
お笑い芸人のマキタスポーツ(43)が、14日、東京・内幸町のイイノホールで行われた、東京映画記者会(在京スポーツ7紙)が選ぶ「第55回ブルーリボン賞」で、出演した『苦役列車』(監督:山下敦弘/配給:東映)での港湾で働く作業員の役で、鬱陶しくてかっこ悪い、ひとりよがりだけど夢を抱えて必死に生きる中年男をリアルに演じたことが評価され、新人賞を受賞した。
劇中の役柄での衣装と同じ黄色いヘルメットに作業着姿で登壇すると、会場がどっと沸き、表彰状を読み上げる際も、「っしょう…(笑う)」と、プレゼンターも吹き出してしまう珍事でさらに爆笑。さらに、3曲の歌をミニライブさながらに披露し、「きょうはよくできた営業だと思っております」と、涼しい顔で語った。
奇抜な衣装にした理由をマキタスポーツは、「一段高いところから失礼します。こういった場所にあまり似つかわしくない格好をしておりますが、ちょっと理由がありまして。僕、芸人やっているんですけど、『苦役列車』という映画で高橋という港湾で働く日雇い労働の男性の役。それが舞台になっている映画。本当はキレイなフォーマルな格好をして出たかったんですけど、芸能界の底辺でうごめくブルーリボンというよりも、ブルーカラーという感じでやっとりますから、このほうが似つかわしいんじゃないかなぁ」と、思ってそうしたという。
さらにもうひとつ理由があるそうで、「この賞を、聞くとこによりますと、壇蜜さんと争ったそうです。ですから、壇蜜さんみたいな格好で出ることも考えたんです。マネージャーと直前まで口論がありまして、僕もよくよく考えたら、だれがそんな画を望むんだと思い直しまして、インナーの中で亀甲縛りだけはしてあります。もちろん、ブルーリボンで、ですけど」と、さすがお笑い芸人という時事ネタとツボを心得たトークで爆笑を誘う。

そして、「こっ恥ずかしい気持ちもあったんですけど、映画に携わった方たちが喜んで下さったのでキャスティングしていただいた方々にももらえる賞なんだなと納得しました」と、まじめに語ったかと思うと、最後は、「聞くところによると、この賞をとった後は芸能人の格が上がるということで、ギャラを上げていただきたいなと」と、さりげなくアピールしてオチをつけた。
昨年主演女優賞を受賞し、今年は授賞式の司会を務める永作博美から、「お笑い芸人で歌手。夢見る人という役柄がピッタリ。このひと歌ウマッと映画館で1人ビックリしました」と、劇中で披露している歌を褒められたマキタスポーツは、「僕も、ribbonの頃からよく聴いていました」と切り返し、永作が、かつて所属したアイドルグループの話題に、「いらない情報なので…」と、赤面。
最後にマキタスポーツは得意の歌を披露。「尾崎豊さん、『15の夜』ってありますよね。♪盗んだバイクで走りだす~。かっこつけて歌ってましたけど、あれ犯罪ですからね」と、笑わせ、調子を変えたら違う曲になると、『15の夜音頭』として披露。♪ぬぅすんだバァイクで走り出すぅ~ アッ、ア、アン、アン、じゅうぅごのよ~る~」と、ギターを担ぎながらアカペラで披露。

「ギターかけたのに使わねぇのかと。アンコール入れて2曲行きます」というと、長渕剛の『乾杯』の歌詞に伴奏はサザンオールスターズの『いとしのエリー』という、『いとしのエリーに乾杯』といネタをものまねで披露。
マキタスポーツは、「ありがとうございます。ご期待通りアンコールをやりたい…」というと、永作は、「マキタスポーツさん、ちょっと時間が…いいですか」と、静止。これにマキタスポーツは、「じゃ、ひとふしだけ、監督やスタッフたちに歌いたいと思います。劇中歌で僕が作った曲、『俺は悪くない』という歌を」というと、♪おれはわるくな~い ♪おれはわるくない~と、数分間歌い、20分ほどステージを“占拠”し、「今日は、よくできた営業だと思っています」と上機嫌で壇上を後にした。
【各賞の受賞者と作品】
作品賞 『かぞくのくに』(ヤン・ヨンヒ監督)
外国賞作品賞 『レ・ミゼラブル』(東宝東和の新井重人・取締役宣伝担当)
監督賞 内田けんじ(「鍵泥棒のメソッド」)
新人賞 マキタスポーツ(『苦役列車』)
特別賞 故若松孝二監督(三女で若松プロの伊藤宗子が代理で受け取る)
助演男優賞 井浦新(『かぞくのくに』)
助演女優賞 広末涼子(『鍵泥棒のメソッド』)
主演男優賞 阿部寛(『麒麟の翼~劇場版・新参者』『テルマエ・ロマエ』『カラスの親指』)
主演女優賞 安藤サクラ(『かぞくのくに』)
※在京スポーツ7紙・・・サンケイスポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、デイリースポーツ、東京スポーツ、東京中日スポーツ、日刊スポーツ。















