川崎市は、特定の条件下で運転手がいない状態で走行するレベル４の自動運転路線バスの導入に向けた実証実験に関するプレス向け説明会を8月2日、神奈川県川崎市役所本庁舎１Fアトリウムで行った。
（取材・撮影：伊藤直樹©ニュースラウンジ）
■事業背景
今年の4月に市の人口が155万人を突破する一方で、川崎のような都市部においても、全国的な運転手不足は深刻な課題となっている。そして、1日あたり約2000便の減便が1番ピークの時と比べて減少している状況にある。このような背景から、市民の足の確保に向けて、レベル4の早期実現は特に重要となっている。
■ロードマップ
2025年（令和7年）1月から運転手が常にハンドルを握って、運転状況を監視操作する「部分運転自動運転」の「レベル2」での実験を始め、2025年度（令和7年4月～）、2026年度で一定の条件下で運転手が同乗しない無人運転が可能な「レベル4」の許認可申請を行い、2027年度（令和9年4月～）から「レベル4」の実装を目指す。
また25年度、26年度に関しては、通年の通常運転（自動運転対応車だが、自動運転でない）運行を予定。お客さんから乗り心地などを体感してもらうと同時にアンケートを取ったり、自動運転技術の情報収集や運行データを蓄積していくという。
■実施体制
事業自体は川崎市が担い、運行事業者は、川崎鶴見臨港バス
■運行予定スケジュール
2025年（令和7年）1月上旬頃にEVバス車両を1台導入。
2025年（令和7年）1月13日頃からテスト走行を開始し、1月27日頃から10日間ほど、実証運航される。
2ルートを1台で運行し、一般のお客さんも乗車できるがその方法は抽選や予約などを考えているという。
■運行ルート
自動車交通量が1日で約3万台を超える道路を含む2つのルートで実証実験を行っていく。
1つ目のルート
全国では初めてとなる都道府県をまたぐルート。川崎市内の大師橋駅から多摩川スカイプリッチを通り、大田区内の天空橋駅へと向かうルート。
2つ目のルート
川崎駅から市立川崎病院に向かうルート。
2つのルートの意義について、福田紀彦市長は、1つ目のルートは「天空橋と大師橋駅をつなぐところというのは、まさに羽田空港というところを非常に意識しています。国際的な人材が行き交うところで、この都市部における自動運転が多くの人に目に触れるということはとても大きな意味があると思っています。そういった意味では、都県ということだけではない、羽田空港と主要地域をつなぐということに非常に意味があるなと期待しております」と、インバウンドによる観光誘致や経済効果を見据えたもののようだ。
2つ目のルートは「本市の玄関口でありまして、1日に30万人以上の人が往来する川崎駅前を自動運転バスが走ることで、多くの方に本事業を知るきっかけになっていただきたいなという風に考えています」と認知度と関心度を上げる効果に期待しているようだ。
福田市長は、「川崎市では、ご紹介した2つの運行ルートでの実証を重ね、得られた知見やノウハウを活用して、他のバス路線への戦略的導入、また、臨海部における自動運転を生かしたまちづくりなどを進めてまいります。このような取り組みによりまして、自動運転技術を活用して、多くの都市が抱える交通課題の解決策をワンパッケージで横展開できる『川崎モデル』の構築を目指して、次の100年に向けて街の魅力をさらに高めてまいりたいと存じます」と意気込みを語った。
