/うえむらちか、2作目の小説に大林宣彦氏が激アツな推薦文!夢は原作の映像化で出演も

うえむらちか、2作目の小説に大林宣彦氏が激アツな推薦文!夢は原作の映像化で出演も

うえむらちか、2作目の小説に大林宣彦氏が激アツな推薦文!夢は原作の映像化で出演も
2作目の小説を上梓したうえむらちか

 女優をしながら小説家として執筆活動も行っている、うえむらちか(26)が、6月8日に2冊目となる小説『灯籠』(ハヤカワ文庫JA)を発売した。

 物語の舞台が自身の出身地である広島ということから、同郷で“尾道三部作”などノスタルジックな映像を撮る、映画監督の大林宣彦氏(74)が帯に『恋は幼くして死の匂い。甘美で痛切な言葉たちに刻まれて、心が悲鳴をあげる。この小説に一つの奇蹟を見た。拍手を!』という推薦文を寄せている。

 また、大林監督は、担当編集者に寄せた手紙で、「うえむらちかさんの『灯籠』、一気に読み上げました。言葉に対してまことに鋭敏な才能。小説家うえむらちかの発見は、文学界の一つの事件となると信じます。また、広島の里言葉が、これほど幻想文学によく似合うという発明も一つの財産を生みました。僕はこの人の才能と作品に、惚れ込みました」と、推薦文54文字では伝えきれなかった想いを綴っている。

 推薦文を大林監督からいただけたことについて、承諾してくださったことだけで、家族全員で喜んだそうで、「特に、お母さんが、大林監督が大好きなので、一番喜んでいました。(担当編集者に寄せた)手紙をいただいたときには、本当に(作品を)褒めてくださっていたので、すぐにお母さんに見せました。手紙を見るまでは、作品に関することなので、厳しいことを言われるのかなぁと思っていました。読んでいただいて、引き受けられないと言われたらどうしようと思っていたので、とても嬉しかったです」と、声のトーンを上げて、いまだ興奮冷めやらずといった語り口で、その時の嬉しさを語る。

 うえむらは、06年、角川『第2回ケータイザテレビジョン フレッシュオーディション』読者賞受賞をきっかけに芸能界デビュー。07年4月から『アイフル』のCMに出演し、イメージキャラクターを務める。同年、『白椿』で映画初出演。以後、ドラマ『ライフ』(07年、フジテレビ系)、『おみやさん』(10年、テレビ朝日系)、『三毛猫ホームズの推理』(12年、日本テレビ系)などに出演。ラジオパーソナリティ、4コマ漫画連載などマルチに活躍。2010年4月に、『ヤヌス』で、念願だった小説家デビューを果たした。

「小さいころからお話を作るのが好きで、中学生のころからマンガを描いたり、小説を書いては投稿していました。その後、演技の学校に通うようになったんです」と、女優が小説を書いたのではなく、元々が漫画家・作家志望だったという。

 1作目は特殊メイクのアトリエに事件が舞い込んできて解決していくという推理小説だったが、2作目は、幻想的な純愛小説ともいうような、不可思議な世界を作り上げた。
「8年前、まだ広島にいたときに、漫画を描きたいなと思って書いていたプロットが元になっています。1作目を書き終わって、次は広島のことをちゃんと書こうと思いました。広島の盆灯籠という文化がキレイで面白いなぁと思って、ほかの県にはないと知ったので、これを題材にして書きたいなぁと思って」と、温めていたものを小説にしようと決めたという。

うえむらちか、2作目の小説に大林宣彦氏が激アツな推薦文!夢は原作の映像化で出演も
「盆灯籠」とともに

 小説のタイトルにもなっている『灯籠』は、『盆灯籠』のことだが、持参してもらった写真からもわかるように、女の子の身長ほど(160センチぐらい)の長い竹竿の先端にカラフルな逆三角錐の灯籠が飾りとしてついているもので、これが、お墓の周りに卒塔婆のように立つのだから、さぞやカラフルでキレイな光景だろう。

 物語は、両親を亡くした少女・灯(ともり)が、お盆の日に、自分の身長よりも大きな盆灯籠を引きずりながら担いで山を登るシーンから始まる。その途中で、正造と名乗る青年と出会う。人との交流を避け、それを是としてきた灯だったが、正造と会ううちに、少しずつ灯の心の中に温かいものが燈り始める。

 しかし、正造は、お盆の時期の4日間しか会うことができない。毎年、毎年、その4日間は灯にとって、「生」を実感できる大切な時間となっていった。しかし、少女から大人の女性へと成長した灯は、正造を「愛」していることに気付く。その先に待っていたものとは……。

 読後の感想として多いのが、「1話目で恋愛小説だと思ったら、2話目で違っていて、また、それを踏まえて1話目を読み返してしまう」という声が多いそうで、ストレートな純愛小説ではない、仕掛けがいくつも張り巡らされている。それでいて、必要以上に細かいディテールまで書き込まれていない。「行間を読む」というよりも、「想像する余白」を多分に残してるのが特徴的で、「答えが用意されているものが好きじゃなくて、想像できるものの方が好きなので、読んだ人によって、いろんな解釈があると思います。それは間違いじゃなくて、感じたままが正しいんです」と、いたずらっぽく笑う。

 また、4ヶ月ほどで書き上げたという2作目。その期間、女優の仕事も続けていたそうで、「締め切り直前は、書く方に集中したスケジュールを組んでもらいましたが、あまり、余裕を持って、前からそういうスケジュールにしてもらっても、なかなか(筆が)進まなくて…」と、申し訳なさそうに編集者の顔色をうかがいつつ、「かえって、他の仕事をやっていたほうが、時間がない分、切り替えて集中できるのかも!!」と。

 女優と作家という2足のわらじ。どのように帳合いを付け、今後、どちらに比重を置いていくのかというと、「女優も小説家も、“キャラクターを動かす”ということは共通していると思うんです。体を使って動かすのか頭の中で動かすのかの違いで、頭の中でキャラクターを動かす時でも、自分の身体を使ってキャラクターを動かしている経験があるので、凄く想像しやすいんです」という相乗効果がある。

 そして、「2冊目を出すことが出来たので、書くことにどんどん欲が出てきました。これからは作家うえむらちかとして、また私の小説をもっと多くの人に知ってもらえるよう、たくさん作品を書いていきたいと思います」と、意欲的に語った。

 また、1冊目は、1話が1時間のドラマになるように次々と展開して行く感じになっていて、「脚本を書いているような感じで書きました」という。これに対して2冊目は、映画のようになっているという。「頭の中に映像はあるので、そういうのをイメージして書いています」と、ここでも、女優の仕事が役立っているようだ。

 一番の夢は、「自分の書いた小説をいつか映像化して、その作品に。いい話をたくさん書きたいですね」と、キッパリと言い切った。

 同小説は、651円(税込)でハヤカワ文庫JAより絶賛発売中。