女優の広末涼子（34）が9月9日、都内で映画『柘榴坂の仇討（ざくろざかのあだうち）』（監督：若松節朗／配給：松竹）プレミア試写会に俳優の中井貴一（52）、阿部寛（50）、元宝塚の真飛聖（37）、若松節朗監督、原作者の作家・浅田次郎（62）と登場した。
同作は浅田次郎原作の短編小説を映画化した正統派時代劇。主人公・志村金吾（中井）は暗殺された井伊直弼を警護していた武士だった。妻・セツ（広末）に支えられ主君の仇を探し求めていたが、明治になり仇討が禁止されてしまう。そんな中、暗殺者の中でただひとり生き残り、ひっそりと生活していた佐橋十兵衛（阿部）が見つかったという知らせが金吾の元に届く…というストーリー。
中井は「真正面から日本人の心を映しだしたつもりです」と挨拶。初共演で中井の妻役を演じた広末は着物姿で登壇し「（金吾は）武士道、侍の生きる道を貫く覚悟とプライドのある男性。金吾さんの妻を演じさせていただいて本当に幸せだなと改めて思いました」とうっとり。同じ長屋に住み十兵衛を慕う女性を演じた真飛は「時代劇初挑戦。『勇ましすぎるからもっと腰を低く』と辛抱強くご指導いただき、なんとか男性に見えないようになりました」と恐縮しながら撮影を振り返った。
広末は「現場の中で中井さんはずっと金吾のままなんですね。ずっと姿勢を正していて、金吾さんの生き様が見え、側にいると私も自然とセツになれる」と感激。実は広末のキャスティングは中井からの要望だった。中井は「セツの役が決まってなかったんです。飛行機の中で映画を観ていると広末さんが出ていて、あるワンカットを見て『広末さん僕良いと思うんですけど、お願いしていただけますか』と頼み、望みが叶ったんです」と舞台裏を明かした。
中井の仇役を演じた阿部は、緊張感を保つために撮影中に中井と話さないようにしたと明かし、「『現場では近寄らないようにします。一切お話しない』と言ってたんですが、初日でトイレで会ってしまった」と朗らかに笑った。役作りのために人力車を引く練習をしたと話し「昔のやつは車輪が木。引く感覚に慣れるためにマネージャーさんとかを乗せて撮影所をぐるぐる回って、貴一さんに迷惑をかけないように練習してきました」と語った。
司会からの「現代の侍は？」という問いに中井は「誰って言わせたいの？」とニヤリ。この日、テニス全米オープンで準優勝した錦織圭に「侍だと思います。スポーツの世界も孤独。いくらチームがあるといってもコートに立った時の孤独感は半端ない。超人級の、神様に与えられたものが立てる世界」とグランドスラムの大舞台を表現し「彼はまだ夢の扉を開いたところ。これからは“負けてニュースになる選手”になって欲しいなと思います」とエールを送った。
『柘榴坂の仇討』は9月20日より全国ロードショー。
