俳優・陣内孝則(53)、女優・田中麗奈(31)が29日、大雪に見舞われた都内にて出演した映画『種まく旅人?みのりの茶?』(監督:塩屋俊/配給:ゴー・シネマ)完成披露試写会にメガホンを取った塩屋俊監督(55)、共演した柄本明(63)、吉沢悠(33)、主題歌『ずっと君を見ている』を作詞・作曲・歌唱したシンガーソングライター・中村中(26)らと出席し、舞台あいさつを行った。
農林水産省官房企画官、大宮金次郎(陣内)は身分を隠して全国各地の農家を回っては畑仕事を手伝い酒をくみ交わす。役所では変人 扱いされているが生産者の間では人気者の彼に、ある日、大分県行きの辞令が下りる。市役所の農政局長として個々の農家の声を聞くだけでなく、省が開発した新しい“農薬”を普及させること。それが彼の任務だった…。
会見ではまず塩屋監督が、「撮影は2010年11月から12月にかけて大分県で。昨年3月の震災の頃に編集に入っていた」と振り返りながら「震災後の発表となったこと、農業を含めた日本の第一次産業を再生させるというこの映画のテーマは今の時代のベクトルに合っていると思う」と語った。また、映画人として小津安二郎監督を尊敬しているということに続け、本作を山田洋次監督の描く『寅さんシリーズ』のように邦画の人気シリーズにしたいと意欲をみせる。
映画の内容について聞かれた陣内は「役人であるという身分を隠していまして。まあ『ミッション・イン・ポッシブル』みたいな映画でしょうか。もちろんカーチェイスと爆破シーンをカットした!」とのっけからジョークを飛ばす。「そんな映画ですか?」と問われた田中も「ええ…」と苦笑気味の返答で会場を笑わせた。劇中でデザイナーをクビになり農家の担い手になっていくお茶農家の孫娘を演じた田中は「農家の大変さ、どれだけ愛情を注いでいるかを体験した。お茶というものが試行錯誤して製品になっていくんだと知った」と、笑顔で振り返った。
意外にも陣内の映画主演が16年ぶりという話題になると陣内は「こんな下手な、ゴミのような俳優を主演にして頂き…。もちろん謙遜ですよ!」と、口火を切ると「この16年間食うや食わずで頑張ってきました。『長かった栄光への道』というタイトルで本を書きたい!」と、たたみかけ会場を笑わせながらも「撮影前には役作りのため絶食ダイエットで体重を10キロ落としました。台本をもらう前からお茶については予習しました」と語り、これには塩屋監督も「現場に入ったときはもうすっかりお茶博士でした」とフォロー。
母方の実家が養蜂や椿油作りなどの農家であったことを明かす、「農家のDNAはしっかりあります。僕はトレンディー俳優ですけど」と自ら前置きしながらトレンディー俳優からの脱皮だと猛アピールし会場はさらに大爆笑に。
陣内は「ハートウォーミングな今の時代に合った映画です。良いと思われたらたらぜひご近所にとても良い映画だったと広めてください。もし良くないと思ったら、緑が多くて眼にイイ映画だと宣伝して下さい」と最後まで冗談を交えしっかりPR。「大分の自然が本当に心温まります」と言う吉田に続き、「ゆっくり、じんわりと心にしみ渡る映画です。幸せって何だろう、働くってなんだろうがわかります」と田中。
「夢のある話です。実際夢のような話です。震災後の今にこそ見てほしい」と最後に柄本がまっすぐな眼で語りイベントの終わりを引き締めた。
3月3日(土)大分・福岡先行ロードショーに引き続き、3月17日(土)有楽町スバル座ほか、全国ロードショー!
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