
歌舞伎俳優・中村勘九郎(30)が27日、都内で行われた「コクーン歌舞伎第13弾 天日坊」(演出:串田和美)の制作発表に、脚本家・宮藤官九郎(41)、歌舞伎俳優・中村獅童(39)、中村七之助(28)らとともに出席した。
18年前に父親の中村勘三郎(当時5代目勘九郎)が始めた「コクーン歌舞伎」を初めて、勘九郎ら次代の核となる若手歌舞伎俳優だけで行う。さらに、演出家で俳優の白井晃や『大人計画』の近藤公園を始め現代劇の役者を7人起用する。
勘九郎は、「うちの父が18年前に渋谷のコクーンでやった時、渋谷という地も否定されていた。それをコンチクショウ!と言って定着させて、おもしろいものにするためケンカもすごくしていた。本当に命を削ってやっていた空間を僕らがやるということで、すごくプレッシャーはあります」と、責任の重さを痛感しているよう。
題目である「天日坊」(原作:河竹黙阿弥『五十三次天日坊』)は、幕末に初演されて以来、実に145年間、演じられることがなかった。それを宮藤流テイストで現代感覚にアレンジして演じられる。
勘九郎は、「黙阿弥としいえば7、5調というのは、誰にでもある。それを取っ払ってくれてカッコいい。プラスアルファ現代の人たちが素直に出る言葉が入っている」と、気に入っている。
獅童も、「すばらしくおもしろい」と、絶賛し、七之助は、「ちゃんとやらないと、大変なものになってしまう。そこがプレッシャー」と、気を引き締めた。

宮藤も、「逆にふざけないようにしよう。ちゃんとやれば、ちゃんとできる。まとまってるぞ」と、脚本のデキを自画自賛した。
宮藤といえば、歌舞伎の脚本を初めて手がけた「歌舞伎座さよなら公演」の『大江戸りびんぐでっど』(09年・歌舞伎座)は酷評されたが、「(前回は)ゾンビものだったけど、今回は150年ぐらい演じられてないから、ダメなら黙阿弥のせいと逃げ場があるのはいい。いいところは、『僕が変えたんですよ』といって、悪い所は『(原作が)そうなっていた』といえる。こっちの方を先にすればよかった」と、笑わせた。
台本を読んだ父・勘三郎が、「俺は出ないんだけどさぁ、大丈夫か?」と、聞いてきたそうで、勘九郎は、「うちの父が不安がることは、なかなかないことなので、やったな、と思いました。賛否両論の嵐になると思います」と、ニヤリ。
その話を受けて宮藤は、「『りびんぐ?』の時も『大丈夫?』といわれなかった。そこが僕も不安で、すごく楽しみ」と、期待と不安が交錯しているようだ。

ところで、昨年2月に長男が誕生し、1年2ヶ月を経過したが、子育てはしていないどころか、「帰ってくると寝ているので、朝の1時間か2時間、夜起きてたら、1時間程度」しか顔を見られないそうだ。「お休みないです。お休みください」と、松竹のスタッフに懇願した。
さらに、そんな勘九郎を見て、「結婚いいなぁと思いませんか?」と、報道陣からふられた獅童は、「そんなこと俺に聞かないでよ」と、苦笑いで煙に巻いた。
ストーリーは、ふとした野心から、源頼朝の落胤(らくいん、高貴な身分の男が正妻以外の身分の低い女に生ませた子)になりすまそうとした天日坊が、旅の途中で出会った人や出来事の中で、自らを見つめ直す物語。最後に演じられたのは1867年で、何と145年ぶりの復活となる。
同舞台は、6月15日?7月7日まで、東京・渋谷『Bunkamuraシアターコクーン』で上映予定





