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「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる

「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
トークショーを行った3人

 女優・松たか子(35)と俳優・阿部サダヲ(42)が“結婚詐欺”を働く夫婦役で初共演を果たし、話題の映画『夢売るふたり』(配給:アスミック・エース)のオリジナルサウンドトラック発売記念トークショー&『モアリズム』のミニライブが8月31日、都内で行われ、監督の西川美和(38)と俳優・大堀こういち(49)、西川監督のデビュー作『蛇イチゴ』以来、“西川映画”の音楽を手がけている『モアリズム』のフロントマン・ナカムラが出席した。

 東京の片隅で小料理屋を営んでいた里子(松たかこ)と貫也(阿部サダヲ)夫妻は、火事ですべてを失ってしまうが、“自分たちの店を持つ”という夢を捨てきれず、結婚詐欺に手を染めてしまうというストーリー。

 映画『ゆれる』(06)、『ディア・ドクター』(09)などが国内外の賞を総なめにした、今最も注目される西川監督。その西川監督と10年来の盟友でもある『モアリズム』ナカムラ。この2人に比べるとネームバリューがやや落ちる大堀が登場。「阿部サダヲがくると思ったでしょ」とイジられ、司会者から、「まずは、大堀さんの説明から」と、ふられる。

「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
松たかこと“ペアルック”のTシャツ

 火事で焼け出された松が、働くラーメン店の主人役の大堀は、役者仲間から「どういうルートで(西川監督の作品に)入ったの?」と、驚きを持って聞かれるそうだが、そのきっかけは、大堀が「フォークシンガー小象(しょうぞう)」という名で歌手活動をしているライブを『モアリズム』と一緒にやった時、西川監督も見に来ていて、「あの人面白いですよね」という話になった。ナカムラが、「役者さんなんですよね」と話したという。

 西川監督は、「お会いして話をたくさんしたわけではないけど、台本が出来てナカムラさんに渡した時期に、ナカムラさんが、『このラーメン店主、大堀さんが絶対いいよ』と、言ったので、『それ納得だな』」と、共感して決まったという。

 西川監督は、大堀の役どころについて、「何でもないわき役のように見えて物語の鍵を握っている役。後半の活躍しているシーンは、今作中最も圧迫感あるカット」と、重要な役どころを強調したが、ナカムラは、「キモイおじさん。すっげぇいい人なんだけど、女性的にはキモイ人」と、バッサリ。当の大堀は、「映画の登場人物の中で、唯一、純粋な男」と、いい人を強調する。

 また、大堀は、映画の中に着ている、黄色地に赤でラーメン店「旨くてご麺!ラーメン大統領」のロゴと店主の顔がプリントされた「ラーメン屋Tシャツ」を自慢げに披露し、「僕が、『これ持って帰ります』といったら、松さんも『私も持って帰ります』と言ってくれた。だから、このTシャツは僕と松さんしか持っていない。ペアルックです」と、子供のように堂々と見せびらかし、笑わせる。

「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
西川美和監督

 本題の(?)8月22日に発売されたサウンドトラックについて、西川監督は、「東京という街を初めて撮って、話の内容も生々しくて、人間関係の薄汚れたもの、悲しいものがたくさん映っているが、音楽は、その汚れた、生臭い話を美しく包み込むように作ってもらいたいとお願いして、作ってもらった」と、説明した。

 これに対してナカムラは、「『蛇イチゴ』から、ずっと僕が音楽監督みたいな感じなんですけど、それは名ばかりで、西川美和が音楽監督なんです。他の音楽家だったら、絶対に嫌がってます。一度一緒に仕事したいという音楽家は多いと思うんですが、1度やったら、2度とやりたくないと言いますよ」と、真実を打ち明けると、真顔で、「西川美和の映画の音楽は、西川美和の作品。プロデューサーなんです」と言い切る。

