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舞鶴市シベリア抑留や引き揚げ資料など「ユネスコ世界記憶遺産」登録へ向け取り組み

舞鶴市シベリア抑留や引き揚げ資料など「ユネスコ世界記憶遺産」登録へ向け取り組み
『ユネスコ世界記憶遺産』登録に関する記者説明会が開催された(左から、望月龍平氏、山下美晴館長、多々見良三市長、黒沢文貴教授、佐藤元英教授)

 引き揚げのまち・舞鶴市『ユネスコ世界記憶遺産』登録に関する記者説明会が20日、都内で開かれ同市の多々見良三市長(63)、東京女子大学の黒沢文貴教授(58)、中央大学の佐藤元英教授(64)、NPO法人OOBJ主宰で演出家の望月龍平氏、舞鶴引揚記念館の山下美晴館長が出席した。

 京都・舞鶴市で市が運営する舞鶴引揚記念館に収蔵されている『シベリア抑留や引き揚げに関する資料』の平成27(2015)年での国際教育科学文化機関(ユネスコ)の『ユネスコ世界記憶遺産』登録を目指す取り組みを広めるもので東京初の開催となる。

 資料のなかには抑留された元日本兵がシベリアの収容所でこっそりと書き残したもので、ナホトカ港出国時の検査や、日本上陸後にもGHQ(連合国軍総司令部)による所持品検査などでも没収されなかった日誌など、当時のことを知る貴重なものとなっている。

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 今回登録を目指す経緯については、「戦後70年近く経ち、引揚者の高齢化が目立ち、生存している方も少なくなったこと。シベリア抑留者や引揚者が命とともに奇跡的に持ち帰ってきた貴重な資料を、末永く次世代を担う子どもたちに継承し、平和の尊さを1人でも多くの方に発信していくこと」を目的に活動を開始したという。

 資料は1万2000点の資料の中から約580点をA・B・Cの3つの区分に分類。A区分には、白樺の皮に缶詰の先とストーブの灰で鉛筆を自作し日記を記した『白樺日記』に代表される、シベリア抑留中の日々の様子や心情を、文章や和歌などの歌でつづった日誌。B区分には映画や歌謡曲で知られる『岸壁の母』のモデルといわれている端野いせさんが、息子が引き揚げて来た時の連絡用に描いて、舞鶴引揚援護局に預けたものなど、安否を気遣い帰還を願う日本の家族に関する資料。C区分には引揚実施関連資料となる昭和30年3月に入港した引揚船『興安丸』の乗船者名簿となる。

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 ただし、『ユネスコ世界記憶遺産』へはハードルも。2年に1回の審査には1つの国から2件しか提出できないとあり、来年は京都府総合資料館から東寺百合文書が決定しており、地方枠は残り1つ。すでに、知覧特攻平和会館から「知覧特攻遺書」が登録へ名乗りを上げている状態となり、文部科学省の審査となる予定という。

 また、今回の活動に呼応した望月氏は音楽をユウサミイ氏、脚本家・まきりか氏に迎え、2014年3月19~24日に音楽劇『君よ生きて』(仮タイトル)が東京・新宿のサンモールスタジオにて上演決定を発表。

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申請予定の貴重な文章も

 望月氏は「日本人としてアーティストとして東日本大震災以降どうメッセージを発していこうか考えていました。そこで日本人としてのアイデンティティーや歴史館を見なおさなきゃと思いました。先人たちがどうやって命を落としたのかなど、決して無視はできないなとと思いっています。舞台は今年の8月に構想を練っているさなかに、こういう演劇を投げかけていきたいと要請致しましたところ快く応じて頂きました」と、経緯などを語ることとなった。

 今後、本取り組みとして、来年2月8~23日に東京タワーフットタウン3F『タワーギャラリー3・3・3』にて特別展の開催や、同月に『世界記憶遺産登録推進記念シンポジウム』(仮称)の開催を都内で予定している。

舞鶴市シベリア抑留や引き揚げ資料など「ユネスコ世界記憶遺産」登録へ向け取り組み

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舞鶴市シベリア抑留や引き揚げ資料など「ユネスコ世界記憶遺産」登録へ向け取り組み
望月龍平氏
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ユウサミイ氏
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まきりか氏
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