2004年の発売から10年目を迎えた『サントリー緑茶 伊右衛門』が、今年5月に「おいしさが四季で変わる」を新コンセプトに、リニューアルした。春は、500mlを中心とした小容量ペットボトルにおいて清涼感のあるみずみずしい味わいの「新茶入り」を発売、好感触を得た。
そして、6月下旬より発売する夏用のさっぱりした味を、一足早く体感してもらおうとサントリー食品インターナショナル(株)は6月23日、梅雨が明けてひとあし早く夏シーズンに突入した沖縄県の『サザンビーチホテル&リゾート沖縄』で、「夏の味体感セミナー」を行い、国際通り「県庁前」の交差点でサンプリングイベントを行った。
この日は気温が33度まで上がるなど、じっとしていても汗が吹き出すほどで、まさに、「夏用」を味わうにはうってつけの気温。
ペットボトルは工場製品での大量生産のため、「一年中同じ味が楽しめる」のが一般的だったが、その概念を覆し、容器・容量ごとの飲み方や飲用シーンが異なることや季節ごとに水分摂取量や嗜好、引用実態が異なることに着目。日本の特徴である四季を生かした、「飲み方や季節に合わせてお茶の味わいを変えていく」というリニューアルを5月から行った。
といっても、そもそも四季でお茶の味が変わるのか?茶葉は1年に一回しか摘み取れないはずだが・・・。そこには、「茶葉」と「香りの記憶」が関係していた。
「茶葉」の秘密は、「新茶」「水出し抹茶」「寝かせ茶葉」「炙り茶葉」の4種類の茶葉。「香りの記憶」は、記憶の原風景で、春夏の香りは、「新緑の香りによる“清々しい爽快感”」であり、秋冬の香りは、「焼き芋などの甘香ばしい香りによる“ほっこり感”」だ。
京都福寿園で茶匠をしている谷口氏が、「四季の伊右衛門」について、それぞれの特長と製造方法を解説する。
5月12日から発売している「春の伊右衛門」。春のイメージは、新緑!なので、新茶入り。福寿園で採れた新茶葉を蒸して、揉みながら乾燥してお茶を作っていく。細やかで葉緑で、ツルツルと滑って爽やかな香り。みずみずしい味わい。そんなに火入れはしないで、みずみずしさを出しながら伊右衛門の中に入れている。
「夏の伊右衛門」は、抹茶爽やか。石臼引きが原料のてん茶。日覆栽培して作っている。短時間で揉まないで煉瓦で作った乾燥の機械で作っている。軽く濃緑な緑色。石臼で引いたものが石臼引きの抹茶。
「冷抹茶の作り方」
ガラスで作った平茶碗に抹茶1勺半。水を少し入れる。かき混ぜてからさらに水を60cc入れる。激しくかき混ぜて泡立てる。低温だとそんなに泡立たない。
夏は、暑いので水分摂取量が増え、また、基礎代謝量が下がり必要なエネルギーが少なくて済む。そのため、より飲みやすくよりさっぱりした味わいが好まれる。このような夏場の嗜好にあわせ、弱めの火入れをした清々しい茶葉に、水出し抹茶を合わせることで、抹茶の爽やかな香りと、すっきりとした後味を楽しめる中身に仕上がっている。
一回あたりの水分摂取量が少なく、ゆっくりとお茶を飲みホッとひと息つきたい秋冬は、甘くて香ばしい深みのある味わいに設計。
「秋の伊右衛門」は、茶壺に封印していた茶葉を「口切り」したものを使う。春に新茶を採り、茶壺の中に入れ、ひと夏熟成させ、秋に口切って抹茶をもてなす「口切の茶事」というのが茶道にある。すぐに使わず一定の期間熟成してから使うと、苦味がとれていく。滑らかな・まろやかな味に変化していく。引き立ってくる。一番茶のかぶせ茶を使って、十分に熟成させ、まろやかさを引き出してから、甘香ばしく火入して香りを引き出している。
「冬の伊右衛門」は、フワッと香る温かい伊右衛門。この伊右衛門だけホットで販売。茶葉が褐色になっているのが特長。お茶の葉がほぐれており、かなり色あいも大きさも違う。フワッと香る味わいを引き出すために、原料、火入れ方法など試行錯誤を繰り返し、渋みの少ない甘味のあるお茶の葉を使う。炙る火入れ方法を使い、強い火力の赤外線を照射。表面が焦げて中まで浸透。浸透すると膨らんで、甘くなる。短時間で勝負が決まる。難しく、火が強いと焦げるなど、高い技術力が必要とのことだ。
この後、国際通り入り口の「県庁北口」の交差点前にて『夏の伊右衛門』のサンプリングを開始。反応は、「さっぱりして飲みやすい」「夏らしく、すっきりしている」など、狙い通りの感想で、好評だった。
また、「りうぼう 天久店」の酒・飲料担当バイヤー 當山尚(とみやまひろし)氏に話を伺ったところ、「おいしさが四季で変わるという伊右衛門の新コンセプトは非常に面白いと思います。季節の変わり目のタイミングのため、店頭を作りやすく、お客様にも興味を持っていただける商品だと思います。お茶である伊右衛門が四季を感じさせてくれるのは、うれしいです。5月に新発売された春の味もお客様にはご好評いただいております。夏の味も気温の高い沖縄では特においしく飲まれるのではないでしょうか。非常に楽しみです」と、語った。