アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章・そして艦は行く』（総監督：出渕裕／配給：松竹）初日舞台あいさつが24日、東京・新宿ピカデリーで開かれ、古代進役・小野大輔、島大介役・鈴村健一、出渕総監督が登場した。
38年ぶりに全26話で現代風リメイクを果たし、今年4月からのテレビアニメ放送も好調なヤマト完結の最終章。デスラー総統の真意や激闘、沖田艦長のヤマトへの思いといったシリアスなものから、水着回やあるヤマトクルー同士の結婚、ある名作アニメのオマージュかのようなカットの明るい話まで、これまでの航海のすべてを詰めこみフィナーレを迎えている。なお、公式ホームページで説明されているようにクオリティの維持のため25話だけは上映時間が少し変わったものとなる。
上演後、キャストらは観客総立ちで拍手とヤマト式敬礼のなか迎えられイベントはスタート。シリーズ完結への心境について、小野は、「とても長い長い旅でした。その旅がこうして1つフィナーレを迎えることができて本当に本当にホッとしています。（観客も含めた）みんなと一緒に旅をしてきたという気持ちが強いです。やっとここまで来れました」と、万感の思いを。
続けて、「最初のうちはどう演じようとかプレッシャーに押しつぶされそうだというのが、懐かしく思えるくらいで、いろんなことを思い出して感無量です」という小野は、「古代は本当に同業の先輩からのプレッシャーがハンパなくて、『お前か！頑張れよ！』というのを何人の方から聞いたか分かりません」。それに出渕総監督は「『古代をしくじったら許さん』とか『なんでお前が』というのもあったんじゃ」と、合いの手を入れ「そうそう！音響監督さんも『なんでお前が！』でした」と、小野は苦笑いを浮かべしみじみ。
さらに小野は、「（古代に）決まった後にどうしようというプレッシャーがあった。昔からある古代進像を演じないといけない責任ですよね。それを感じながら、『ええい、ままよ！やってしまえ！』となぜか吹っ切れられた。それが、古代なのかなと。なりふりかまわずやってしまえと思いました」と、心情を。
その一例として小野は、森雪とのシーンを再現し「森くん…、森くん、森くん！雪ぃーー！」という感じだったそうで、これには観客から歓声も。「あの雪って呼び出してから、僕の中に古代が落ちてきましたね」という小野に、出渕総監督は「いつ雪と呼ぶかは計算してやっているんです。でも、雪といった後に森くんに戻るんですよね」というと小野は、「勢いで雪って言っていればいいのにバカっ！って思ったりもしました」と話すことも。
最終回のアフレコについては小野は、「最終章って最後は感情のままにやっているんですよ。アフレコ10年くらいやっているんですけど、いろいろ考えすぎて寝られなかったのは初めてかもしれないんですよ。こう表現しようとか夜考えてて、アフレコVTR見直して、寝ないで現場に来たら吹っ切れちゃって、『ええいままよ！』と思って。技術的に考えてもやれなかった」という状態だったそう。これに出渕総監督は、「最終回すごかったよね。ここまで入ってるけど、すごくいいから、そのままでした」と、通ったといい、小野は「形に囚われかけてたのが、そういう懐まで行けたのに感謝しています」と、語っていた。
一方の鈴村は「ついにたどりついたなと。フィルムを観て感動的でした。当初、昔のヤマトを復活させるというお話でしたけど、観終わった後、昔のヤマトの空気感や匂いを感じながら現代に完結した感じがして懐かしくあり今のアニメでありと思いました。みなさんも旅に付き合っていただいてありがとうございます」と、お礼を。
島について鈴村は、「すごく大人の顔といというか男の顔に変わっていった感じがしますね。最初とイメージが違うキャラになっているかな」と、硬派な感じの話もしたが、「女運がなくて、女キャラが寄ってきてくれなくて」と、ぼやくことも。
そこから、恋バナが始まり、鈴村は「僕は雪にがぜんちょっかいを出しに行きたいですからね」といい、その秘めた恋心をセリフに込めたシーンがあることを告白。これに、出渕総監督は「ここで聞くまでそう思っていなかった」と、驚く一幕もあった。
最後に、鈴村は、「みなさんにすごく支持していただいて、いろんな人から今回のヤマト本当に面白いと言っていただくのが僕にまで届くくらい発信していただいて、その力をバネについに最終章にたどりついた感じです。スタッフの愛情や声優陣の情熱も大事ですが、お客さんが観てくれて、そういうものがないと作品は成立しないと思います。島的には次の作品がないと、色恋沙汰がありません。次の推進力に変えていただけませんか。また、次回作でお会いしましょう！」と、続編を希望したが出渕総監督は困り顔で「勝手に…島はテレサ狙いのようですが、どうなるか分かりません」と、即座に否定。
小野は「『ありがとう』以上です」と簡潔に述べると場内から拍手が沸き起こりつつ、「沖田さんの言葉を借りましたが、それ以上のいろんな思いがあるんですけど表現できなくて、観てくださった方、携わったスタッフ、キャストのみなさん全員にありがとうございましたと言いたいです」と、声を震わせていた。
アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章・そして艦は行く』は全国16館で上映スタート！
