「ファィトーッ！イッパーツ！」のCMでお馴染みの栄養ドリンク剤『リポビタンD』（大正製薬株式会社）が10日、東京の大正製薬株式会社本社で、「発売50周年記念発表会」を開催。プロ野球『福岡ソフトバンクホークス』会長・王貞治（71）、俳優・宝田明（78）、渡辺裕之（56）、野村宏伸（47）、倉田てつを（43）、西村和彦（45）、宍戸開（45）、滝川栄治（33）、ケイン・コスギ（37）、三浦貴大（26）ら、歴代のCMキャラクターを務めた10名が一堂に会した。

日本初のドリンク剤として、1962（昭和37）年5月10日に発売されてから、満50年。高度経済成長から日本の「ファイト」を支えてきた。そこで、5（ファイ）月10（ト）日午後1（イッ）時8（パ）分2（ツ）秒にちなみ、「ファイトーッ」と、登壇者が声をかけ、「イッパーツ」と会場からコールを返し、みんなで祝った。

ドリンク剤という理念がない時代に誕生し、「ファイト　イッパーツ」のTVCMとともに、「リボD」の愛称で親しまれ、2011年10月末には海外も含めたリポビタンシリーズの累計出荷本数が340億本に達した。

これまでTVCMには、16名が出演。2代目キャラクターとして1963年から10年間に渡って出演した“世界のホームランキング”王氏は、キャンプ中の撮影で、「CMに出演ということで、恥ずかしい成績は残せない」と、汗が飛び散る素振りやスライディングのシーンなども、「昼間の練習の延長線上として必死やっていた」と、振り返った。

また、「24歳、25歳の若いころにCMにださせていただいた。私の野球も右肩上がりで好調の時だったから、いま映像を見ても、いいスイングしてるなと。若い人たちにも見てほしいですね」と、自画自賛して会場の笑いを誘った。

そして、4打席連続ホームランを打ったときが、偶然、大正製薬の1社提供で、CMでもホームラン映像が流れ、打席が回る度に実際もホームランということで、凄く話題になった。

ちなみに、このときは「ファイトで行こう！」だった。王氏の後を受け、73年4月から宝田が3代目に就任。このときが「ヨッ！お疲れさん」だった。

宝田は、「大ヒーローの王さんを受け継ぐということで、緊張しました。役者ですので、15秒、30秒でもドラマ性を持たせたものをと、宣伝担当などと話し合い、どう物語を作るか全員が苦心した」と、いまのストーリー仕立ての礎を築いた苦労を語った。

それ以降、同CMは、「努力、友情、勝利」の3つがコンセプトとして貫かれている。

お馴染みの「ファイト・一発！」が使用されるようになったのは、77年俳優・勝野洋と宮内淳のコンビから。

その勝野とコンビを組んだ渡辺は、「タレントは名前・存在を覚えてもらうことが大事。12年間携わらせてくれたおかけで、いまでも、『ファイト一発の人』といわれる」と、感謝した。

さらに、またオファーがあったらと問われ、「密かにずっと（声がかからないかと）思っている。年取ったら年取ったなりに…。ここにいる全員が出て、『ファイト一発』やりたい」と、新たなCM構想を提案した。

シリーズが進むごとに、CMの内容も、アクション映画の15秒、30秒の予告CMのような激しいワンシーンとなっていく。

野村は、「『教師びんびん物語』の後ぐらいの時期でした。（このCMに出演する人は、）強い人のイメージがあったので、あの役はひ弱なイメージだったのに、なぜ、私に役が来たのか」と、いぶかりながら、「ロケ地が暑いか寒いか極端。寒すぎて寝られなかった」ほど過酷な撮影が続いて、「ツラかったけど、いまはいい思い出」と、振り返った。

倉田は、「出演していた『仮面ライダーBLACK』のあとの時期でした。１年間しかやっていないんです。撮影期間中、NHKの朝ドラが控えていて、CMが海外行っての撮影だったので、長期間の休みが取れなくて、『１回休憩しよう』となったんですが、いまだに休憩中で、オファー待ってます」と、笑わせた。

西村は、一番印象に残っているのは、「オーディション」だそうで、「東京タワーの芝公園で、タンクトップで綱を引いたり、懸垂したり、走り回ったり。ちょうどランチタイム時だったのでサラリーマンの人たちが“この人は何をやっているんだ”という目で見てきて、恥ずかしかった。でも最後に“ファイト一発！”というと、気づいてもらえた」と話すと、宍戸やケインも大きくうなづきながら大笑いした。

宍戸は、「自分が子供の時から見ていたCMに出演できる喜びがありました。ハワイの大海原を泳ぎ回ったんですけど、あのときほど撮影が２人で良かったと心強く思ったことはなかった。サメに噛まれるときも一緒」と、過酷なロケの心境を語った。

それでもCM出演は、「自分の財産であり、勲章です。思い出の数々を積み重ねることができて感謝している」と、笑顔で語った。

滝川は、「オーディションが思い出深いです。オーディションのために10キロぐらい走ったり筋トレで鍛えた。ストイックに頑張った」ことが思い出に残っているそうだ。

そして、現在のCMの顔であるケインは、13年目に突入。「日本に来たときは、このCM見て印象に残っていた。出れると思ってなかったから光栄に思います。これからも一生懸命頑張ります」と、力強く語った。

2010年からケインとパートナーを組む三浦は、「多少、先輩たちに囲まれて緊張しているんですが、デビューが、映画１本撮っていたんですが、それよりも早くCMが公開されて、デビュー作がリポビタンDのCMになりました。役者の死後戸の始まりは、リポビタンDの間CM。この仕事に携われたことを感謝しています。これからもがんばっていきたい」と、初々しく語った。