NO IMAGE

阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは

阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは
「劇場版 神戸在住」のトークショーが開催

 映画『劇場版 神戸在住』(監督:白羽弥仁/配給:アイエス・フィールド)トークショーが12日、都内の試写室で開かれ白羽監督(50)、シンガーソングライター・陣内大蔵(49)、野田幹子(49)が登壇した。

 兵庫県・大阪府を放送対象地域とするサンテレビジョンが2014年度に開局45周年を迎え記念事業であるとともに、1995年1月17日に近畿圏を襲った阪神・淡路大震災から20年目という節目を迎えるにあたり制作。原作は漫画家・木村紺氏が『月刊アフタヌーン』(講談社)に98年から06年まで連載した同名作となる。オール神戸、阪神間でロケが行われ、神戸に大学に通う19歳の女子大生たちを通して20年前に起きた震災の記憶を街の中のどこかに感じつつ、この街で“いま”を生きる彼女たちの青春が描かれる。

 トークショーは神戸出身ながら東京で生活している方々を中心に観賞してもらうという趣旨で開催。陣内は関西学院大学出身で、阪神・淡路大震災以降に活動した経験を持つ。一方の野田は宝塚育ちで甲南女子大学に在籍しており、22年前に白羽監督の映画『She’s Rain』に出演したことも縁でゲストとして登場となった。

阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは
 

 本作の感想について、陣内は「僕は学生時代に北野坂でバイトしていたので、そこにキュンと来ましたね。そういう意味でいろいろな(風景が)散りばめられている監督の神戸愛みたいなのが伝わってくると思いました。それと、シーンに気を惹かれてしまった。1980年代の幻影を追いかけるという感じもしました」としみじみ。

 野田は、主人公の辰木桂を演じた女優・藤本泉(23)や浦浜アリサ(24といった美女らが熱演を見せていることから「みんな可愛い子が集まっているなぁ」と笑みを見せつつ、震災前と震災後という風景の違いを感じさせるということで、「『She’s Rain』がいいので、それあってのこの作品かなという気がしています」と、語った。

阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは
 

 その野田のコメントを受け、白羽監督は、「92年に撮影して93年に公開した『She’s Rain』は95年の震災前の阪神間の最後の映画と言われていまして、『She’s Rain』の中に残っている風景はもう7割方ないんです。それといまの『神戸在住』の中で、旧居留地のシーンなんかは『She’s Rain』の中にもあるシーンですが、だいぶ風景的には変わっています。阪神電車も香櫨園という駅で撮影しているのですが、全然風景が変わっています」と、同じ場所であっても震災前と震災後ではロケーションが様変わりしていると話す。

 さらに、白羽監督は、本作へ自身の青春時代となった80年代のキラキラしていた街並みというのを映すことを意識していたそうで、「震災後に新しくできた建物というのは意識的に外したんです。そういうふうには撮ったつもりです。それで平野がなくて」と、撮影のコンセプトも。

 ほかにも、白羽監督は被災した当時のことを、「黒い臨時電話がズラーっと並ぶんですよ。それでもつながらないんです。それと、1日1日どうだったか克明に覚えてはいないんですが、1月17日の当日ははっきり覚えていて、灘区の山の上の方に住んでいたんですけど、下から煙が上がってきて燃えている。それで後ろを見ると、高台の方も燃えている。後ろを見ても前を見ても燃えている。不思議なことにその日、消える火事があっても、数日後に燃えるということがあるんです。消防自動車の数も足りないとか大変でしたね。同じ地域でも助かったところとそうでないところがありました。それがほんの数百メートルしか離れてなくて」と、生々しく語る。

 そんな体験があるだけに、本作へ白羽監督は、「思い出したくない部分もたくさんあって、今回の映画ではそれを再現するのはやめようかなと思ったんです。どっかを燃やしてそれを画にするというようなことは、実際に体験した人間からすると考えられなかった。原作の中ではわりかし生々しくそういうシーンとか避難所のシーンも出てくるんです。それをセットを組んで役者さんに演じてもらうというのはさすがにしのびなくて、被災した体験のある人に観てもらうというのはしのびないかなと思いましたね」と、明かしていた。

 最後に、陣内から、「あの時の神戸を思い出しましたし、今の神戸を感じることができました。神戸に住んでいる人もそうでない人も観ていただけたら」と言うと、野田は、「まだまだ知らない神戸もありますし、これから知りたい神戸もありました。1月17日を機にまた思いを新たにしたいと思います」と、メッセージを。そして白羽監督は、「奇しくも1月17日に公開となる作品です。これは東京も大阪も京都も神戸も同時公開となります。そんな運命の映画であると同時に、この先も1.17はあります。そのときにこの映画のことを思い出してもらえるように、みなさんの心に残るような作品にしようと、最初に思っていました。それを意識して作りました。1人でも多くの方に観ていただけたら」と、アピールしていた。

 映画『劇場版 神戸在住』は17日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次ロードショー。

阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは

阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは
白羽弥仁監督
阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは
陣内大蔵
阪神・淡路大震災から20年…19歳の女子大生の“いま”描く「劇場版 神戸在住」へ白羽監督が込めた思いとは
野田幹子
広告