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シドニア瀬下監督が語るつむぎ秘話!MBSは「放送しづらい…」に熱意見せる

シドニア瀬下監督が語るつむぎ秘話!MBSは「放送しづらい…」に熱意見せる
冲方丁氏と弐瓶勉氏が握手を交わした

 『攻殻機動隊 新劇場版』×『シドニアの騎士 第九惑星戦役』SFコラボナイトが24日夜、東京・TOHOシネマズ日本橋で開かれ『攻殻機動隊』からは黄瀬和哉総監督と脚本を担当した冲方丁氏、『シドニア』からは瀬下寛之監督と原作者の弐瓶勉氏が登壇した。

 『攻殻機動隊』とは25年前に漫画家・士郎正宗氏が描いたマンガ原作作品。人間の脳をコンピュータもしくはネットワーク端末のように扱える電脳に義体と呼ばれる体を持つ人類が出現し始めたという近未来を描き、マンガを手始めに、その後、数度のアニメーション化をされ、そのつど大きな話題となっている。一方の『シドニア』はいまより1000年後、人類が奇居子(ガウナ)という謎の生命体によって破壊されたという設定。そこで人類は種の存続を賭けて繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅する「播種船(はしゅせん)」を複数建造。そのうちの1つがタイトルにもなっている『シドニア』で、主人公・谷風長道らが人型兵器・衛人(もりと)に搭乗し奇居子と戦いを繰り広げながら植民可能な惑星を探し放浪するというハードな物語がありつつ、ラブコメ要素も入るなど珍しいバランスで魅せる作品として知られる。

 両方に共通するのはSFということで、世界感や魅力などを、クリエイターならではの視点から語るという趣旨のものに。夜のイベントということで4人はすでに、1杯以上やって“できあがっている”状態でトークがスタート。

 司会は『攻殻機動隊』からバンダイビジュアルの関係者と『シドニアの騎士』からキングレコードの関係者が司会をすることとなったが、さっそく冲方氏が「こういうコラボはいつかやりたいと言ってまして。お互いにリスペクトしあえる作品同士でコラボをと考えていたので本願がかないました」と、真面目に切り出したかに見えたが、「『攻殻機動隊 新劇場版』初日の6月20日に、キングレコードさんがさいたまスーパーアリーナでコンサートをぶつけてきて、あれで動員数が3万人くらい減った」と、歌手・水樹奈々や堀江由衣、田村ゆかりといった有名アーティストが一堂に会した『KING SUPER LIVE 2015』を引き合いに絡むと、これにキングレコード関係者は「そんなことは…」と恐縮気味で返すのが精いっぱい。冲方氏は「なんだとぉ~?」と、さらに絡んで、いきなり会場を盛り上げた。

 『攻殻』側より『シドニア』側は緊張気味だったが、『攻殻』の最新作について、瀬下監督は「僕本当に攻殻の初版が発売された時にリアルタイムで見ているので、筋金入りのファンでずっと観ていますけど、新劇場版は攻殻機動隊の世界観にまとめてつなげてくれた。マンガ原作からのファンにとってはあのシーンでつながったという喜びがあった」と、感想を話すと、冲方氏は嬉しそうな笑顔を見せる。

 逆に『シドニア』について黄瀬総監督はシドニア登場人物が光合成によってエネルギーを摂取することになるが、それが裸で行われるということを引き合いに「光合成っていいなと。男の光合成は見たくない」と、色っぽい目線で話し笑いを誘うことに。瀬下監督も「原点はスター・ウォーズですが、いまの常識で考えるとどうしてもアラが見えてしまうフィクションじゃなくて、とんでもない未来か過去だからいまの常識で捉えないでくださいと言ってくれた方が物語を楽しみやすくなると思うんです。だから僕は弐瓶さんの原作を読んで、光合成って普通にシャワー室で更衣室なんですけど光合成と言われただけでときめくわけです。光合成OKと思いますよ!」と、熱弁を振るい弐瓶氏は「これは遠未来しかできない」と、あいづちを打った。

 さらに、『シドニア』の白羽衣つむぎ(cv洲崎綾)について冲方氏は「(大型のときの)つむぎの色彩が、あれじゃないですかグロになる直前の食虫植物なんですが、可愛さと気持ち悪さの合体がこんなに映像化されると思わなかった。あれは史上最大級のヒロインが誕生したと思います。見ているとカワイイし、けなげだし」と、べた褒め。すると瀬下監督が「放送するMBSさんが、(触手型の)小さい方のつむぎをアニメ版のサンプルで見せたら『よくできてると思うんですけど放送しづらい…』って言われて、これは原作のイメージに近づけていて、動いたら驚くほどカワイイですからと言ったら、MBSさんも懐が広いので『もう放送しましょう』と信じてくれた。実際動いたら、うちのスタジオのクリエイターのみなさんが、とにかくつむぎに対する愛が強くて、ギリギリまで原作と同じぐらい生々しく造形をデザインしたんですけど、動いてしゃべって音が出たらドンドンかわいくなっていった」と、熱意により実現が可能となった裏話を披露。すると冲方氏は「星白(閑)と、つむぎと紅天蛾はすげー!キャスト1人でいいんだと」と、ノリノリで話し場内を沸かせた。

 話をSFに戻し、この定義について、冲方氏は「個人的には科学技術が現代にものすごく近づいてきてしまって、サイエンスという言葉自体が古くなってしまっていると思うんです。これからはシンギュラリティファウンディングっていう、限界を突破した時に現れる新たな文明というものをテーマにしたのがSFになってくるんじゃないかなと思います」と、見解を披露。

 この話の直後に振られた弐瓶氏は「すごく話したくない」と苦笑いを浮かべつつも、「僕が創作で目指しているのは、現実では絶対ありえないような状況とか、世界観を描いてそこに人間を描くというのをやりたいと思っているんです。遠未来です。攻殻は近未来ですよ。近未来はすごい難しいからずっと避けてきたんです。遠未来ものが好きだったのでずっとやりたいと思っていて、絶対に日常ではないような文化とか民族を描いていきたいんです」と、コメント。

 冲方氏は「人間全員寿命がなくなったらどんな社会になるかとか、そういう一種の大喜利みたいなところがSFの根本で娯楽化される一番のポイントだと思うのですが、確かに窮屈になってきてるなと感じています。現実にこうだし、科学技術でこうだしと考証が入ってくるとテクノロジーでそれを実現したい人と、フィクションで実現したい人とそこは根っこは同じですが方向性が違うので、そこはもう少し窮屈にならなくていいのではないかなと。(『シドニア』で)光合成は正しいと思うし、米が食いたいという主人公がいても正しい、宇宙船なのに米かと」と、思いを語っていた。

 最後には、冲方氏はSFの未来について、「このジャンルにはものすごく希望があるし、ものすごく人間性に訴えるものがあるという思いを少しでもみなさんに届けばいいと思っています」と、アピールし、弐瓶氏は、「光合成みたいに脱がすためにはどういう設定を作ればいいかとそういうことを考えていきたい」と、お茶目に話して場内は大爆笑させると、瀬下監督は「日本の誇るべきジャンルで、みんなでどんなことやれば楽しいのかなというのを考えていければ」と、思いを語っていた。

 『攻殻機動隊 新劇場版』は全国上映中!『シドニアの騎士 第九惑星戦役』(TBS系)で放送中!

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