思いについて蜷川は、「長い間、もう一度やりたいなぁと思っていました。1回目は成功したんですけど、2回目は失敗しました。キャスティングもちょっと失敗したんですけど、演出が最悪でした。死ぬ前にきちんとすごい作品を作って最後にしたいなぁと思ってます。今回は自信のキャスティングです。どこに本当の心があるかわからない恐ろしい人たちを相手に、客席を興奮の渦に巻き込みたい。犬は本当のシェパードを使います」と、リベンジに燃えている。

宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
舞台への思い語る宮沢

 また、「『下谷万年町物語』をやってみて、やっぱり唐の芝居はいいなと思いまして、ぜひ、『唐版 滝の白糸』と共に、70年代劇のものすごく良質な面白いものを若い世代にも見て欲しいと思ったのが、もうひとつの理由です」と、この作品にかける並々ならぬ思いを語った。
 
 かつての思い出をコインロッカーに封印された女・奥尻銀杏(オクシリ イチョウ)役の宮沢は、「台本を最初に読むと、はてなマークが100個くらい浮かんだりするんです。言葉の飛躍がドンドン、ジェットコースターのように進んでいくのに、ついていけないんです。それが立ち稽古に入って、相手役の人がいて、温度が高まっていくうちに、ひとつもなくなって、飛躍していく世界にドンドン自分が吸い込まれて行って、追い越す瞬間があって、その発見が毎日あるのが、やめられなくなるなぁと思ったところでした」と、唐&蜷川のゴールデンコンビによる舞台の魅力を。

 不服従の盲導犬を探している盲人・影破里夫(エイ ハリオ)役の古田は、『愛の乞食』(1997年)以来、久しぶりに唐十郎作品へ出演するが、「その間、なんとか、唐さんと蜷川さんのお芝居をやれないものかと話をしてきたんですけど、やっと念願が叶いました。『盲導犬』は、唐さんの宝石のようなセリフが散りばめられていて、他の方と丁々発止でやっていかなければいけない。大好きだけど難しい作品です。表層的に見ていると、全く意味がわからないと思うんですけど、それで構わないと思っています。意味がわからないものを体感していただいて、これが面白いんだと感じていただければと思います。大好きな唐先輩と蜷川先輩が死ぬ前に間に合ってよかったな」と、冗談めかして笑いを誘った。

宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
「最高の怪物に囲まれて」と、小出

 破里夫と奇妙な絆を結んでいくフーテン少年役の小出は、「蜷川さんと出会ったのが5年ほど前で、始めての舞台でした。それから、年に一回ぐらい蜷川さんとやらせていただいて、毎回、苦しい戦いを強いられてますが、今回は一番大変なんじゃないかなぁと思っています。宮沢りえさんと古田新太さんという“最高の怪物”に囲まれて“怪物ごっこ”を楽しみたいなぁと思っております」と、覚悟の程を示した。

 同舞台の魅力・意気込みとして、古田は、「(唐さんの舞台を)学生の頃から見てました。抒情的で、センチメンタルで、ロマンティックなんです。でも、ポエムではなく、会話劇になっているとこが凄い。そして、こけおどし。それを蜷川さんが輪をかけて脅しにかかるわけですから、こんな楽しい作品はないわけで、ぜひやってみたいなと思っていました」と、魅力を。

 小出は、「『下屋万年町物語』を見させていただいた時には、すごい素敵だなと思いました。台本読ませてもらったときに、どうやって演るんだろうと途方に暮れる。そういう経験はたぶんあまりなくて。安心して開放できる。安心して壊れられる場、空間なんじゃないか。自分がどこまでいけるかが楽しみ」と、自分へのチャレンジだという。

 舞台『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』は7月6日~28日、『唐版 滝の白糸』は10月8日~29日まで渋谷のBunkamura シアターコクーンにて上演予定。

 大阪公演は、『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』が8月3日~11日、『唐版 滝の白糸』が11月にシアターBRAVA!にて上演予定。

 

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演出家の蜷川幸雄氏
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元気な姿を見せた唐十郎


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不服従の盲導犬を探している盲人・影破里夫役の古田新太
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「大好きな先輩2人が死ぬ前に間に合ってよかった」と古田


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破里夫と奇妙な絆を結んでいくフーテン少年役の小出恵介
宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
天海の代役の話題に「来た、来た」と笑い出す蜷川氏


宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
唐氏(左)を気遣う宮沢りえ(右)
宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
蜷川からのべた褒めにテレル宮沢


宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
古田のトークに話し込む
宮沢りえ、唐作品は「言葉の飛躍がジェットコースター」!蜷川幸雄、「死ぬ前にすごい作品を」
3人談笑し、早くも息もピッタリ


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「盲導犬」について思いを語る蜷川氏
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『盲導犬』と『唐版 滝の白糸』合同製作発表会見


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『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市より」-』
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