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坂本龍一、大島渚監督との『戦場のメリークリスマス』秘話語る…「多分、仏頂面をしていた」

坂本龍一、大島渚監督との『戦場のメリークリスマス』秘話語る…「多分、仏頂面をしていた」
「あなたは僕のヒーロー」

 今月15日に肺炎のため80歳で亡くなった映画監督の大島渚さんの告別式が、22日東京・築地本願寺で行われ音楽家の坂本龍一(61)が弔辞を読んだ。

 ニューヨークの自宅から強行軍で駆けつけた坂本は、松竹会長の大谷信義、作家の澤地久枝(82)、映画監督の篠田正浩(81)、ジャーナリストの田原総一朗(78)、映画評論家の佐藤忠男(83)に続き、最後に祭壇の前に立った。

坂本龍一、大島渚監督との『戦場のメリークリスマス』秘話語る…「多分、仏頂面をしていた」
『戦場のメリークリスマス』での坂本龍一(左)とデビッド・ボウイ(右)

 83年公開の大島さんを代表する作品のひとつである『戦場のメリークリスマス』に俳優として出演。同作にはビートたけし、英歌手のデビッド・ボウイ、内田裕也、この日も駆けつけ、棺を担いだジョニー大倉(60)らが出演し、坂本が手がけたテーマ曲『メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス』は“戦メリ”を象徴する旋律として広く知られている。

 坂本は深く嘆息すると穏やかな声で大島さんの遺影に呼びかけた。

《以下、弔辞全文》

坂本龍一、大島渚監督との『戦場のメリークリスマス』秘話語る…「多分、仏頂面をしていた」

 「大島監督、あなたが亡くなられてから、我が家では追悼のために大島祭りを行っています。あなたの作品を順番に観てきました。最初にあなたの映画に出逢ったのは『日本春歌考』だったと思います。あなたの作品の中で1、2を争うほど好きな作品です。それ以来、あなたは僕のヒーローになりました。

 そのヒーローであるあなたが、たったひとりで、台本をわきに抱えて、私の前に来て下さりました。大変驚きました。あなたは私に『映画に出てください』とおっしゃいました。それまでまったく(映画音楽の)経験のない私は無謀にも『私に音楽をやらせてください』とお願いしました。あなたは『いいです。お願いします』と即答されました。そこから全てが変わりました。今日があるのは大島監督、あなたのおかげです。

 一緒にカンヌ行った楽しい日々がとても忘れられません。『御法度』の時にまた、懐かしい顔がまた一堂に介した時のことも忘れられません。あなたは本当に偉大な映画監督であり、偉大な人間でした。

 あなたのように社会を厳しく叱る人間がいなくなり、日本は少しつまらない国になったのかもしれません。現在の日本という国をみて、あなたはどう思っているのでしょうか。あなたのすべてにありがとう。やすらかにお休みください」

坂本龍一、大島渚監督との『戦場のメリークリスマス』秘話語る…「多分、仏頂面をしていた」

 報道陣に大島さんとの思い出を尋ねられると、初めて会った時のことを振り返り「実は窓から(大島さんが)来られるのをこっそり見ていたんです」と明かしながら、担当した音楽について「3ヵ月ぐらいかかったのですが、スタジオにお見えになったのは一度だけでした。(その時は)何も言いませんでした。多分、仏頂面をしていたと思う」と目を細めた。

 “戦メリ”で共演したたけしが北野武として監督として活躍しているが、「僕は残念ながら映画は作らなかったけれど、大島さんに『お前は卑怯だぞ!』『映画を作らないから卑怯だ』と怒られました」と静かにほほ笑んだ。会場には音楽として『メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス』が流されたことに、坂本は「大島さんの告別式で聴くとは……つらい」と声を落としながら「今後、ピアノで弾く時はどうしても大島さんを思い出すでしょう」と寂しそうに話した。

坂本龍一
坂本龍一
坂本龍一、大島渚監督との『戦場のメリークリスマス』秘話語る…「多分、仏頂面をしていた」
ジョニー大倉

坂本龍一、大島渚監督との『戦場のメリークリスマス』秘話語る…「多分、仏頂面をしていた」

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