女優・門脇麦(22)と広瀬アリス(20)が2日、東京・渋谷のNHKでドラマ『佐知とマユ』試写会に脚本を手がけた足立紳氏とともに出席した。
『創作テレビドラマ大賞』第38回大賞に輝いた作品。5歳のときに母に目の前で捨てられるという大きな傷を抱えて生きてきた20歳の佐知(門脇)のもとに17歳でホームレスなギャル・マユ(広瀬)が転がり込んできて、奇妙な同居生活が始まる。その生活のなかでも佐知は変わっていくのだが、それと時を同じくして母と再会し、思わぬ展開へと発展していく。約1時間という時間の中に、現代の若者が抱えている孤独、葛藤などが生々しく描かれ、心に響く48分の作品となっている。
まずは、内田ゆきプロデューサーから、「脚本家の登竜門のコンクールにもかかわらず完成度が高かった。7日間という短い撮影期間でも、みなさんが個性いっぱいにリアルにあふれたドラマを作るべく演技をしてくださいました。そうしたものが素晴らしい化学反応を起こした作品です!」と、込められた思いを明かしてからスタート。作品をひと足先に観た足立氏も「素晴らしく仕上げて頂いた」と、手応えを見せた。
初めて台本をもらったときのことを門脇は、「決して明るい話ではないですが、観終わった後に少し希望が沸くような作品になったらいいなと感じました」と、率直な感想を。
ドラマについては、「短い枠の中で、結構話しの揺れ動きがありますし、どこまでリアルに観ている人たちの気持ちの動きがついてこれるかが非常に課題となると思ったので、さりげない1つ1つのシーンでも、すごく丁寧に現場では演じていました」と、門脇からこだわりを語りつつ、「アリスちゃんのマユちゃんとかかわることで、心に通じてくるものがありました」と、自身にも影響があったと話していた。
本作の苦労した部分について門脇はセリフを挙げ、「佐知はセリフが少ない役で台本の半分以上が『……』だったんですけど、何もできないというか、自分が外から加える力を排除したいなと思って、佇まいだったり、本当にこういう生活を送っている子なんだろうなという感じで。何もしない、何もできない感じが不安もあって、自分と戦った部分もありました」と、表情などの演技が大変だったようだ。
そんな門脇の手応えを感じたシーンへは、「マユと餃子を食べているシーンで、会話もさりげないものではないけど、初めて佐知が自分でも気づかいないうちに心を少しだけ許したシーンがホッとしましたね」と、見どころを話しつつ、「ただ、餃子を食べ過ぎて(苦笑)」とお茶目に笑い、広瀬も「30個くらい食べて、夜ご飯いらないってなったよね」と、笑い合っていた。
広瀬から見て、門脇へは、「思ったとおりの方で、同世代に方とお仕事をするのが多いんですけど、一緒にお芝居をしていい刺激をもらいました」と言うと、これには首を振りながら謙遜していた。
そんな門脇を見ながら足立氏は、「セリフのない役で大変だろうなと。それでも、佐知の中に少しだけ残っている芯の強さというか、ギリギリのところで自分を崩さないように佇まいを保っている感じがとても感動しました」と賞賛し、これに門脇から笑みがこぼれた。
ドラマ『佐知とマユ』は17日午後10時~同10時48分にNHK総合にて放送!