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坂本龍一「国の形を決めるのは面白い人間がいるか」東北の花火を支援

高田さんにエール

 音楽家の坂本龍一(60)が9日、東京・新宿の新宿バルト9で楽曲を提供したドキュメンタリー映画『LIGHT UP NIPPON 日本を照らした奇跡の花火』(監督:柿本ケンサク/配給:ティ・ジョイ)のトークショーイベントに出演した。

 昨年3月11日に起こった東日本大震災の後、都内の広告代理店に務める高田佳岳さん(35)がふと、中止になった花火大会の花火はどうなっているのかと疑問を抱いたことから始まった『LIGHT UP NIPPON』プロジェクト。震災から1ヵ月も経たないで被災地に入り、数々の困難を乗り越え8月11日に東北の沿岸10カ所で同時に花火を打ち上げたその軌跡がドキュメンタリーとしてスクリーンに登場した。劇場公開とDVD、ウェブでの配信と新しい形で配信される収益の一部は今年も規模を拡大して行われる花火大会『ー 2012』を通して東北の復興支援に使用される。

映画『LIGHT UP NIPPON 日本を照らした奇跡の花火』トークショー

 テーマ曲『赤とんぼ』を手がけた坂本は高田さんと登場し「参加した理由? なんだろう、発想がユニーク。どうして思いついたの?」と興味津々。高田さんが「僕の地元では同年代の人が遊びにも行かずに半年かけて踊りやお祭りの準備をする」と地域とお祭りの関連を説くと、坂本は「事情を知らない人は『しょせん花火でしょ』って思うかも。都会の人間には花火大会はちょっとしたイベントで半年かけて準備とかはしない。そこを理解してもらえるといいかも」と“教授”らしくアドバイスした。

 様々な形態で発信される同作に「音楽ビジネス自体が衰退してますので、今までの成功体験に基づいた商慣習ではこれから先がない。どんどん慣習を破ったビジネスをやっていくのは当然ですね。どんどんやるべきだと思います」と語り、アメリカの『キックスターター』というサイトを例に「普通の人がやりたいこと、やりたいプロジェクトをぶちあげて、それを見て興味を持った人が募金する。ネットを使ったそういうものも日本では増えていくと思いますね」と展望を語った。

 これからの日本に必要なアクションを聞かれると坂本は「国の形はその国の人間で決まる。面白い人間がいるかどうか。スティーブ・ジョブズみたいな人間が出てくるかわからないけど。僕の本当に勝手な持論なんですけど…」と前置きしながら「黒澤明とソニー一社、比べたら黒澤明という人間ひとりの方が国際的に価値がある。それぐらいに認められているんです。そういう人間が4人も5人も出てくると本当に日本が尊敬される。高田君はその素質を持っている」と高田さんにエール。高田さんは「震災の風化がどうしてもはじまっているのかなと思います。協賛金、募金の集まり方も変わってきた。映画を観てその収益が花火になるという仕組み普段の生活の中からドネーション(寄付)になる」と呼びかけた。

 『LIGHT UP NIPPON 日本を照らした奇跡の花火』は7月7日から7月20日まで全国ロードショー。公式サイトhttp://lightupnippon.jp/movie/

坂本龍一
高田佳岳さん
映画『LIGHT UP NIPPON 日本を照らした奇跡の花火』トークショー
映画『LIGHT UP NIPPON 日本を照らした奇跡の花火』トークショー
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