女優・吉永小百合(67)が3日、都内で行われた映画『北のカナリアたち』(監督:阪本順治/配給:東映)完成披露会見に俳優・柴田恭兵(61)、里見浩太朗(75)、森山未來(28)、松田龍平(29)、女優・満島ひかり(26)、宮崎あおい(26)、小池栄子(31)らとともに出席した。
ベストセラー作家・湊かなえの『往復書簡』を原作に、東映60創立60周年記念作品の『北のカナリア』が、ついに完成。北海道の離島の小学校に赴任した教師・川島はる(吉永)は、6人の生徒たちを受け持つことに。合唱を通じて、子供たちと心が触れ合ったはるだったが、ある夏の日、生徒たちと行ったバーベキューで、悲しい事故が一同を襲う。はるは追われるように島を出てしまうが、ずっと心に残るのは6人の生徒のことだった…。
まず、阪本順治監督(54)、撮影の木村大作(73)、原案の湊かなえ、脚本の那須真知子、音楽を担当したヴァイオリニスト・川井郁子(44)、企画の黒澤満のスタッフ6人による会見が行われ、阪本監督が「きょうを迎えることができて、ホッとしています。これから私たちが生んだ子供を育ててくれるのは映画館という揺りかごのお客さんの方々です。愛してもらって、大事に育てていただければ」と、感慨深く挨拶。
『剱岳 点の記』で監督を務めており、饒舌なことで知られるカメラマンの木村は、いきなり「きょうはなにもありません！」と叫び、報道陣を笑わせる。さらに「後ろに俳優さんが控えているから、もう我々はいいんじゃない？」と、報道陣が言いたくても言えないことをズバッと言ってくれたかと思えば、「こっちから指名しようか？ あなた！」と、女性記者を指差し！ 女性記者が「撮っていて一番苦労したこと、吉永さんのオススメのショットは？」と質問すると、木村は「『厳しさの中にしか美しさはない』と僕はずっと言っているけど、吉永さんは厳しい中に立っていて、凛としていた。それで出てくる映像だから素晴らしいと思いますよ」と、自画自賛。
そして、木村が「あなた観てないんですか？ 観た？ どう思うんだよ！」と逆質問すると、女性記者は「もちろん素晴らしかったですし、最後は号泣させていただきました」と返答。これに気をよくした木村が拍手すると、つられたように周囲も拍手し、明るい雰囲気のままキャストによる会見へ。
主演の吉永は、「1年かけて『北のカナリアたち』が完成しました。2ヶ月間の利尻・稚内・札幌というロケの間は、あまりの厳しさにとても乗り切れないかもしれないという不安が出てきてしまいましたが、なんとか無事にロケが終わりました」と、困難な撮影を乗り越えた思いを語る。そして、「スタッフの方たち、ここに出演している皆さんも本当に寒い中で頑張られたのだから、私ももっとしっかりしなきゃと思い直して、夏のロケに備えて体力作りをしました。こうやって皆さんに完成披露することができましたことをホッとしております」と、周囲に感謝しきりだった。
はるの夫・行夫役の柴田は、「制作発表のときに夢が叶ったといいましたけど、いま欲が出てきて、あと2、3本ご一緒させていただきたい」と、吉永にラブコール。はるの父親・堀田久を演じた里見は、「久しぶりの映画だったけど、映画っていいな～と。ラストシーンでは、私と吉永さんが吹きすさぶ雪と風の中にいるんですけど、あの寒さはどうやったらお客さんに感じてもらえるか。私たちは時々車で休めるんですけど、スタッフさんは朝から晩まで動いて、大変だろうな～と思っていました」と、スタッフに脱帽しつつ、極寒だった撮影を振り返る。
続いて、生徒役の5人は、「素晴らしい役者さん、スタッフさん、北海道の大きくも厳しくも優しい大自然に囲まれて、この映画に関われて幸せです」(森山)、「木村さんに『映像がキレイでした』と言ったら、『キレイじゃない！ キレイは作られたもののことだから、美しいと言いなさい！』と怒られたので、とても美しい映像と言わせていただきます」(満島)、「北海道の大きな自然の力と音楽が、胸にズンと響いてくるような映画。きょう改めて素晴らしいキャストの方に囲まれていたんだなと思えて、幸せでした」(宮崎)、「尊敬する同世代の役者さんたち、いまでも第一線で活躍されている大先輩方と現場をともにしたことは、とても楽しく感動的な撮影時間でした。きょうみんなで顔合わせて、さらに感動しています」(小池)、「素晴らしいキャスト、スタッフ、今回初めて吉永さんとご一緒させていただいて、凄くいい経験をさせていただきました」(松田)と、それぞれコメント。
改めて、映像で観た感想を聞かれ、満島が「現場の空気が澄んだときに吉永さんが振り返って、本番が始まる瞬間があった。それが凄く記憶に残っていて、本当に神々しい表情をされていた」と、奇跡の瞬間を回想すると、吉永は「初めてコーラスの練習をしたとき、6人が真っすぐ私を見てくださって、なんとも言えない感動だった。私は先生になりたいと思ったこともあったので、俳優冥利というよりは、先生冥利でした」と、嬉しそうに語った。
また、吉永は仲村トオル(47)とのキスシーンについて質問されると、「トオルさんが礼文島を出て、東京にお帰りになるとき、『お疲れ様』って普通は言うんですけど、気恥ずかしくてトオルさんのところに行けなくて、余韻に浸っていました」と赤面し、下を向いてしまう事態に！
乙女な部分も見せた吉永だったが、「サスペンスなんだけど、最後はみんなの思いやりとか優しさ、温かさとかがジワーッと出てきているような作品。世界中でも日本でも、つらいことがいっぱいある現状ですけど、なんとか皆さんの心に温かい思いが灯ってくださったら」と、しっかりとメッセージを送った。
11月3日、全国ロードショー！
