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映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手

映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手
重量挙げの選手としても有望な江原由夏

 女優・松たか子(35)と俳優・阿部サダヲ(42)が“結婚詐欺”を働く夫婦役で初共演を果たし、話題の映画『夢売るふたり』(配給:アスミック・エース)の大ヒットを記念し、西川美和監督(38)と出演の江原由夏(27)が3日、都内の劇場でトークショーを行った。

 本作でウエイトリフティング選手・皆川ひとみ役を演じた江原は、とにかく巨漢で、この日は、首からメダルをぶら下げ、賞状を持参して登場。江原は、「ホンモノの選手なんですか?」と、言われるそうだ。

 江原は、オーディションによって大抜擢された劇団『扉座』に所属する舞台女優で、映画出演が初めてどころか、「映像自体も初めてで、生の舞台しかやったことがなかった」という。本作の役作りのため4ヶ月間の厳しい猛特訓を積み、撮影後もトレーニングを続け、9月30日に行なわれた第2回都道府県対抗女子選手権大会で8位入賞を果たした。

 その実力は日本ウエイトリフティング協会も太鼓判を押すほどで、次回のリオデジャネイロ・オリンピックの日本代表有力候補との呼び声が高い。

映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手

 江原は、役者としても注目されるようになったばかりか、隠れた才能も覚醒。人生を180度変えるような出会いとなったが、監督の名前も知らないまま、オーディションを受けた。当日も、西川監督は脚本のリライト中で欠席。後日、プロデューサーの人たちが撮ったオーディションのVTRを見た時に、「あ、この人ピッタリだ」と思ったという。

映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手
西川美和監督

 西川監督は、「75キロ超級の選手」というのが台本にあったため、体格の大きい女優さんや、いろんなアスリートにも集まってもらった。その中で、何人も本物のウエイトリフターと取材で会ったが、体の筋肉のつき方などが、「実際やられている本物の方たちに近い感じがした」と、第一印象を思い出しながら語る。

 決め手となったのは、「お芝居が良かったんです。女優さんのなかでも、皆川ひとみという人が持っている内側のピュアな感じと、ある種の暗さと切なさみたいなものを持っている人だなぁ、と思った。体は大きいけれども、内面にいろんな自身のなさだとかコンプレックスを抱えている感じが江原由夏さんのお芝居を見て出ているなぁ」と、思ったという。

 ウエイトリフティングのコーチに「女優さんを4ヶ月くらいトレーニングして、本物のリフターに見せたいんだ」と、西川監督が頼んだ時に、鈴木先生というコーチは、「おいそれとできるもんか、ナメんなよ」と、思っていたそうで、もともとは引き受けるのがすごくイヤだった。それでもウエイトリフティングはマイナースポーツだから、「こういう機会に少しでも知ってもらえれば…」と、嫌々引き受けたそうだ。

 ところが、江原の練習初日で「こ、これはッ!」と思ったらしい。その時のコーチの様子を江原は、「1ヵ月後にこれくらいイけたら、まあイけるだろう」とコーチが設定していた目標を、その日に挙げてしまった。西川監督は、「そこからコーチの目つきがおかしくなっちゃって、『育てよう!』と思ったらしく、『撮影はいつ終わるんですかッ?』て言われたり」と、笑いながらも困惑した表情で語った。

映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手
第2回都道府県対抗女子選手権大会で8位入賞

 江原は、「トレーニングはホンッとに辛くて『2度とやるものかッ!』と、思ってたんですけど、いろいろな人たちから『とてもいいよ』と言われたのと、コーチから『やれ!やるんだ!』みたいに言われて(笑)。まだ無名ですのでそんなに忙しいわけではなく、やってマイナスになるわけでもなく、体格も体格なので、健康のためにも続けさせてもらって、『まぁ1年後の映画の公開に少しでも貢献できたらなぁ』と思っていた」ら、今回の結果になったと、振り返った。

 西川監督は、「皆川ひとみは役づくりが必要な役でしょ。役づくりが必要な役に付き合ってくれる俳優さんと組んでやっていくということをやってこなかったので、『デ・ニーロ・アプローチさせたい(笑)』と思って、ゼロからオーディションして頂いたわけなんだけれど、そういう意味では、『本物かと思った』とか言われると『やったな』と思いましたね。そういう江原由夏さんのような気概を日本の俳優陣に見てもらって奮い立って欲しいし、『ワタシの方がウマくできたのにッ!』て、逆に思って欲しいですね」と、日本の俳優陣に奮起を促した。

