歌舞伎俳優・中村勘三郎さん(享年57)が亡くなった5日、京都・南座で、襲名披露を兼ねた『顔見世興行』に、長男・中村勘九郎(31)次男・七之助(29)がともに出演した。
勘九郎は「父が46年名乗り、闘い、魂こもりし名跡を襲名させていただき」とあいさつ。父との別れを「本当に悔しいのは父」と思いを告げると、「大好きな芝居がもうできないんですから。みなさまを楽しませることができないんですから、本当に無念だと思います」と、涙ながらに続けた。
七之助は、昨年に中村芝翫さんが亡くなったことを挙げ「去年は祖父、今年に父を亡くして、本当にどうしていいのか分からない」と素直な感想を語り、客席の観客も涙していたという。
6日付のサンケイスポーツ、デイリースポーツ、東京中日スポーツ、日刊スポーツ各紙が報じており、終演後に2人は報道陣の前に立ち会見。時折笑顔も見えるものとなったが、これは勘三郎さんの明るく湿っぽいことが好きではないという精神を受け継いでのものとなった。
「ちょっと様子を見に帰ろうか」と言い合ってたまたま東京に戻ったところ、勘三郎さんの容態が悪化していたといい、10月中旬に最期に言葉を交わしていたそうだが、その時の様子を勘九郎は笑いながら「楽しい話をしました。父と付き人との4人で下世話な、女の子の話やらをしました。あれがコミュニケーションとれた最後でした」と、振り返った。
勘九郎は「父が愛していた歌舞伎を、終わり無き道をつきつめていくこと、多くの皆様に楽しんでいただくことを突きつめていきたい」と語り、七之助も「最後まで闘い続けていた人なのでそういう人は皆様の中で存在感がどんどん膨れていくと思う。僕の中でもです」と、心情を明かした。