俳優・高良健吾(25)、女優・吉高由里子(24)が7日、都内で行われた映画『横道世之介』(監督:沖田修一/配給:ショウゲート)の完成披露試写会に、俳優・池松壮亮(22)、女優・伊藤歩(32)俳優・綾野剛(31)、沖田監督らとともに登場した。
舞台あいさつ前に1Fの階段で、主人公の世之介がサンバサークルに入るエピソードがあり、映画にも登場するサンバ隊が登場し、キャスト陣の登場を盛り上げたが、高良は、「見ていたら勝手に身体が動いていました」と、撮影中を思い出したようだった。
劇場に移動して行われた舞台あいさつで主人公の横道世之介を演じた高良は、「ずっといろんな取材受けて、地方にも行かせてもらって。1人でも多くの人に映画を見てもらいたいとやってきたんですが、このイベントが終われば、残すは初日(舞台あいさつ)だけで、段々この先、自分たちの手元からこの映画が離れていきます。寂しくてしょうがないです。この作品が世に出て行くことは寂しいですけど、楽しくてしょうがない。こうやって劇場に映画を見に来てくれることがとてもうれしいです。劇場に足を運んでくださる方たちが増えてくれると嬉しいです」と、残すは初日舞台あいさつだけとなり、離れがたい思いを口にした。
高良は、「沖田組大好きで、4作目で主演で呼んでもらったのが凄い嬉しい。台本読まずにやりたい。台本呼んでまた、面白くて魅力感じて大好きになった。撮影中は幸せな時間でした。反省点あるけど、試写を見ていて、あんときそうしたかったと思ったけど、現場が好きだから、その場所にいようと必死だったから、あの時の感情が正しくあってほしい。24歳の春に感じてた芝居のやり方、みかたをさせてもらった。フィルムに残って、その人たちとしか出来ないことが映っていて、幸せだなと思った」と、振り返った。
世之介と大学時代に友だちになる倉持一平役の池松は、「大好きな作品です。大好きだった横道世之介を好きになって帰っていただければ」と、あいさつすると、「最初、もっとふさわしい人がいるんじゃないかと思った。まさかこんなに早く沖田さんとやれると思ってなかった。いつもは顔合わせでしゃべれないんですけど、沖田さんは大学の先輩でもあって、『大学の周りにこういう子たちいるでしょ。じゃ、そんな感じで』と言われて、『あっ、はいっ』と、言いました」と、アドバイスされたことを述べた。
男性しか興味が無い加藤雄介役の綾野は、「男性しか好きになれません」と、会場を第一声で笑わせる。続けて、「これからご覧になるということで羨ましいです。世之介に出会えることが単純に羨ましいと思っています」と、あいさつ。
続いて、綾野は役作りとして、「その道のプロの方にはお伺いを立てまして、浅はかなことを言えば、お叱りも受けました。起こっている状況に溶けこんでいくように、世之介を介して、沖田さんの演出を介して、そこに彼を存在させることに一生懸命でした。なんのひねりもないゲイなので、まっとうな状況でいれた。僕のゲイぶりはたかが知れているので、もっともっと見るべき視点があるので、それを届ける作品になっております」と、謙遜していう。
最後に高良は、「自由に感じて、観て、家に持って帰っていただくのが理想だけど、欲を出させていただければ、普段の日常、普通、平凡だなと思っていた毎日が、特別なものに感じていただけるのかなぁと。世之介はきっと皆さんの中にもいる存在。自分も世之介のような存在である。自分にスポットライト当てたら、自分なりのドラマがある。2時間40分も長く感じないし、見終わったら上映時間以上に皆さんの中で続いて、育っていく映画。僕はほかの同世代の役者の中で得してます。素敵な作品出来たと思っている」と、PRした。
同作品は、映画『パレード』『悪人』などの原作で知られる吉田修一の同名小説の映画化。1987年、長崎の港町から18歳の横道世之介(高良)が上京する。嫌みがまったくなく、人に頼まれたら断れないお人好しの性格から、たくさんの人を惹きつけていく。そして、世之介は恋人の祥子(吉高)や友人らと温かくて楽しい日々を過ごしていた。その16年後。彼のいなくなった今、周囲の人々は愛しい日々を思い出す。
同映画は、2月23日新宿ピカデリーほか、全国ロードショー