 後半にかけて、この“新人”の江原演じる皆川ひとみが裏ヒロインとして、見るものに印象を与える存在となっていく。阿部サダを演じる市澤貫也が、一番気持ちが入っていって、松たか子演じる市澤里子のライバルになる。

 西川監督は、「男の人はだんだん市澤里子のことが怖くなっていき、その分、『皆川ひとみはいいヤツだなぁ』ってなっていく。女性も好感してくれるし、男性もいい役だと言って頂けますね。スポーツ選手じゃなくても、いろんな道でひとりで戦っていると感じている女性たちが共感してくれる部分もあるかなと思ってキャラクターを書きました。あの皆川ひとみの内面を映画の中で出すには『騙される』という仕掛けを作らなくてはいけなかったんですよ、言い訳ですけど(笑)」と、してやったりと、満足気に語った。

映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手
人生を変えた映画に出演した

 ウエイトリフティングの選手という役を作った理由について西川監督は、「女性たちがいろんな職業に就いている。もともとは男の人が活躍するようなエリアに、『それが好きなんだ』『それしか自分にはないんだ』と思って漕ぎ出していく女性たちを見るんです。『いろんな未来が閉ざされるかもしれないけど、わたしにはこの道しかない』と信じて進んでる人をひとり出したかったむと、その狙いを明かした。

 そのなかで、女性アスリートをチョイスしたのだが、柔道みたいに、いわゆる日本の代表的なスポーツではなくて、より脚光を浴びないにも関わらず黙々と進んで行く人として、実際のウエイトリフティング選手たちの映像を見て、「カッコいいな」「美しいな」と思ったという。

 西川監督は、「実際の選手たちのところへ取材しに行ったら、みんないいんですよ。心根が真っ直ぐというか。ひとつのことに打ち込んできた人間にしか守れない人間の魂の純粋さみたいなものを持っていて、ステキだなぁ」と、思ったという。

 江原は、この映画に出演しての変化として、「役者として、ひとつ認められた感がちょっとやっぱりありまして。それまで劇団でも若手で、常にずっと迷いながら『どうしたらいいんだろう?』といろいろ考えてました。今回はわたしの素質を見抜いてくれたということで、そういうのをちょっと認めてもらえたんだろうかなぁと思えたのが、役者として進歩できたんじゃないかとおもうんですけど…」と、ちょっと自信なげに語った。

映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手
「素晴らしい女優さんが日本にも誕生した」と絶賛

 西川監督は、「ひとつの役のためにきちっと体を作っていったり、自分の精神を追い込んでいったりって、すごく難しいことだと思うんですよね。口で言うのは簡単だけど。そういう役づくりをしてくれる女優さんって探そうと思ってもいなかったりする。その鍛錬を経て自分の中で掴んだものもあるだろうし、自信をもって、いろんな役をやってもらいたいと思いますね。とにかく運動能力が高いから。殺陣もすごくって」と、今後、役者としての期待感を口にした。

 それを受けた江原は、「舞台なんですけど、春頃に殺陣のあるシーンをやったんです。その殺陣師の先生に『キミはサモ・ハン・キンポーになれる』と言われました(笑)。女版のサモ・ハン・キンポー」と語ると、西川監督は、「それは日本の芸能界にいないよ、すごいと思う。お芝居はいいし、そんなに体が動ける女優さんいないですよ」と、絶賛。

 最後に、江原は、「得体の知れなかった私が少しでも分かって頂けたんじゃないかなと思います」と、笑わせた。

 西川監督は、「このような素晴らしい女優さんが日本にも誕生したんだなと、その一翼を担えたことを誇りに思っています。みなさんも、今後とも江原由夏さんを応援して差し上げてください」と、本日の主役を誇らしく、アピールした。

 同映画は絶賛上映中。

 

映画「夢売るふたり」の西川監督、絶賛!江原由夏は日本を代表する役者と重量挙げ選手
得体のしれない私をわかってもらえた


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