元『AKB48』の“ゆったん”こと増田有華(22)が13日、都内で行われた12月13日に開演する交響劇『船に乗れ』(脚本・演出・作詞:菅野こうめい)の稽古場会見に主演のミュージカル俳優・山崎育三郎(27)、福井晶一(40)、共演者の女優・田中麗奈(33)、アイドルグループ『キャナァーリ倶楽部』のメンバーで声優・歌手の“おがまな”こと小川真奈(20)、俳優・小野武彦(71)、女優・木の実ナナ(67)らとともに登場した。
同作は、2010年本屋大賞ベストテンに選ばれた作家・藤谷治氏(49)の同名小説が原作。裕福な音楽一家に生まれた津島サトル(山崎)は、幼いころからチェロを学び、自分を「高貴な人間」だと思っていた。しかし、高校受験に失敗し、二流の音楽高校に入学。そこで出会う、同級生や教師たちとの恋、希望、挫折を経験しながら成長していく姿を描く青春物語。
聞きなれない「交響劇」という言葉だが、脚本・演出・作詞を担当する菅野こうめい氏は、「クラシックでミュージカルは難しいかなと思った。でも、音楽劇というと演劇が勝っていて、音楽が添え物というイメージがある。そこで、シンフォニックドラマという言葉を思いついた。それを日本語訳にして『交響劇』となった」と、経緯を説明する。
続けて、「舞台上ではオーケストラがシーンで実際に流れている音楽を演奏し、俳優たちは名曲に乗った歌詞を自分の心情として歌い上げる。まさに俳優と音楽家たちが舞台の上で交響しあう、響き合う劇になるんじゃないか」と、想いを語る。
主人公のサトルを演じる山崎は、「僕自身も音楽大学付属高校の出身で、(小説は)3、4年前に読んだ。同級生にチェロの津島君がいたり、伊藤くんと仲が良かったなど、登場人物が自分の高校時代の友だちの名前とリンクしていて、縁のある作品だなと。舞台化の際には僕がやるしかないんじゃないかと勝手に思っていた」と、作品への想いを熱く語った。
続けて、「舞台上に実際41名のオーケストラがいて、彼らも演奏をするとともに、制服を着てお芝居もする。すごく面白い、新しいスタイルの舞台になっています。日本版『glee』みたい。本当に面白いし、これはすごいことになるぞと確信しています」と、2009年に放送開始され2011年『ゴールデン・グローブ賞』の作品賞を二年連続受賞したアメリカの大ヒットミュージカルドラマを引き合いに出す。
しかし、「今までいろんなミュージカルをやらせていただいていますが、こんなに難しい楽曲はない。みんな悪戦苦闘している」と、クラシック音楽に日本語の歌詞を乗せて歌うという同舞台の独特のスタイルに苦労している様子も。
この日は高校生役の俳優たち14人のうち13人(1名欠席)で、実際にチャイコフスキーの『白鳥の湖』より第1楽曲『情景』を歌唱。その高校生役に、フレッシュな顔ぶれが揃っている。
山崎演じるサトルの初恋相手となるヴァイオリンの南枝里子を演じる『キャナァーリ倶楽部』の小川真奈は、「今回このような素敵な作品に携わらせていただくことになりとても嬉しく思っております。一生懸命演じたいと思います。宜しくお願い致します」と、やや緊張気味に語った。
ヴァイオリンの鮎川千佳を演じる元『AKB48』の増田有華は、「(演出の菅野)こうめいさんから『増田は三枚目(の役)だから』と聞いて、すごいプレッシャーを感じたけど、私は大阪出身でバリバリのお調子者な部分もあったので、そこを発揮したい」と、笑顔で意気込みを語った。
ミステリアスなピアノ教師を演じる田中は、「自分が学生のときには、先生は先生として注目していたので、先生が人間として抱えている劣等感や過去など、感じ取ろうとしなかった。今回は、そういうところもときおり見せてしまうという役柄なので、先生よりはひとりの女性として観ていただける。ミステリアスな香りも出しつつやらせていただければ」と、愁いを帯びた表情で語った。
そんな中、すべて持っていったのが木の実ナナ。サトルの初恋相手・南枝里子の母親・トシ子を演じる木の実は、「私は高校に数ヶ月しか行っていないので、高校のことはよく分からないんです。みなさんが青春青春って言っているのを今聞いておりましたが、私は今も青春だと思っております。今回は若い方がたくさんいて“若さが吸い取れそう!”」と、出演席からマスコミが集まる最前列まで、グイグイと前に出てきて、語る。
出演者や報道陣が爆笑する中、「どんどん前に行っていましたね」と、自身も苦笑い。「デビューして52年、こういうおとなしい役は初めてです。ロックも好きですが、未熟児だったのでクラシックバレエを習っておりまして、クラシック音楽も好きなんです。私は本当に舞台が大好きなので若い皆さんと一緒に楽しみたいと思います。菅野こうめいさん、育ちゃん、みんながいれば大丈夫!是非観に来てください」と、またまた報道陣の目前まで前に出てきて、身振り手振りでアピールして、会場の笑いを誘った。
同舞台は、12月13日~21日まで、東京・東急シアターオーブで上演予定。