女優・広末涼子(32)が14日、東京・内幸町のイイノホールで行われた、東京映画記者会(在京スポーツ7紙)が選ぶ「第55回ブルーリボン賞」で、助演女優賞を受賞した。出演した映画『鍵泥棒のメソッド』(監督:内田けんじ/配給:クロックワークス)は、監督賞の内田けんじ監督(40)と共に2部門に輝いた。
人生が入れ変わってしまった売れない役者と殺し屋を軸に、勉強や仕事のように、努力すれば結婚できると思っている真面目過ぎるキャリアウーマンも絡んでくることによって、人生が思わぬ方向に展開していくというストーリー。内田監督のオリジナル脚本による巧みなプロットが見るものを惹きつけた。
笑わない一風変わったキャリアウーマンという今までにない役柄で、新境地を開拓した広末は、弾けるような笑顔に両肩をあらわにした黒のワンピース姿と、劇中とは正反対の雰囲気で登場。「今まで全く演じたことない、感情を表に出さない役だったので、たくさん監督にテイクを重ねていただいて、やっと出来上がった」と、大変だった撮影を振り返った。
監督からは、「笑うな」と指示されたそうで、それでNGになっても、「笑ってました、私?」というと、「微笑んでました。笑わないでくれ」と、ちょっとの顔の緩みも許されないような撮影だったという。
どうしてもお芝居していくと、感情出したり、開放したりという作業が多かった。今回は引き算の芝居を監督に教えて頂きました。
監督賞に輝いた内田監督は、「幸せな現場でした。みんながこの作品を面白くしようと一丸となってくれて、幸せな現場でした。『また、映画を作ってください』と言われていることだと勝手に判断して、また、映画を作りたいと思っています」と満足げに語った。
映画の内容にかけて、「入れ替わるとしたならば?」と問われると、「いれかわりたくない」という監督に対して、広末は、「内田監督と入れ替わって30、50とテイクを重ねたい」と、恨み節。それでも、「今まで、お芝居をしていると感情を開放する作業が多かったのが、今回は引き算の芝居を監督に教えていただきました」と、続けた。
また、監督から撮影終了後に、「広末さんは、コメディエンヌとしての才能があるから、これから、もっとコメディーをしていったほうがいいよ」と、隠れた才能を指摘されたが、広末自身は、「私は、コメディーの才能が阿部寛さんのように、あるとは思えないので、すごく考えて考えて演技をしていました。笑いっていうのは、計算で笑っていただけるものとは思えないので、悩んで迷っていたところ背中を押していただいて、これからも女優としての可能性も視野も広げて行きたいなと思えた」と、今後も果敢にチャレンジしていくことで、感謝の言葉を述べた。
【各賞の受賞者と作品】
作品賞 『かぞくのくに』(ヤン・ヨンヒ監督)
外国賞作品賞 『レ・ミゼラブル』(東宝東和の新井重人・取締役宣伝担当)
監督賞 内田けんじ(「鍵泥棒のメソッド」)
新人賞 マキタスポーツ(『苦役列車』)
特別賞 故若松孝二監督(三女で若松プロの伊藤宗子が代理で受け取る)
助演男優賞 井浦新(『かぞくのくに』)
助演女優賞 広末涼子(『鍵泥棒のメソッド』)
主演男優賞 阿部寛(『麒麟の翼~劇場版・新参者』『テルマエ・ロマエ』『カラスの親指』)
主演女優賞 安藤サクラ(『かぞくのくに』)
※在京スポーツ7紙・・・サンケイスポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、デイリースポーツ、東京スポーツ、東京中日スポーツ、日刊スポーツ。