今年の日本一美味しいお米を決める第一回「米のヒット甲子園~うまい特A米の味覚審査会~」(主宰:日経トレンディ/日経BPヒット総合研究所)が23日、千葉・イオンモール幕張で行われ、月間情報誌『日経トレンディ』(日経BP社)の渡辺敦美編集長と審査員を務めた俳優・阿藤快(68)が登壇した。
実は、お米には、和食に合うお米、洋食に合うお米、オールマイティーな食事に合うお米があることやお米にも個性があり、それぞれ味が違うことなどを熱く語った。また、審査は白熱し、最後2種類残ったお米からグランプリを決めるのにもドラマがあったという。
同企画は、株式会社日経BPの『日経トレンディ』と日経BPヒット総合研究所は、今年2月に発表された「特A」所得38産地米からエントリーされた品種のこの秋に収穫された新米の中から、プロが消費者目線で選ぶ「2014幅広い料理に合うオススメのお米」を決定するというもの。
渡辺編集長は、「お米が最近面白い。いろんなブランド米が出てきているけど、違いがわからない。(『日経トレンディ』は)消費者のために消費者目線で作っている雑誌なので、(消費者のみなさんに)個性あるお米を美味しく食べてもらうために企画開催しました。甘いお米や、サッパリしたお米など個性がある。お米のことをちゃんと知っていただいて食べていただければ」と、企画趣旨を説明。
長きにわたってグルメレポーターとしても活躍し、美味しいものを食べ歩いている阿藤も、初の試みに、「最初は食べ比べ初めてですから、どういう評価で点数つけたらいいか悩んで。俺の味覚というか舌はあってるのかあってないのか不安だった。40年近く(グルメレポーター)やっているけど、それが崩れるかもしれないとやけっぱちでした」と、ドギマギしながらの審査だったと振り返った。
■9品種
今年2月に発表された「特A」所得38産地米からエントリーされた品種から、「北海道産・ゆめぴりか」「北海道産・ななつぼし」「宮城産・つや姫」「秋田産・あきたこまち」「石川産・コシヒカリ」「栃木産・こしひかた」「鳥取産・きぬむすめ」「福岡産・元気つくし」「宮崎産・ひとめばれ」の9産地米。
■評価方法
基準米は2014年新潟産コシヒカリ
項目は、5項目→「粘り」「甘味」「つや」「硬さ」「香り」を点数化
評価尺度 →基準米と比較して「良い(+1)」「同じ」「不良(-1)」で項目ごとに評価 ※「粘り」では強い、「硬さ」では硬いを良いと判断した。
分類 →「和食に合う(朝ごはん)」「オールマイティー」「洋食に合う(晩ごはん)」
■審査員
審査委員長:西島豊造(株式会社スズノブ)審査委員:阿藤快、内山英仁(「うち山」主人)、笹岡隆次(「笹岡」主人)、フォーリンデブ★はっしー(グルメブロガー)、松田美智子(料理研究家)、渡辺敦美(日経トレンディ―発行人)(※五十音順)の7人。
■使用した炊飯器
象印マホービン(特別協賛):「圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』NP-ST10 南部鉄器 極め羽釜」
審査は、標準米である「2014年新潟産コシヒカリ」を食べて、それより甘いか、ツヤがあるか、粘りがあるかを審査。9種類のお米を3種類ずつ3グループに分けて食べたそうだが、阿藤は、「食べ比べて一番を選ぶなんてなかったし、和食や洋食にあうお米なんて、そういう発想なかった。それなのに、審査委員長の西島さんという、ワインのソムリエみたいに、何年のどこ産とわかる“米のソムリエ”みたいな方が、『今年のお米は甘くない。わからない』と、悩んでいた。今年は、気候が悪く甘みが出なかったそうで、第一回目からいきなり難しい年にあたっちゃった」と、嘆き節。
その筋のプロたちが、「匂い嗅いだり」「ツヤを眺めたり」と、四苦八苦する中、阿藤は、「釜揚げのしらすにおしょうゆをちょっとかけて、ごはん乗せて食べるのがベストなので、その食べ方に合うだろうと思うお米を」1グループごとに、一番美味しいのはコレと決めていったという。
みなそれぞれ、舌と食感と経験を頼りに審査していったが、不思議なことに、和食に合う、洋食に合う、オールマイティーでOKというカテゴリー分けは、ほぼみな同じ結果になったという。
