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【全文&現代語風読み掲載】坂本龍馬 暗殺5日前の手紙が新発見!「新国家」の文字と新政府の人事に関して

  • 2017年1月23日
  • 2022年10月19日
  • SOCIETY
【全文&現代語風読み掲載】坂本龍馬 暗殺5日前の手紙が新発見!「新国家」の文字と新政府の人事に関して
坂本龍馬

 幕末の志士・坂本龍馬が暗殺される5日前に書いたと見られる手紙が新たに見つかったと1月13日、都内で行われた「志国高知 幕末維新白」開幕事前記者発表会で、高知県が発表した。

 文中には、今まで発見された龍馬の手紙で初めて「新国家」という言葉が使われているほか、新政府を支える人材の人事に尽力していたことを示すものとなっている。坂本龍馬の研究を行っている京都国立博物館の宮川禎一上席研究員は、「坂本龍馬の活動を示すものとして貴重であり、最後まで新政府樹立(新国家の建設)に専心していた様子をよく示すものである」と、その価値の重要性を説く。

 この手紙は、高知県が開催する歴史博覧会「志国高知・幕末維新博」のため、全国の史料を調査する中で発見されたもので、宮川上席研究員らが鑑定。筆跡や内容(特に、3年前に発見されて話題となった「越行の記」の続きとすることができるなど)から「龍馬の直筆で間違いない」と、判断した。

 龍馬が暗殺される5日前の慶応3(1867)年11月10日に福井藩の重臣・中根雪江に宛てて書かれたもの。

【全文&現代語風読み掲載】坂本龍馬 暗殺5日前の手紙が新発見!「新国家」の文字と新政府の人事に関して

 内容は、約1ヶ月前に将軍・徳川慶喜が大政奉還したことを受け、新政府の財政担当に福井藩士の三岡八郎が適任だと考えていた龍馬は、三岡が京都に来て仕事ができるよう福井藩内での手続きを依頼するとともに、三岡が来るのが1日遅れれば、その分、「新国家」の財政の成立が遅れてしまうと、その重要性を訴えている。

 手紙に登場する福井藩士・三岡八郎は藩の財政再建に尽力した人物で、のちに由利公正と名前を改め、「五箇条の御誓文」の起草に関わったほか、明治新政府で初期のころ金融や財政に携わった人物。このことからも、龍馬の人を見る目の正しさを示すエピソード。

 なぜ、150年経った今まで発見されなかったのかについて、宮川上席研究員は、手紙が包まれていた封紙の上に朱書きの付箋がついており、そこに、「坂本先生の遭難直前の書状で、他見をはばかる」という文が書かれていたことを踏まえ、「付箋があったことから厳重に隠され、これまで出回らなかったのではないか」と、述べた。

 また、同記者発表会には、坂本龍馬の長兄のご子孫の郷士坂本家十代目当主・坂本匡弘さん、越前福井藩藩士・三岡八郎(後、由利公正)のご子孫の三岡慶胤さん、越前福井藩家老・中根雪江のご子孫の中根勝行さん、福井藩主・松平春嶽公ご子孫の越前松平家第二十代当主・松平宗紀さん、と、今回発見された書状に関連する人たちの子孫も出席した。

【全文&現代語風読み掲載】坂本龍馬 暗殺5日前の手紙が新発見!「新国家」の文字と新政府の人事に関して

 龍馬の兄の子孫である坂本匡弘さんは、「今年は大政奉還150年、龍馬の没後150年という節目の年に新たな書状が見つかった。これは偶然ではなく龍馬が導いてくれたのではないかと思っております。150年の時を経て、ご子孫の方々と一堂に会することができたことも龍馬のおかげだと、感謝しています」と、感想を述べた。

 縦16センチ、横93センチほどの細長い和紙に毛筆で字が記された新発見の手紙の全文と現代語風訳。読みは、佛教大学非常勤講師・高田祐介氏による。

全文            現代語風         

一筆啓上仕候        一筆啓上差し上げる
此度越前老候        このたび越前の老候(松平春嶽候)が
御上京相被成候段      御上京なられたことは
千万の兵を得たる      千万の兵を得たような
心中に御座候、       心持でございます。
先生ニも諸事        先生(中根雪江)にも諸事
御尽力御察申上候      ご尽力くださったこととお察し申し上げます。
然るに先頃御直ニ      しかしながら先頃直接
申上置キ三岡        申し上げておきました三岡
八郎兄の御上京       八郎兄の御上京、
御出仕の一件ハ急を     御出仕の一件は急を
用する事に存候得ハ     要する事と思っておりますので、
何卒早々御裁可       何卒早々に(越前藩の)御裁可
あるべく奉願候、三岡    が下りますよう願い奉ります。三岡
兄の御上京が一日      兄の御上京が一日
先に相成り候得ハ      先になったならば
新国家の御家        新国家の御家計(財政)の
計御成立が一日先に     御成立が一日先に
相成候と奉存候、      なってしまうと考えられます。
唯此所一向ニ御尽力     唯、ここの所にひたすらご尽力
奉願候           をお願いいたします。
   誠恐謹言            

十一月十日   龍馬    

中根先生          中根先生
   左右            左右

追白 今日永井玄藩     追白 今日永井玄藩
頭方ニ罷出候得とも     頭(永井尚志)方へ訪ねていったのですが
御面会相不叶候、      御面会は叶いませんでした。
談したき天下の       (永井殿と)談じたい天下の
議論数々在之候ニテ     議論が数々在りますので
明日又罷出候所存ニ     明日また訪ねたいと考えている
御座候得ハ           ところですので
大兄御同行相叶候ハゝ    大兄も御同行が叶いますならば
実二大幸の事ニ奉存候    実に大幸に存じます。
再拝             再拝

(封紙)

越前御藩邸
 中根雪江様  才谷楳太郎
        御直披

(封紙に朱書付箋あり)
「坂本先生遭難直前之
 書状に而他見ヲ憚ルモノ也」

 今回、新たに発見された手紙は、高知市に新たにオープンする県立高知城歴史博物館で3月4日から5月7日まで公開される予定。

 

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新発見の手紙
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封紙


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