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為末大 現役引退後初イベントで選手引退理由を語る!意外な意見に手応え

為末大 現役引退後初イベントで選手引退理由を語る!意外な意見に手応え
フランクに質問などに答える為末

 元陸上選手で400メートルハードルの日本記録保持者の為末大(34)が18日、東京・国連大学ウ・タント国際会議場でディスカッションイベント『爲末大学、開校~議論出来る人間を育てたい』を開催した。

 為末による現役引退後初のプロジェクト。経済、医療、スポーツ関連のテーマについて、為末自身がファシリテーターとなり、参加者を交えてディスカッションしていくもので、第1回となる今回は『日本人の苦手な“議論”や“物事の本質を掴む力”を鍛える場』として、自分の言葉で議論することの面白さを学ぶことが目的。為末が海外の試合に出た際に、ポイントが合っているのかなどで意見できなかったことが、このディスカッションを開くきっかけとなり、「国際的な舞台で意見を言い合って落としどころを探っていくのは大事じゃないか」という思いも込められたものだ。

 東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏と医師・山本雄士氏とともにジーンズに白いシャツ姿とリラックスした装いで現れた為末。ロンドン五輪についてバドミントンの無気力試合や、メダル数が大事なのか選手が頑張ればそれでいいのかや、行列のできる人気ラーメン店で余命いくばくもない老人が1万円支払ったら順番を譲るのか、心臓移植でもお金で受ける優先順位があったらなど、一概には答えの出ない質問を出席者らに投げかけ議論を深めることに。熱が入ってくると、為末らが壇上から立ち上がり場内を回りながら質問をし、それに応えるように寄付金をペイし出席した参加者も積極的に意見を挙げるなど、考えをぶつけあい盛り上がりを見せた。

為末大 現役引退後初イベントで選手引退理由を語る!意外な意見に手応え

 終盤では努力すれば金メダルが取れるのかという議題を挙げた際は、為末は「僕はたぶん(ウサイン)ボルトより走ってますよ」と、苦笑いすることも。自身の陸上引退については、北京五輪のころから考え始めていたといい、「なんのために走っているのかというのが軸になりましたね。トップレベルってなんなのかとか」と、思いあぐねた末に今年の日本選手権をもって引退。その際に、「ストライド、歩幅が出なくなったんです。この身長にしてはグイグイと前に出るんですけど、その歩幅が出たから世界と戦えてた。それが使えなくなって、すっきり引退しました。何が軸だったかというと、やっぱり納得感なんです」と胸の内を明かしていた。

 終了後の囲み会見では、「初めてのことなんで疲れましたけど楽しかったです」と、率直な感想を。ロンドン五輪については、「選手を見てて踏ん切りがついたところがあります。見る側は感動しないと思っていたんですが感動しましたね。現役っぽさがこの五輪で抜けたなと思います」と、少しさびしげな表情も見せたが、「だから、新しい活動で日本にかかわっていけたらと思っています」と、気持ちは切り替わっているよう。

為末大 現役引退後初イベントで選手引退理由を語る!意外な意見に手応え
プレゼンターも壇上から降りる熱の入ったものに

 本日のディスカッションで、為末にとって意外だったことについて尋ねると、もしみんなの支援を受けて五輪でメダルを獲った選手が「誰にも頼ってない」など好き勝手な発言をしたらどうなるかというものを統計を取った際に、会場の9割以上が「いいのではないか」と、挙手で意見を示したことだそうで、「選手側の『すみません』と言わなきゃいけない空気とズレがあるなと思って、いまのディスカッションを選手に見せるだけで、世間の実態が違うというので、選手の無駄なプレッシャーを減らせるのかなとも思います」と、手応えを感じられたようだ。

 今後も『爲末大学』は継続していくそうで、新たに学部も創設するという案も見せ、「やりたいのは医療と教育で、ちょっとずついま進んでいるところです。スポーツでまちづくりをしたりとか、なんとか大学って、学部をつけちゃえばくくられた感じがするかなって。体育学部とか、地域活性学部、医療系の学部を作って活動できればいいな」と、前を見据えつつ、「ジャーナリストと選手でぶっちゃけどうなのよというのもやりたい。選手の中にはメディアを嫌っている人もいて、メディアにはメディアの理論がある。いままでオブラートに包んでいたので、一旦全部吐き出すような場所をつくってやってみたいなと思っています」と、プランを明かしていた。

為末大 現役引退後初イベントで選手引退理由を語る!意外な意見に手応え

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