女優・宮沢りえ（40）が22日、都内で行われた舞台『NODA・MAP 第18回公演 MIWA』（作・演出：野田秀樹）の制作発表記者会見に出席した。
発表会には、野田秀樹（57）を始め、俳優・瑛太（30）、女優・井上真央（26）、俳優・小出恵介（29）、浦井健治（32）、タレント・青木さやか（40）、俳優・池田成志（50）、古田新太（47）ら、空前の豪華キャストと言われるメンバーが一堂に会した。
同作は、シャンソン歌手で、シンガーソングライター、俳優、演出家と「天賦の才」を発揮し、作家の三島由紀夫から、「天上界の美」と称された、性別を超えた美貌の持ち主である美輪明宏（78）の半生を題材にした作品。
野田は、「生きている先輩の方から、一生分の話を聞くたびに、いつも一つの芝居ができると思っていた。だったらいっそ、今、地球上に存在する人間の中で、私が一番面白いと思う人は誰か？考えてみた。その答えがMIWAだった」と、寄稿文に着想を語っている。
会見の席上でも、「美輪さんとは、以前から知り合いで、バケモノと言われる人はいっぱいいますが、78歳で、ずっとバケモノでいられる」と、独特の表現で、興味を惹かれたポイントを語る。
しかし、そこは野田秀樹、半生をマジメに取り上げるわけがなく、「出鱈目な『美輪明宏物語』を書いてみようと思っている」（野田の寄稿文より）と綴っているのだが、当の美輪さんはどう思っているのだろうか。
会見には欠席した美輪は、映像コメントで、「お話を聞いたときには、また、あのイタズラ小僧がと。メチャクチャに出鱈目されても面白いんじゃないかと。（野田さんは）リアルにしてくれと言われてもできない。メチャクチャにしないと死んじゃうので、人命救助のためにOKしました。どういうふうにされるか楽しみにしていますよ。そのうち、私が野田さんの半生を題材にして、仕返ししてやるからなぁ」と、お手並み拝見とばかりに、ユーモアたっぷりに期待を寄せた。
野田は、「『MIWA』と題名出したときに、『面白そうだね』と言われます。題名だけでこれだけ言ってくれるのだから、美輪さんが後ろに抱えている背景を崩してはいかんのだなぁと思いました。自分の妄想だけで走り出すと、美輪さんの人生が違っちゃったりしている。全体がブレずに、ちょっと行き過ぎたら実人生に戻ってみようと思っています」と、出鱈目過ぎにブレーキをかけている。
それにしても、「一番可哀想なのが宮沢りえちゃん。ご愁傷様でございます」と、美輪さんも憂うように、MIWAを演じるのは宮沢りえ。
野田は、宮沢を起用した理由について、「男性はムリだなと。古田（新太）ならやれそうなきがするけど、美輪さんの底力に負けてしまいそうな気がする。りえちゃんにお願いしたいのは、（バラ色を）削ぎ落とした美輪明宏はどんな顔しているのだろう。バラ色の美輪明宏と、シンプルな美輪明宏を演じてほしい」と、注文する。
宮沢は、「え？美輪さんですか？あの美輪さんですか？と、聞き返してしまいました。役を演じるときには、今回に限らず不安が付きまとうし、稽古始まるまでは怖くて怖くて仕方ない。挑む気持ちはそんなに変わらない。ドキュメンタリーではないので、表現するプレッシャーはないです。美輪さんと言う怪物を演じるにあたって、プランはゼロ。野田さんを信じているので、お稽古の中で見つけていきたい」と、気負いなし。
その理由として宮沢は、「野田さんの舞台で、お芝居と言うものの怖さ、面白さを知ってしまった。『おぎゃー』と生まれたような感覚がすごくあって、生まれて目を開けたら野田さんがいたというぐらい、信頼感大きいので、この人がやりなさいというものは、きっとできるんじゃないかという思いあります」と、野田に全幅の信頼を寄せている。
21日に放送されたNHKの特番『真夏の夜の美輪明宏スペシャル』で美輪と対談した宮沢は、美輪の印象について、「無限に言葉や思いが広がっている方で、ずっと話を聞いていたいと思いました。愛情の深い方だなぁと思います。言ったり、発言したり、表現したりすることに100％責任を持っている方」と、感想を。
野田は、「いま、りえちゃんが愛という言葉をいったけど、生涯を追っていると、その言葉が大きいですね。それを追うだけでも、どうしてああいうバケモノが出来てきたのか。初日が来て、やっと、美輪さんの正体が見えるかもしれないし、見えないかもしれない。そのぐらいスケール感がある」と、まだまだ野田自身にもどういう舞台になるのか見えていなようだ。
同作は10月4日～11月24日まで、東京・東京芸術劇場 プレイハウス。11月28日～12月1日まで、大阪・シアターBRAVA！、12月6日～12月8日まで、北九州・北九州芸術劇場 大ホールにて上演予定。
