明治座創業140周年記念舞台『かたき同志』（演出：石井ふく子）初日公演が3日、東京・明治座で始まり女優・藤山直美（54）、三田佳子（71）がW主演で熱演を見せた。
20年ぶりに三田と藤田が競演することで注目となる作品で、脚本は橋田壽賀子が担当。江戸の街を舞台に下町の飲み屋の女将・かめ（藤山）の息子・清太郎（金子貴俊）と屋敷町の呉服問屋のお鶴（三田）の娘・お袖（小林綾子）が惚れ合って結婚をしたいと言ったことから、母親同士が真っ向のケンカになってしまうという現代にも通じる話が盛り込まれた人情喜劇だ。
昨年12月に開かれた製作発表では、石井氏が「お2人（藤田と三田）にはだいぶ動き回ってもらうので覚悟していただければ」と言っていただけあり、派手なアクションはないが、2人の言い争いのシーンはコメディーのごとく舞台狭しと動き回ったり、ちょっとした仕草にグイグイと芝居へと引き込まれる。ついには2人で口移しでお酒を飲ませるというシーンもあるなど、役者の熱気が伝わってくる仕上がりだ。
物語も清太郎とお袖がうまく行く予定調和ものか…、と思いきや、思いがけないどんでん返しがあったり、その底に秘められたメッセージは思わずうなずきたくなるもの。2人が酔っ払って歌い踊るシーンは、本当にお酒が入っているのではないかと思えるくらいの滑稽さや長ゼリフでの見事なかけあいが楽しめ、いつしか観客も手拍子を入れるなど一体感も見せていた。
同日は節分とあって、大入り満員の客席へ向けて豆まきが行われ、藤山が「この初日にクソ寒いなかおいでくださってありがとうございます。感謝いたします」と、藤山節であいさつすると拍手が。「素晴らしい作品に巡りあえたことを感謝致します。橋田先生、石井先生、そして大好きな三田佳子さんありがとうございます。私も舞台でしゃべりすぎて心臓が止まりそうになったことは初めてです。喜んで頂けるお芝居をできるよう舞台に立たせて頂きます」と、劇中の設定を交えて語り沸かせていた。
三田も「心強いお言葉です」と藤山に返すと、数度の取材を受けた際に藤山との年齢差が20歳近く開いていることを気にしていたことに触れ、「いろいろ何かとご心配をおかけしたかと思いますが、直美さんが言うように千穐楽まで体調をキチッと整えていきたいと思っています」と、気合。
さらに、三田は「バリバリとは申しませんが年女ですので、みなさんにその福をみなさまにお返しできるように」と、豆まきが始まり、ファンも立ち上がって、豆を求めていた。
舞台『かたき同志』は2013年2月3～28日まで東京・明治座にて上演！
