女優・ミムラ（28）が26日、東京・六本木で行われている『第25回東京国際映画祭』の「第9回文化庁映画週間シンポジウム－Movie Campus－」の「ショートアニメーションの密かな愉しみ～絵本と蜜月～」に、アニメーション・山村浩二監督とともに出席した。
子供から大人まで楽しめるアニメーションと絵本の世界。その魅力に迫る。絵本から生まれたアニメーション作品やアニメーション作家が描く絵本の世界について、貴重な作品の上映を交え、知られざる結びつきを再発見する。また、海外と日本の現状比較や人材の育成など、アニメーションの未来について考える。
ミムラは、絵本批評家とも言えるほど、絵本に造詣が深く、絵本とキャラクターの雑誌『MOE』で連載したエッセイの書籍を通して、絵本の魅力を独自の目線で伝えている。
印象に残っている絵本というのは、子供の頃に読んだ時に、ちょっと嫌だったり、怖かったり、おどろおどろしいものだそうで、『まがればまがりみち』（作：井上洋介）、『ねないこだれだ』（作：せなけいこ）などの絵本を挙げ、「心にガッと踏み入ってくるものが心に残っているというところで挙げさせていただきました」と、理由を説明した。
また、大人になってから勧められた本として、『アパートのまど』（作：竹下文子、絵：杉田豊）を挙げた。内容は、アパートの中から外を見ているのではなくて、外から窓を見ている。赤い窓、黄色い窓と、楽しいイメージのものもあれば、白い窓でカーテンがフワッと引いてあって、中に病弱なコが寝ているのを想像できるものもある。
でも、最後に真っ暗な窓がでてきて、「あなたの窓です」って言われる。「子供の想像力を掻き立てるもの、ヒヤッとするものがあると記憶に残る」と、子供のころを思い出して語った。
山村監督の「近年は絵本に子供の教育っていう目的意識がある」という言葉を受けて、ミムラは、「オトナになってからも長く付き合いたいと思う絵本は、目的があって作ろうとしたものではなく、作りたいものがそこにあって、そこに向かって走っていったもの」と、作家の自主性が大切という。
トークショーの後半では、これを映像化したら面白いという絵本として、「絵柄が面白い」ので、『パパがサーカスと行っちゃった』（作： エットガール・キャロット、絵： ルートゥー・モエダン）。「バパが家を出て、サーカス団員として帰ってきて。家の中でみんなが大道芸人のようなことをするという。オトナが破天荒なところ」が気に入っているという。
次に、「ショートアニメは長編の物語と違って、オチみたいなとこで終わるのが必要かな」ということで、『食べるトンちゃん』（作・絵：初山滋）。「豚のトンちゃんが、とにかく食べる食べる。でも最後にトンカツにされて食べられてしまう」というシュールな作品で、「子どもの心にザクッとささるのを観てみたい」と、子供の反応を知りたいそうだ。
3作品目が、「稜線が可愛いので、動かすとどうなるのか」観てみたいとの理由から、『がんばれさるのさらんくん』（作：中川正文、画：長新太）。
絵本の魅力についてミムラは、「作っている人が勝負しかけてくるもの。ページ数、字数が限られている中で、何をぶつけてこられるのかというワクワク感。ショートアニメも時間限られた中での表現なので勝負しにきている感がある」と、真剣な表情で語った。
絵本好きのミムラは、「絵本制作して見ませんか」と言われたことがあるそうだが、「怖くてしょうがない、とてもじゃないけどデキない。あの中での表現を考えた時に、表現者として求められるものって怖いだろうなと思う」と、軽々しく作れないと語った。
ミムラは、日本で出版された1年間の絵本を全部読む機械があったそうだが、「残って重版されるのが4冊程度。なんと狭き門なんだと思いました。クリエーターの人たちにとっては戦いの場なんだ」と、しみじみと語った。