ちなみに、「和食(朝ごはん)にあうのは、さっぱりめな味のお米だそうで、洋食(晩ごはん)に合うのは、こってりで個性が強いものかな。いまだにわからないよ」と、阿藤は笑った。
絞って絞って最終的に、「宮城産・つや姫」と「北海道産・ななつぼし」の2種類が残った。いろいろ話し合いが尽くされたが、決まらずに最後はなんと挙手で決めたという。
渡辺編集長は、「面白かったのは、ひとつのお米は女性だけ手を上げて、ひとつは男性だけと、男女で別れたんです」と、男性と女性でおすすめの品種が別れたという。
その結果、「米のヒット甲子園 2014幅広い料理に合うオススメのお米」は、「北海道産ななつぼし」に決定した。
この結果について阿藤は、「私も選びました。みんな同じだとちょっとホッとしました。これが選ばれて、(俺の味覚は)間違っちゃいねぇなと言うのが嬉しかったです。最初のグループはコレ、次はコレと3つに絞り、そのなかでも一番、僕のお薦めは、ななつぼしです。甘みもある、ツヤもいい。なんともいえない味がいいです」と、自分の味覚が正しかったことでホッとした様子。
渡辺編集長は、「つや姫のほうが、突出して甘いんです。女性は甘いモノ好きということでは?」と、女性票が「つや姫」に偏ったことを笑いを交えながら分析する。「でも、バランスということではななつぼし。ツヤ、粘り、甘み、それらが全部バランス取れているお米です。決選投票で2つのお米を食べ比べたら、ものすごく違いがわかる。どちらがおいしいかではなく。味の個性がぜんぜん違う。最後になって分かりました」と、編集長も新発見だったという。
阿藤も「2つ食べて比べるとわかる。お米だけで楽しめるな。そのまま食べて美味しいよな。そういう食べ方もあんじゃねぇか」と、賛同する。
最後に阿藤は、「配給の米を食っていた頃から、進歩したお米を食べなきゃ。一つの誇れる“料理”だと思って食べてくれれば。ななつぼしを食べてみてください。2014年の米ヒット甲子園が選んだお米です。お米を愛してください」と、アピールした。
来年以降について、阿藤は、「今回はじめてのことで、お米を生産していらっしゃる方々で、ちょっと腰が引けた方々がいたり、お米が審査に間に合わなかったりしたので、これから、もっと増えてくると思います。今年はななつぼしだったけど、同じようなお米が来年できるとは限らない。気候によってぜんぜん違うそうなので、毎年食べてみないと。勉強になりました」と、食いしん坊の血が早くも騒いでいるようだった。
渡辺編集長は、「毎年やっていけるなぁと確信した。個性を持ったお米を知っていただくことが重要」と、来年の開催に向けて意欲と自信をみなぎらせていた。
この後、会場に集ったお客さんに、ななつぼしの試食が振る舞われた。
■「北海道ななつぼし」
2014年に北斗七星のように輝いてほしいとの願いが込められて誕生した“ななつぼし”。手ごろな価格とあっさりした旨みで発売以来、高い人気を誇る。食欲のない時でもスッキリと胃に収まり、ベタつかずお茶碗が汚れにくく、ちらし寿司にも合うと言われている品種。
■米のヒット甲子園
一般財団法人日本穀物検定協会が実施している「米の食味ランキング」において、2013年度に特Aを所得した銘柄を対象にした味覚コンテスト。7人の審査委員が粘りや甘味、つやなどの項目を中心とした味覚審査を実施。お米の素晴らしさを伝えるとともに、高付加価値のあるお米を生み出す生産者への側面支援を目指す。
■「米の食味ランキング」で「特A」を所得した産地から出品された計9品種の平成26年産地米を今回の審査会で試食した結果を参考に、特徴を作成した
ゆめぴりか(北海道) もっちりとしたコシの強さと豊かな甘味は北海道のエース
ひとめぼれ(宮崎) しっかりかみしめたい粒感と風味の良さでおかずに負けない
元気つくし(福岡) 粘り気が強く、しっかり味の洋風おかずとも好相性
コシヒカリ(石川) 寒暖の差が作る、深い甘味と豊かな滋味は優等生
あきたこまち(秋田) 口の中ではらりとほどけて、さっぱりとした余韻を残す
つや姫(宮城) つや、甘み、旨み、粒感と4拍子揃った、優秀米
きぬむすめ(鳥取) 炊き上がりの白さとつやはピカイチ。冷めても美味
ななつぼし(北海道) ほどよい粘り気と、品のいい甘みのバランスで人気急上昇中
コシヒカリ(栃木)源流に近い水質の良さが光るバランスのとれたおいしさ