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菅直人元首相 放射能リスクある福島・富岡町の松村直登氏に「勇気がある」【映画「ナオトひとりっきり」トークショー 1/4】

菅直人元首相 放射能リスクある福島・富岡町の松村直登氏に「勇気がある」【映画「ナオトひとりっきり」トークショー 1/4】
菅直人元首相がトークショーに登場した

 ドキュメンタリー映画『ナオトひとりっきり Alone in Fukushima』(監督:中村真夕/配給:アルゴ・ピクチャーズ)トークショーが24日、東京・渋谷のアップリンクで開かれ本作の主人公・松村直登氏(55)、菅直人元首相(68)、中村監督(42)が登場した。

 2011年3月11日、東日本大震災による原発事故により原発から12キロにあった富岡町は警戒区域となり町民全員が家を追われ、家畜はすべて殺処分が命じられた。14年3月に政府は警戒区域の見直しを行い、松村氏の自宅とその付近の牧場は「避難解除指示準備区域」となり、居住はできないものの午前9時から午後3時まで出入りが自由となった。

 本作ではそんな放射能リスクの中、町に取り残されたダチョウ、牛、ネコ、犬、イノブタ、ポニーといったいきものたちとの間に自分の居場所を見つけた富岡町を愛する松村氏と、町に続くいのちを一年近いスパンで見つめ続けたドキュメンタリー。日常が一変し、人の人生をカネで解決しようとする不条理に納得できない松村氏の唯一の抵抗“ひとりここに残ること”を選び、生きること、生かし続けることへの日々の闘いが描かれる。

 メガホンを取ったのは2006年に『ハリヨの夏』、12年の『孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて』など運命に翻弄されながらも自分の居場所を探し求める人々を描いてきた中村監督。放射能汚染された町の中で、穢れなきいのちを見つめ、本当の幸せとは何かを問う。

 上映終了後トークが始まった。

菅直人元首相 放射能リスクある福島・富岡町の松村直登氏に「勇気がある」【映画「ナオトひとりっきり」トークショー 1/4】

 中村監督:作品を観られてどんな感想を持たれましたか?
 菅元首相:(松村氏へ)まずはもう1人のナオトさんは勇気があるなというのが第一の感想です。ネコが子供を産んだりウシが子供を産んだり、何頭かの牛が弱ったり、ある意味で極めて厳しい環境のなかでも、それぞれ、動物も松村さんはじめ人間も頑張ってる。そんな中になにかこう、感じるものがありました。

 中村監督:松村さんへ向けて何かコメントはありますか?
 菅元首相:さっきもここに出る前に3人で話していましたが、松村さんに勇気がありますねと言ったら『死を覚悟したらなんだってできる』とおっしゃってて。原発事故のときに、いろんな立場でそういうことに遭遇された人が、あちらこちらにおられて、そのとき、いまにいたるまでそういう状況が続いてますけど、松村さんも自分の行動を通して、多くの人に伝えておられる。すごいなと思って感心しています。

 中村監督:松村さんは菅元首相に何か質問はありますか?
 松村氏:当時、私があそこ(富岡町)に残る大きなきっかけとなったのは、大きな地震でもなく、津波でもなく、あの原発事故です。すべての人が避難、動物は置いてけぼり、周りのイヌやネコを見た時に、こんなの長く続かない、2、3週間したらみんな戻ってくるだろう。それまでつなぎで餌だけでもやっておくか、最初はそれくらいの気持ちでした。それでずっと、時間が経って(2011年)5月のときに当時の総理大臣(菅元首相)の発言で、警戒区域の中で、家畜は全頭殺処分。たぶん、それで私の人生がすべて変わっていまになったと思います。あの当時、全頭殺処分というのは、(民主)党の意見なのか農水省の意見でそうなったのかちょっと聞きたいです。
 菅元首相:私が総理のときというのは民主党政権でしたけど、こういう問題で、直接党が判断したり決定するということはありません。もちろん、最終的には私の責任ですが、少なくとも農水省を始めとして、あるいは場合によっては、そういう家畜も被爆していますからいろんな意味での影響を考える、場合によっては厚生省とかそういうところの専門家が少なくとも相談してこうすべきだという案をあげてきて、それをたぶん担当しているのは農水省だと思いますが、最終的に農水省で大臣を含めて判断をして実行すると。総理が関係して、閣議というので重大な問題を決定しますけど、閣議という形までは行ってないと思います。よく、狂牛病とかいろんなときも殺処分をしますけれど、基本的には担当部局の判断したんだろうと私のこれまでの経験でいえばそういうことが一番やられた可能性が高い。

 ※「福島・富岡町の松村直登氏 東日本大震災当時の菅直人元首相へ問いかけ【映画「ナオトひとりっきり」トークショー 2/4】」へ

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