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反復する残響、風景に轟く−「水が溢れる音を聴いた」 -期間限定で楽曲無料ダウンロード可能に−

反復する残響、風景に轟く−「水が溢れる音を聴いた」 -期間限定で楽曲無料ダウンロード可能に−
「水が溢れる音を聴いた」

 シューゲイザーというジャンルをご存知だろうか?

 シューゲイザーとは、フィードバック効果を多用し歪ませた幻想的なギターサウンド、繊細で耽美なメロディ、囁くように歌われるヴォーカルを特徴とする80年代後半のイギリスで生まれたものである。日本ではルミナス・オレンジ、dip、ZEPPET STOREなどがいる。解釈も様々、裾野が広いこのジャンルの中で、アンビエント(環境音楽)やミニマルミュージック(同じパターンの繰り返しから成る音楽)を咀嚼しながら、ドリーミーで優しい轟音を鳴らすサウンドで注目を浴びているのは、シューゲイザーバンド「水が溢れる音を聴いた」である。

 そんな彼らの楽曲『捨て、洗う』が現在、アーティストとファンをダイレクトに繋ぐ音楽サービス「Frekul(フリクル)」のサイトで期間限定で無料配信されている。

 1つずつパート音が重なって行き、寄せては返す波のような残響を残すギターが入ると、聴き手はすっと音に引き込まれていく。“音楽を聴いている”という概念から離れ、自分自身がすっと溶けて世界に広がっていくような感覚に陥るのだ。呼吸のような無意識の中で音や歌声は響き始め、それは青い空や雲に、川や海のように風景として聴覚に染み込み、時折覆い被さって来る。約8分半のこの曲は、不思議な世界に漂流したような感覚にしてくれる。

 実はギターよりドラム歴の方が長く、本格的にバンドでギターを始めたのはこのバンドからという本田(vo,gt)、前バンドでパンクバンドを組んでいて、モヒカン頭にスタッズだらけのレザージャケットで周囲を威圧しまくっていた中田(dr)、サポートベーシストするもライブを2回やったところで自分のバンドに専念したいと一度脱退、再びキーボードとして再加入した小松(key)。5曲入1stミニアルバム「so long」の彼らのコメント「悲しい思い出も、楽しい思い出も、不安な毎日も、幸せな毎日も、何もかも全てにさようなら。そんなCDです。」というのはCDのコメントだけに留まらず、このバンドの紆余曲折や歴史、それを経て到達した独自のサウンドを言い表しているのかもしれない。

 曖昧に流れて行く無意識の風景、五感に感じる季節や感覚を、シューゲイザーを軸に音楽で表現する「水が溢れる音を聴いた」。彼らの楽曲を聴くことで、あなた自身の“胸が溢れる音も聴こえる”かもしれない。(津田 聖治)

 【水が溢れる音を聴いた】
 2009年に本田聡(vo,gt)、中田郁弥(dr)を中心に結成、後に小松祐美子(key)が加入。
 シューゲイザーやアンビエント、ミニマル・ミュージックなどに強い影響を受ける。派手な展開は少なく、同じ流れを淡々と繰り返す中で徐々に変化していく構成の楽曲は、気づけば暮れている景色の様に聴く者の無意識へ染み込んでいく。

水が溢れる音を聴いた 楽曲無料ダウンロード(Frekul)

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