ロンドンオリンピック第14日目の9日、レスリングは女子フリー55キロ級が行われ、昨日の伊調馨(=ALSOK、28)に続いて、オリンピック3連覇を目指す吉田沙保里(=ALSOK、29)が、4試合で1ピリオドも落とさない完勝で金メダル3連覇を果たした。
決勝 吉田沙保里 ○(3‐0、2‐0)× トーニャ・バーピーク(カナダ)
バーピークは、アテネで銀メダル、北京で銅メダルだが、2大会とも吉田に敗れているだけに研究し、リベンジに燃えている。会場は「吉田コール」が試合中、ずっと鳴り響く中、完全ホームでスタート。
第1ピリオド、距離を取ったり、組んだりと、吉田のタックルを警戒する。それを吉田は冷静にいなしたりして、対応する。1分40秒、吉田は、一度、飛び込もうとフェイントを入れてから、タックルに行き、相手の足を取って場外に倒し、3ポイントの先制。このまま3‐0で取る。
第2ピリオド、相手はさらに低い姿勢で、吉田のタックルを警戒する。組んだり、距離を取ったりする相手に、いつタックルしようかと機会をうかがう吉田。そして、チラリと時計を見て時間を確認すると、第1ピリオドでタックルを仕掛けた1分30秒が近づいてくる。満を持して、1分40秒。吉田が一瞬のすきを突き、素早いタックルで、相手を場外に押し出し1ポイント。
ここで、カナダが「チャレンジ」するも変わらず、さらに1ポイントが入る。相手は、残り20秒で、必死に吉田を倒そうとして、頭を押さえたり、髪をひっかくようにして倒そうとするもタイムアップ。
吉田の金メダル3連覇。そして、カレリンの持つ世界大会「V12」に並ぶ偉業を達成した。
吉田はガッツポーズをし、ジャンプしてマットを叩くように喜ぶ。その後、コーチとして初めてセコンドについた父親と監督が待つコーナーへ駆け寄り、「金メダルを獲って父親を肩車したい」と宣言していた通り、父親を肩車。
続いて、日本国旗を肩にかけたまま監督に肩車される吉田。笑顔で観衆に応える。肩車を下ろされると、国旗を高々と掲げ、なびかせながら、マットの周りを一周し、観衆の大声援に応えた。
満面の笑顔の吉田選手のコメント
本当にこの4年間いろんなことあって、負けを喫して、またまたさらに強くなれたかなと思います。(準決勝で負けたジョロボワに勝ち)リベンジを果たしたという感じで、最高に嬉しかったですけど、(決勝もあったので、)気を抜かないようにと考えてました。最高の舞台で最高の形で追われるのは最高です。国民の皆さんの応援も胸に響いてきて、ブログのコメントも読んで、絶対負けたらダメなんだ。笑顔で終わるんだと思い戦いました。
表彰式を終え、金メダルを首にかけた吉田選手のコメント
最高に幸せです。ロンドンのメダルが一番大きいので嬉しいです。みなさんのおかけでこのメダルがあるので、本当にありがとうございました。(今年は5月のワールドカップでの)負けがあったので、最高の笑顔で終わることができました。(カレリンと並ぶV12ですが)その記録も並ぶことができて光栄です。いまは何も考えられないですけど、次のことはユックリ考えていきたいです。