
『劇団EXILE』の俳優・町田啓太(22)、小澤雄太(27)、野替愁平(26)が16日、都内で行われた、舞台『SADAKO-誕生悲話-』(演出:星田良子)の製作発表会に、元『dream』のメンバーで、女優の長谷部優(26)、俳優・天野浩成(34)、原作者の鈴木光司(55)らとともに登場した。なお、登壇予定だった『劇団EXILE』の俳優・八木将康(25)は、体調不良で欠席となった。また、人気ダンス&ボーカルグループ『EXILE』のダンサー・MAKIDAI(37)もスペシャルゲストとして登場した。
同舞台は、原作者の鈴木自らが、小説『バースデイ』(角川書店)の中の短編「レモンハート」を下敷きとして、原案と脚本を担当する。
1991年に刊行された鈴木光司原作の小説『リング』(角川書店)は、ジャパニーズ・ホラーの火付け役として、日本だけでなく、世界中を恐怖に陥れ大ヒットとなった。その後、映画、テレビ、ラジオドラマ、コミック、ゲームと、飛び火。まさに、作中の「呪いのビデオ」さながらに増殖を続けていた。
中でもシリーズのキーパーソンであり、恐怖の源となった「貞子」は、強烈なキャラクターが独り歩きし、人気となった。2012年には3D映画で、スクリーンから飛び出し復活した貞子が、舞台というライブの場に「3次元」となって出現する。

作家になる前、若い頃に劇団を主宰していた経験を持つ鈴木氏が、「読者を巻き込む」をコンセプトにした小説『リング』シリーズがヒットしたことで、「この手法を舞台にしたら面白い」と、構想10年以上、本格始動4年という歳月をかけ、実現にこぎつけただけに、「観客も受け身ではない。しっかり参加してもらう。今まで、見たことも聞いたこともないものにしたい」と、並々ならぬ決意で挑む。
演出の星田は、「既成概念をかなぐり捨てて、研ぎ澄まされた恐怖の究極の愛を描いて行きたい」と、恐怖の裏側にあるもうひとつのテーマを浮き彫りにした。
純粋に貞子を愛する役の町田は、「誠心誠意、(貞子を)愛させて頂きます。小学校の時に見た、思い出のある作品。ネームバリューがある作品なので、世界観を表現できるように精一杯頑張ります」と、思いを語る。
小澤は、「中1の時にトイレにいけなくなった思い出があります。舞台なので、生々しい臨場感や恐怖、そこにしかない愛を忠実に表現できたら」といい、野替は、「小学生の時に初めて見たんですけど、テレビの電源が切れている時に、ブラウン管に反射して映る自分の後ろに誰かいるんじゃないかと、毎回、気になっていた。必死に頑張りたいと思う」と、当時の恐怖を語った。

唯一の女性キャストである長谷部は、役柄について語ろうとすると、鈴木氏が横から、「内緒です。こん中で貞子演じられるのは誰?」と、まさかの可能性に言及すると、長谷部も、「もしかしたら…見てのお楽しみです」と、思わせぶりに言うが、本当に貞子を演じるかどうかは見るまで謎。
舞台への思いについて長谷部は、「良いスパイスになれるように頑張らさせていただきたいと思います。恐怖だけでなく、究極の愛などいろいろなものをお届けできるように楽しくいい作品を作って行きたい」と、決意を語った。
劇団の主宰者でもあり、「スケベな劇作家役」(鈴木氏)という天野は、「がんばりたいと思います。先生が稽古場に毎日来てくださるので、先生のように」というと、鈴木氏は、「僕から見習うところはないよ。僕はスケベな劇作家ではないから」と、笑わせた。
また、男性陣に、「貞子は彼女としてあり? なし?」と問うと、鈴木氏は、「貞子は長美人ですよー」と、プッシュ。

町田は、「ありですね。念が強そうな感じがするので、それだけ思ってもらえるのはハッピーなので」と肯定すると、天野も、「髪長い女性はきらいじゃないんでいいと思います」と、あっさり。続く小澤も、「映画を見るとビックリして恐怖を味わうんですけど、個人としては、人に何かを求めていると思うんです。求められるの好きなので僕もありです」と、深層心理を理解する懐の深さを見せる。
野替も肯定派だが、「僕もありです。人生経験として怖い思いしてみたい。女性関係の」と、ちょっと違うニュアンス。“生みの親”の鈴木氏は、「恋愛対象にはならないんですよ。娘ですから。ひねくれちゃって。井戸の中の生活が長かったですから。イケメンたちに貞子を嫁にもらっていただいて、孫の顔見れるかな」と、冗談交じりに言う。
激励に駆けつけたMAKIDAIが鈴木氏に花束を贈呈し、「リングの初舞台化、楽しみにしております。映画の方は、怖くて面白くて画面に釘付けになった。その画面から貞子が飛び出してきてビックリしたのを覚えてます。リングシリーズの主でもある貞子のストーリーということで、楽しみにしております。5月からの舞台頑張ってください」とエールを送った。
そして、フォトセッションの時に、あの「貞子」の「♪来る、きっと来る~」の曲が流れると、登壇者が並んでいる後ろから、貞子がサプライズで登場。登壇者にも極秘にしていたため、始めは気が付かなかったが、パッと横を振り返った長谷部は、隣に貞子がいることにビックリ!飛び跳ねて驚き、「隣にいらっしゃること気づいてなくて、叫んじゃいました」と、興奮しながら語った。
町田は、「恋できるといったんですけど、撤回したいぐらい。驚かせていただいた」と、苦笑い。天野も、「かなり怖かった。こっち向いてるのヤダ」と、生の貞子の迫力に圧倒されていた。

最後に鈴木氏は、「この芝居はDVDになっても、デジタル化しても面白くない。空間が大きな意味を持っている。お客さんが無関係ではない。一体感の中で、場所に来てもらうしか、心から楽しむことは出来ない」と、断言した。
劇団に所属しながら舞台女優を目指していた貞子の青春時代を恋人の視点を通して描き、「貞子」誕生の“悲話”を描く。25年前に劇場で起こった出来事とは何か、貞子失踪の真相とは。25年前と15年前の過去、そして現在が交錯し、リアルとバーチャル、舞台と観客が渾然一体となって、進行していく。
同舞台は、2013年5月3日~12日まで、東京・新国立劇場・小ホール。5月15日が大阪・森ノ宮ピロティホール、5月23日が名古屋・アートピアホール、5月25日・26日が静岡・浜松Uホールにて上演予定。
























