女優・永作博美(44)と佐々木希(26)が29日、東京・新宿バルト9で映画『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』(監督:姜秀瓊(チアン・ショウチョン)/配給:東映)完成披露試写会に桜田ひより(12)、保田盛凱清(7)、姜監督(45)とともに登場した。
オリジナル脚本作品。30年前両親の離婚により生き別れとなった父の故郷・奥能登で「ヨダカ珈琲店」を営み父を待つことにした吉田岬(永作)。その土地には2児のシングルマザーとして暮らす山崎絵里子(佐々木)がいた。岬の生き方に最初は反発していた絵里子だったが、あることをきっかけに家族のような絆を結ぶこととなる。きのうまで他人だった人が家族になっていく姿が描かれる温かな感じが伝わってくる作品となっている。
上映前のあいさつとなり、永作は「とても優しい静かな映画ができました。心を落ち着かせて観て頂いて、それぞれの心に入っていける部分があればいいなと思っています」と、気持ちを。オリジナル作品が形となり上映までこぎつけた秘訣へは、「監督が大きいかなと思いますね。台本の時点でセリフとかが少なかったのですが、監督が信じてぶれずにいた。日本の静かな空気とかが映っている気がして、私も妙に落ち着きを感じました」という。
一方の佐々木は、「初めてのシングルマザー役で不安でしたが、スタッフさんやキャストの方のおかげで最後まで撮影できました」と、撮影終了までこぎつけたことに安どしたそう。そんななか永作は佐々木が長回しの撮影で戸惑っていたとエピソードを語りだすと、当の佐々木「目が泳ぐぐらいどうしようという時があったんです。そのときに永作さんが、“魔法の言葉”をかけてくれて、それが、自分の思う通りやっていいんだって思えるくらい力をくれて、ありがたいなと思いました」と、いいアドバイスがあったと感謝していた。
話は役作りの方向へ。佐々木は「シングルマザーで弱さを隠すために強がっているトゲのある役だったので、ただただ怒っている嫌な母親とうわけでもなく、ちょっと影がある。とても繊細な表現が必要だった」としみじみ。そこに姜監督は、「いいタイミングで出会ったと思います。本格女優として行こうとしているときだったので、どんな本を読んだらいいか、映画を観たらいいかというのを積極的に聞いてきて、努力もすごくなさった。素直なところ、ひたすら頑張るところは絵里子にも重なっていると思います」と、役のイメージにぴったりだったも。
永作はといえば、本作のモデルとなったコーヒー店店主がおり、その人がコーヒーを焙煎する姿を眺めたり話をしたそうで、「コーヒーができるのを愛でて待っている感じがして、雰囲気を感じさせてもらった」というと、そんな永作を佐々木は、「休憩時間とか、何もないときもコーヒーを淹れてくれました。外までいい匂いが漂ってくるので、『ああ永作さんコーヒー淹れてくれてるのかな』と思って、現場が楽しみだったんです」と、エピソードを披露していた。
最後に佐々木は、「1年以上前に撮影したものですが、自分の中で本当に素晴らしい作品に出会えたなと思います。能登半島の素晴らしい景色とほっこりと心が温まる作品になったと思います」とアピールすると、永作は、「静かな大人なエネルギーが漂っているなと思っています。そこに子供たちの切なくなるような部分もあって…。気に入ってもらえたら」と、PRしていた。
映画『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』は2月28日より全国公開!