 西川監督の注文の仕方がとにかく細かく、例えば、『ゆれる』のときは、このシーンにはこういう楽器をと指定してくる。ここからピアノの音にできないですか。曲調をマイナーな音に出来ないですか。テンポを落として…など、「すっごくうるさい人で、まるでミュージシャン。自分ではやらないミュージシャンです」と、ナカムラもあきれ気味。

 ところが、今回の映画では、ほとんど西川監督が口出ししなかったという。ナカムラも監督も、「今回は佐々木さんの曲が大きかった」という。

 佐々木さんとは、映画『ディア・ドクター』撮影後に『モアリズム』に入ったギタリストで、西川監督は、「ナカムラさんから、『凄い男がやってくる。アントニオ佐々木を映画音楽に使って、世界に紹介できるなんて、君はすごく幸福な監督だね。それだけでもあんた映画作ったかいあるよ』」と、言われたほどの逸材。

「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
『モアリズム』のナカムラ

 当初は、一曲をアレンジ変えて、ずっと流す予定だったが、「編集をしたときに、音楽あった方がいいから、仮に何曲か作ってくださいとお願いして作ってもらった曲が、とてもよくて、その音楽で、映画の世界観が自分の中でも固まった」と、音楽にうるさい西川監督をも納得させたほどで、6~8曲作ったのが全て採用されたという。

 また、劇中のギター曲以外にも、場面にかかっているBGM、スナックの中にかかっているムード歌謡、パチンコ屋の音楽など、58曲録ったそうで、毎回、映画に出てくる音楽はほぼ全て録りおろしているという。

 その中のひとつには、松と阿部が喧嘩するシーンで、ラジオから流れるスペイン語の歌も作っているという。「どうでもいいスペイン語。スペイン語講座の本を買ってきて、適当に単語選んで作った」そうで、『ディア・ドクター』のときも、笑福亭鶴瓶と八千草薫さんがテレビ見ていると広島カープの応援の曲が流れるが、それも作っているという。

 また、今回は、2本のギターを1本の楽器のようにして奏でられているが、そのうちの1本は“安田君”というマーチンのギターで、これには、思い入れのあるエピソードがあるという。

 『蛇イチゴ』、『ゆれる』、『ディア・ドクター』と、西川映画をプロデュースした安田さんが、『ディア・ドクター』が出来た直後に亡くなった。その直前に、ナカムラに、「お前ギターいるか」といって贈って来たら、メチャクチャ高い、何十万もするギターだったという。

 西川監督は、「それから、ひと月もしないうちに亡くなった。今まで映画を作らせてもらったというのもあり、“安田君”をアントニオ佐々木さんが全編で奏でてくれている」と、しみじみと語った。

「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
亡くなった安田プロデューサーの愛器

 最後に、大堀は、「音楽が、いい感じでかっこいいので、それを含めて、劇場に足を運んで、僕の圧迫感のある演技をみてください」と、笑わせた。

 西川は、「「歌ものがないので、お仕事しながら、リラックスタイムに聞きやすい曲になっているので、ぜひ」と、サントラのPRをし、「いよいよなんですけど、納得いく仕上がりになってまして、エンドロールは最高にしびれるなぁと納得しているので、ぜひ、見てください」と映画のPRをした。

 このあと、『モアリズム』の3人が、『夢売るふたり』と『クレオール(エンディングテーマ)』の2曲を哀愁タップリに演奏した。

 同映画は、9月8日より全国一斉ロードショー。一方、8月22日に発売されたサウンドトラックのCDは、11曲入り、1500円(税込)で絶賛発売中。

 

「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる


「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
『モアリズム』がミニライブ
「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
『モアリズム』のアントニオ佐々木


「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
『モアリズム』の清水エスパー光一
「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
阿部と松が結婚詐欺を・・・


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“ラーメン屋Tシャツ”
「夢売るふたり」サントラ西川美和監督、絶賛!亡くなった安田プロデューサー愛器で奏でる
大堀こういち
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