声優で俳優の三ツ矢雄二（59）が23日、東京「豊島公会堂」で行われた「豊島区テラヤマプロジェクト第2弾 テラヤマ☆歌舞伎『無頼漢～ならずもの～』（演出：流山児祥）製作発表…街と繋がる演劇の新しき展開」に、スタッフや共演者とともに登壇した。
三ツ矢は、「池袋にもいろんな方がいらっしゃる。“グレーゾーン”の方もいる。いろんな方に観てもらいたい。チャンバラ、歌もたくさんあるので、視覚的に見て、ワクワク楽しめる。出ている方も性別が幅広いですから、観てる方も幅広い年代、性格、性別の方に観ていただきたいです」と、キャラを生かして、笑いを取りながらアピールした。
同プロジェクトは、2013年に「没後30年」を迎える現代演劇の巨人・寺山修司作品を2012年～14年の3年間、毎年11月、豊島公会堂に於いて連続上演するというもの。豊島区、（公財）としま未来文化財団、流山児★事務所が連携して行うこのビッグ・プロジェクトは昨年、豊島区政施行80周年記念事業、フェスティバル／トーキョー（F／T）連携プログラムとして始動。
第1弾の昨年は『地球☆空洞説』を上演。中池袋公園から劇が始まり、ラストには豊島公会堂上空に大気球を上げる異色ミュージカルを制作。テレビや新聞などでも大きく取り上げられ、話題となった。
第2弾の今年はテラヤマ☆歌舞伎『無頼漢～ならずもの～』を上演。1970年に、寺山修司が河竹黙阿弥の歌舞伎『天衣紛上野初花』を原作に書き上げた脚本を篠田正浩監督で映画化。今回は、原作シナリオをもとに、数々の演劇賞を受賞し、その活躍が注目される中津留章仁が新たな視点で書下ろす幕末青春群像時代劇。
今回も中池袋公園の殺陣シーンから始まり、そのまま公会堂へとなだれ込む。寝ころぶもの泣き叫ぶものがいるそうで、「泥だらけのまま舞台上に上がるんだよなぁ」と、舞台監督の岡島哲也氏は稽古を観ているそうで、「雨が降ってもお客さんは濡れっぱなしですので雨具を持ってきて」と、演出の流山児氏も苦笑い。
流産児は、「河竹黙阿弥、寺山修二、中津くんの言葉を取り込んで、歌舞伎の勧善懲悪のように引き継いでいきたい。踊り、歌、殺陣、ラブシーンがある。46人の役者が出演するので、46人のドラマを作りたい」と、演出家として意気込みを語った。
19～70歳と、幅広い年齢の役者が出演するが、最高齢はなんと高野之夫豊島区長（75）だ。第一弾に出演し、舞台出演の味をしめた区長が今回もチョイ役で出演するという。高野区長は、「文化創造都市を目指して、10年来がんばってきた。池袋には演劇場が多く、演劇が似合う。豊島区が舞台芸術を中心とした文化の発信地になれば」との思いから、行政面で全面的にバックアップする。
三ツ矢は、「僕は、流山児さんとは、『ユーリンタウン』（2011年）以来、2度目です。その時は、新しい劇場で壊れた芝居しました。今回は、歴史がある、人のにおいが染みついた場所で新しい歌舞伎を演じます。前回は“グレーゾーン”だったんですけど、今回は女役。映画で見ると、母親はお風呂場で殺されるんです。でも、ハダカは免れました。裸になってしまうと男とバレてしまうので。アクセントになり、笑いが取れて、ほっこりするシーンになればと思っています」と、笑わせた。
100人のヒロインオーディションから選ばれた田川は、「オーディションの募集要項が＜花魁、ヒロイン、日本舞踊できる人、着付けできる人＞でした。日本舞踊習っていたので、やるしかない。落ち込んでいる時期で、受からなかったら、今後の女優人生考えようと思っていた」と、精神的に崖っぷちだったと吐露。
流山児は、「厳しい募集条件で、なかなかない。着付けは本格的に全部着付けしてもらう。ということはどっかで脱いでいるということだけど」と、ニヤリ。
また、プロジェクト最終年度である2014年には、同公会堂も取り壊され62年の歴史に幕を下ろすことから、最後の公演となるため、廃墟の劇場を舞台にしたミュージカル『青ひげ公の城』（宇崎竜童：音楽、流山児祥：演出）を上演予定される。
【出演者】
俳優・山本亨（52／河内山宗俊役）、塩野谷正幸（60／水野越前守忠邦役）、五島三四郎（片岡直次郎役）、女優・田川可奈美（29／三千歳役）、声優・三ツ矢雄二（直次郎の母・おくま役）
天保十三年、水野忠邦の天保の改革は庶民を苦しめ、市井には不満の声が満ちていた。役者志願の遊び人直次郎は、美しい花魁犬口屋の三千歳を知り、結婚を反対した母親のおくまを川に捨てる。一方、無頼漢で名を成す茶坊主の河内山宗俊は、上州屋の一人娘浪路が、松江出雲守にめかけになれと無理難題を押しつけられているのを聞き、浪路をとり返すことをうけあった。そんな折り、江戸の町では火の粉が舞い、ならず者たちが一揆を企てる……。
同舞台は、11月21日～12月1日まで、豊島公会堂（みらい座いけぶくろ）にて
お問合せ：流山児★事務所
TEL 03-5272-1785
F／Tチケットセンターでの取扱あり（10月5日～11月8日）
2013年9月28日より、4500円ほかで前売り券は絶賛発売中
