俳優・岡田将生(24)が24日、主演する映画『オー!ファーザー』(監督:藤井道人/配給:ワーナー・ブラザース映画)の初日舞台あいさつに、女優・忽那汐里(21)俳優・佐野史郎(59)、河原雅彦(44)、柄本明(65)、藤井監督(27)らとともに登壇した。
2006年より『河北新聞』などに連載された伊坂幸太郎の大ベストセラー小説を映画化したサスペンス・コメディ。タイプの異なる4人の“父親”と暮らす普通の高校生・由紀夫(岡田将生)が、ある出来事をきっかけに次々と奇妙な事件に巻き込まれていく。そして、由紀夫は事件の真相を追っている最中に監禁されてしまう。オヤジたち4人は息子を救い出せるのか。
岡田は、『アヒルと鴨のコインロッカー』(07年)、『重力ピエロ』(09年)に次いで伊坂作品3作目となる。俳優人生の中で、初めて自分から「どうしてもやりたい」と、手を上げた作品。
父親が4人4人の父(佐野史郎、河原雅彦、宮川大輔、村上淳)いること以外、普通の高校生・由紀夫役の岡田は、「ソワソワし過ぎで、起用は白い衣装を用意してもらったんですけど、先ほどコーヒーをこぼしてしまって・・・隣に柄本さんがいて、こんなに緊張した初日もあまり無いです」と、5年前に公開された映画『ホノカアボーイ』(09年)で初主演を務めて以来の単独主演とあり、緊張感たっぷりの初々しいあいさつ。
裏社会を牛耳るフィクサー・富田林役の柄本は、岡田とは、『悪人』(10年公開)『アントキノイノチ』(11年公開)などで共演しており、その印象を聞かれると、「あ~この人ね・・・『悪人』のときに、おもいっきりコンクリートに頭ぶっつけられて頭きたなぁ~」と、独特の言い回しで笑いを誘う。「それは違うじゃないですかぁ~」と、苦笑い混じりに否定する岡田。
それに構わず柄本は、「『雷桜』(10年)のときも一緒してね、とってもまじめだから、悩む人でした。僕は『そういうふうに悩むのは、いいことだよ』といったことがあります」と、実直な人柄を褒めた。岡田は、「(言われたことは)覚えています。いまでも悩みながらやってます」と、変わらないようだ。
続いて、4人の父親役の一人であるインテリ大学教授・悟役の佐野に意見を求めるMC。「堂々たるもので。お父さん4人に囲まれてうっとうしかったと思います。包容力があって。岡田君はとにかく負けず嫌いで、やる気が満ち満ちてましたね」と、ベタボメされると、「俺の話やめましょうよ。やだぁ~」と、テレまくっていた。
このあと、所要で舞台あいさつを欠席した父親役の宮川大輔、村上淳から、漫才のようなビデオメッセージが届くと、岡田は、「素敵なお父さんたちでしょ。自由なの。現場も自由。だから僕はまとめるのみだった」と、役者たちに囲まれた撮影現場を振り返った。
また、サプライズとして原作者の伊坂幸太郎先生からメッセージが寄せられた。「今日が映画の初日とのことで僕も嬉しいです。この映画は役者さんたちがみなイキイキとしてて、映画の肌触りのようなものも僕の好みにあっていますし、とてもお気に入りのものになりました。藤井監督に感謝しています。主演の岡田さんは、以前、僕の『重力ピエロ』を映画化した時にも主演してくださいました。その時はまだ、岡田さんのことをあまりよくしらなかったのですが、観終えたあとで、この役者さんがいてくれてほんとうに良かったなあと思ったのを覚えています。そして今回も、岡田さんが主演してくれてよかったとつくづく思いました。とても楽しくて魅力的な映画になったので、ちゃんとどけばいいなあと思っています。伊坂幸太郎」
読み上げられたあと、岡田は、「うれしいですね。僕も伊坂さんの作品に出れるだけで幸せものなんですけど、そこで主演というかたちでもやらせてもらえると、Wで幸せものです。感謝です」と、謝意を述べた。
一方、この作品が商業映画監督デビューとなった藤井監督は、クランクアップしたときに気絶しちゃったほど。それを受けて柄本は、「僕も1本だけ監督をやった事があって、その時はラッシュを観てて倒れて救急車で運ばれたよ」と、気持ちを慮った。
由紀夫の秘密を知る同級生・多恵子役の忽那は、「汐里さーん」と声が掛かる。「最初、みなさん観る前は、4人のお父さんという設定が想像できないし、あまり現実的でない設定。だが、観終わると、こういうかぞくがいてもいいんじゃないか。とても理想的な雰囲気が映画の中にあってといってくださる方が多かったです」と、精力的に宣伝活動をしてきた“生の声”を。
佐野は、「4人のお父さんに一人のお母さんですから、どんなに素敵なお母さんだろうと。お母さんどこ行ってんだろうなぁと。サスペンスなのでその辺りも気にして観ていただければ」と、母親にも注目という。
最後に岡田は、「佐野さん、河原さん、宮川大輔さん、村上淳さん、4人のお父様がたをみてくだされば、この映画の良さであり、家族の違ったあり方を感じてもらえるんじゃないかと思っています」と、アピールした。
同作は、5月24日より、角川シネマ新宿ほか全国ロードショー